弁護士事務所から料金払うように連絡がきて困っている方へ
弁護士法鈴木康之法律事務所からの連絡
皆さん、こんにちは。
XをはじめとしたSNSで弁護士法人鈴木康之法律事務所(以下「当該事務所」といいます)というところから、ショートメール(以下「SMS」といいます)、E-メール(以下「メール」といいます)、封書、葉書、電話等により何らかの債務があるので支払うようにと連絡が執拗にきているということが話題になっていました。
さて、SNS情報ではあるものの、数万円~多くても10万円にも満たないものがほとんどであるようです。
このような少額の債権に関しては、当該事務所は様々な手段で法的措置をとるぞと脅すものの、実際に訴訟されたというケースは見当たりませんし、債権回収業務をどこかから依頼されている場合において、費用倒れになるようなことはしないでしょう。
しかしながら、この記事が話題になり、今後の業務継続を踏まえた見せしめの訴訟はありえますが、全てに訴訟することはできないでしょう。
少額債権を回収する一般的な手段
一般に、当該事務所に限らず、債権回収の手段として様々なものがありますが10万円に満たない場合債権回収において取られうる手段として、次のことは知っておくといいと思います。
①内容証明郵便での督促②支払督促⚠③少額訴訟(④③⇒通常訴訟)
このように、4種類があります。しかしながら、当該事務所はこの4つの方法も少額債権回収のためですら取っていないのです。
内容証明郵便での督促
費用倒れになるからでしょう。というのも、内容証明郵便を送るには実費で、通常の配達証明をつけた場合、1,200円ほどになるからです。
しかし、弁護士が内容証明郵便を弁護士名で送る場合、最低でも5万円程度はかかりますし、黙殺される可能性も高く、交渉まで依頼した場合、10万円程度でやってくれるというところはなかなかありません。
また、この点を踏まえると、①の段階にいけない状況です。
支払督促
こちらは、裁判所を使った手続きであり、支払督促を行う当事者の言い分のみに基づいて行うことができる手続きです。
しかし、無視をしていると強制執行されてしまいます。では、どうすればいいか。債務を承認することなく、支払督促に対して「異議がある」旨を記載して裁判所に郵送すると、支払督促ではどうにもできず、通常の訴訟に移行します。
基本的に、少額債権の場合、取り下げることになるでしょう。なぜならば、10万円かそこらの金銭のために本格的に弁護士や司法書士を雇うのは割に合わないですし、経済合理性もないためです。
そうなると、当事者訴訟になりえます。しかし、当事者訴訟をする手間までかけて10万円以下の債権を回収しようとするでしょうか。
仮に、敗訴したとしましょう。それでも無視した場合、債務名義(強制執行できますよという書面のようなもの)があっても、強制執行しなければ無意味です。
弁護士照会制度により、金融機関のみ特定できれば、預金の差押えが可能にはなります。しかし、弁護士を雇いますか?10万円未満の債権回収のためには不可能です。
とすれば、●●銀行××支店にある預金を当事者が差押えようと考える場合、その銀行の支店まで特定することが必要になり、その預金口座ではなく、違う預金口座にお金があれば空振りになります。
また、強制執行するためにわざわざ勉強しますか?
仮に、ネットで勉強して無償でノウハウを身に着けたとしましょう。そうだとしても、裁判所に支払う印紙代や郵便切手代などで1万円程度は少なくともかかってしまうのです。
したがって、このようなことを取ることは経済合理的にはありえないことが分かりますね。個人間の怨恨等の特殊事情がない限りは時間、手間、お金の面で割に合わないのです。
少額訴訟
では、少額訴訟はどうでしょうか。少額訴訟は1回の期日で判決までいくことが多いですが、被告(訴えられた人)が「通常訴訟に移行したい」と述べるだけで、通常訴訟に移行してしまいます。
基本的に1か月1回程度の頻度で裁判が開かれるものの、これまた面倒です。こちらも強制執行まで考えると割に合わないことになります。
当該事務所の債権回収手段
当該事務所においては、①の段階に至らない安価な費用で弁護士から書面がきたからという理由で支払う人に対してのみ有効であり、費用対効果を考えてのことだと思います。
一般的に使う弁護士の「脅しともとれる文言」
さて、裁判では、仮に債権が10万円しかない場合でも、訴訟費用や弁護士費用負担、遅延損害金も求めるから、かなり金がかかるぞ!と主張するのが一般的です。
基本的に、訴訟費用(印紙や郵便切手代)や弁護士費用は各自の負担となり、これらを支払わなければならない事態になることはほとんどないでしょう。
ですから、逆に債権回収をする際に、訴訟費用や弁護士費用を考慮すると、概ね100万円からでないと割に合わないというのが多くの弁護士の方の意見のようです。
さらに、時間もかかってしまいますし、遅延損害金も基本的には貸金請求等で、契約書に記載がなければ認められないでしょう。また、一般的に、年利3%ほどですので大した額ではありません。
少額債権回収で訴訟を行う場合の費用倒れ問題
ここで、債権回収をする側が如何に損をしてしまうかについてお話をします。
100万円の債権を回収するケースを考えましょう。
例えば、一般的な手段として、弁護士名で内容証明郵便をまず送ります。
ここで5.5万円。
次に、
着手金16.5万円(かなり安い)
(成功報酬22%を条件)
を支払って、簡易裁判所に訴訟を起こすとしましょう。
ただ、被告が払いたくない場合で判決までいったと仮定しましょう。
仮に、訴訟提起後、非常に早く、4か月で判決までいったとしましょう。
だいたい、11万円程度は控訴して、地裁で引き続き裁判を行う場合少なくとも着手金がかかってしまいます。
その後、被告が地方裁判所に控訴したらまた面倒ですね。
では、その3か月後の判決までいき、無事債務名義を獲得し、確定判決になったところで、強制執行する場合、さらに費用が必要です。
弁護士照会制度を使い、預金口座を割り出して、強制執行をかけていくことになります。
さて、実費は5万円と見積もったところで、いくらお金をかけることになるでしょうか?
①内容証明郵便費用:5.5万円
②簡易裁判所弁護士着手金:16.5万円
③地方裁判所弁護士着手金:11万円
④成功報酬:22万円
⑤実費:5万円
さて、この時点で60万円かかります。このケースは極めて安いケースです。
また、1年程度かけて強制執行までいったところで空振りのケースもあります。
したがって、70万円、80万円の費用をかけて、1年程度かけて20万円程度の黒字になりうる手続きをするか?ということが重要です。
さらに、そもそもその額を回収することは困難かもしれませんし、和解になり、多少安くして、10万円程度の利益にしかならないこともありえるでしょうし、そもそも、回収できないかもしれません。
当該事務所のGoogleクチコミをみると
そもそもそんな債権はないとか、お金を払ったのに請求をし続けるとか対応が悪いとかそんなことがかかれています。
真偽はさておき、数十通の赤や黒?で弁護士名がズラズラと連ねられた訴訟するぞという手紙が届いたかたの投稿がXで話題にもなっていましたが、訴訟は起こされなかったようです(現時点)。
当該事務所への対策
では、どうするのがいいでしょうか。何も問題がなければ、そのまま払えばいいと思います。
しかし、そもそもお金を払ったのに請求が続くとか、そんな契約してないのに請求がきたり、お金が全くなかったりした場合のお話をします。
一応、当該事務所は、当該事務所を語る詐欺があったため、当該事務所でSMSを送る際の多数の電話番号やメールアドレスは公開しているようです。
単に着信拒否やブロックをすれば、その手段での連絡はきません。
次に、手紙が数十通届いたケースを見ましたが、
「受け取り拒絶 氏名」と書いた紙を当該事務所が郵送してきた手紙に貼り付け、郵便局にいき、郵便局員に渡せばもう二度ときません。
名前や住所等を変えれば別ですが・・・
色々と弁護士法人●●事務所とあるところがあると厄介ですね・・・
しかし、返送が受け取り拒絶で届けば、お金をかけずに債権回収を行うという当該事務所の方針を踏まえると、これで終わりかなと思います。
なお、本記事の内容には正確性を心がけておりますが、責任をもつものではないことは付記しておきます。
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