松本旅行①美術館と美味しいものたち。
先週のこと。急遽、長野県松本市へ1泊2日の旅行へ行ってきた!
大腸がん治療後のフォロー検査の前に、楽しいことをしたくなったので。
特急あずさに乗るのは初めて。松本も初めて。
がんを経験してから、この「初めて」が心身にもたらす効果をとても感じている。
刺激的な初めても、穏やかで癒しの初めても、とにかく気持ちがぱーっとなる。
解放され、満ち足りていく。
「生きてる」感じがする。
あずさでは車内販売があることを知らず、いきなり登場した時は嬉しくて何か買いたくなってしまった。が、ここで何か食べてしまったら松本の味を堪能できないと我慢した。えらい。
ついてすぐ向かったのは御そば打処「野麦」(NOMUGI) さん。
お友だちからおすすめがあり、まずはここに来ると決めていた。
予約は受けてない、こじんまりとした店内、メニューは基本ざるそばのみ(冬季のみかけそばあり)。
喉越しの良いつるりとしたお蕎麦は、食べ慣れた東北のお蕎麦や東京のものとは違っていて、細めで適度な噛みごたえがある。そしてこの小鉢が美味しい!
外は寒かったけれど、冷たいお蕎麦にこの小鉢にビールがとても美味しくて、大満足。
その後、松本市美術館 へ。到着してびっくり。これが市立美術館の規模なの?建物の規模も大きいし、何より建物自体がカッコ良い。さすが、草間彌生出身地の美術館。
草間彌生「魂のおきどころ」というタイトルでただならぬ気配をビシビシ感じる。
ほぼ撮影NG。それが良かった。没入感が増した。作品を目で味わうだけでなく、体感するタイプの展示もあり、弥生ワールドの中の自分を客観的に楽しめた。
草間彌生自身が年齢を重ね、残りの人生や死について真っ向から対峙しているような印象を強く受けた。それは悲しいとか不安とか達観しているとかを超越していた。自らの言葉で「闘い」と表現していたが、この人は闘い続ける人なんだな、と思った。
「魂のおきどころ」という展示テーマがしっくりくる。
死を意識した作品だが、不安とか悲しみとかそういうものは私は全く感じなかった。自らのエネルギーを出し切ってやるぞ!という強いパワーを感じた。
私も生きていくぞ、とそのパワーの影響を受けた感じがした。
草間彌生の初期作品から2017年の作品までがあり、中でも1952年「都会の雨」がクールでカッコよかった。「天国への梯子」はその美しく少々不気味な様が個人的に好きで、ずっと見ていたかった。「燃え上がる恋の記録」は赤のみで描かれた緻密で可愛らしくも激しい作品が弥生ワールドそのもので素敵だった。
この巨大な南瓜。かっこいい。
企画展も鑑賞。
「須藤康花 ー光と闇の記憶ー」
須藤康花さんのことは初めて知った。幼い頃に難病を患い、病に苦しみながらも作品を作り続け30歳で生涯を終えた画家・詩人。
彼女の作品とその言葉・文章が、今すぐここで吐き出されたかのような「生物(ナマモノ)」だった。
これはほんの一部の文章。
他には、写真に収めることを躊躇うような、胸に刃物を突き立てられているかのような、抉られるような文章がたくさんあった。
吐き気や発熱、倦怠感を伴う生活。
思春期の頃に母を失い自殺も考えたという想い。
母と同じ肝がんを患い、すでにステージ4で死を意識した彼女の作品と言葉たち。
この展示は、彼女の生き様だと思った。
苦しい、痛い、気持ちが悪い、怠い、という病が常に漂う。
そして画家として自分の能力・体力を冷静に見つめている。
生きなくては、と思った。
そういう展示だった。
この二つの展示を見て呆然とした私たちは、フラフラと松本ホテル花月へ。
ホテルでちょっと休もうと思ったら、ホテルのすぐ近くにレトロなパン屋さんを発見。若いお嬢さんから、地元の方と思われる勝手知ったる風のマダムまでちらほら入店されていた。
釣られて入店。
後から知ったが、小松パン店という「マツコの知らない世界」で紹介されたことのあるパン屋さんだった。
牛乳パンはすでに売り切れ。シベリアは予約のものがずらっと並んでいた。
私はクリームチーズのデニッシュを購入。ホテルについてすぐ食べた。すんごく美味しくて香ばしくて好みの味。これは明日も行かなくては!と思ったら翌日はまさかのお休み。残念だったけれど、偶然購入できてよかった!
ホテルは松本民藝家具が至る所にあって、客室もロビーも落ち着いた雰囲気でとても満足だった。古い建物をうまく使っているという感じ。
松本に行く時はまたここを利用したい。
部屋でデニッシュを食べた後は自転車を借りてご当地スーパーマーケット「ツルヤなぎさ店 - 松本市」 へ!
耳がちぎれそうな寒さだったけれど、なんだかドラマ「白線流し」(世代ですね)を思い出しちゃったりなんかして、るんるんで自転車漕ぎ漕ぎした。
お目当ては自社商品のドレッシングとジャムと松本のお菓子。
スーパーって楽しい!
ジャムはまだ食べてないけれど、他はどれも美味しかった。開運堂の「手前味噌」は冬季限定商品だそう。開運堂はパッケージも可愛くて好き。
・・・・・・長くなったので、ここで一旦区切ります。
夕飯まで一気に記録したかった。
たくさん書きたいということはそれくらい楽しかったということ。
次回へ続く。