奇妙で愉快で不穏な刺激/21世紀美術館〜金沢旅行①〜
先週末、夫と金沢へ2泊3日の旅行をしてきた。金沢はガイドブックにもあるように観光地がぎゅっとまとまっていて非常に旅行者としては観光しやすく、天気にも恵まれ楽しめた。旅の思い出はすぐに忘れてしまうので、記録として簡単に残しておこうと思う。
今回一番のお目当てだったのが、21世紀美術館。なんだかおしゃれで楽しそうで現代的!という印象を持っていた。確かに美術館屋外の現代的なアート作品もとても好きだった。
が、とにかく大興奮したのがAlex Da Corte Fresh Hell アレックス・ダ・コルテ 新鮮な地獄!!!これが個人的には大好きな世界観だった。数日経った今も思い出すと気持ちが弾む。
アレックス・ダ・コルテは、イメージの作られ方、認識のされ方、またその延長にある記憶の作られ方について探求している作家とのこと。ヴェネズエラ系アメリカ人アーティスト。
ヘッダーのチラシになっている2作品も動画で、どちらも素敵で不安で奇妙な世界観。特に右の青い顔の作品(「ROY G BIV」)が非常にたまらなく好みで釘付けになった。約60分のパフォーマンスはそこそこボリュームがあるものなのだろうけど、私は最初から最後までふわふわとした気持ちに浸ることができた。最高。
なのに、肝心の写真は1枚も撮っていなかった・・。後で気づいてなかなかに落ち込んだ。そのくらい夢中で見ていたってことなんだと思う。
写真がイマイチで勿体無いのだけれど、この作品も綺麗だった。
窓のそとの蔦から葉が落ち、死を予感した病人が、画家が壁には絵を描くことで回復し、希望を持つというO.ヘンリーによる小説「最後の一葉」を連想させる作品。ところどころ葉に色がついていない。ポップな作品だけど、生と死を思わせる。
「新鮮な地獄」というタイトルにあるように、どの展示も不穏で不安げで不気味で違和感がある。どの展示もポップで、馴染みのあるキャラクターをモチーフにしている作品も多い。ポップで不穏。最高にカッコ良い刺激を受けた。
内容が濃ゆくてボリュームも結構あり、見終わるとドッと疲れを感じたけど、すごいもの・好きな世界観を見た!という興奮の方が勝り変なテンションだった。
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美術館が好きだ。高い天井と広い空間、座り心地の良い椅子、美しい建物。オストメイトの私が安心して使用できるトイレがあるのも嬉しい。レストランや喫茶店があるのも嬉しいし、ミュージアムショップも楽しくて好きだ。
好きなアーティストめがけて展示を見にいくのももちろん大好きだが、旅先でその土地の美術館に行き、美術館自体(建物や椅子やレストランなど)を楽しみ、たまたまやっている展示を見てアーティストに出会うのも好きだ。
中でも、今回のようにドンピシャで自分が大好きな世界観だったり、新しい世界に触れることができることがある。そんな時、最高に心がワクワクして楽しくてずっとそこに居たくなる。好きな展示の前に根が生えたように立ち止まり、なるべく多くのものを吸収したくて自分のアンテナがビリビリする感覚がある。そこから、ファッションや言葉や小説や音楽や、自分の中の好きなものがどんどん派生してイメージが膨らみ、生き生きとした気持ちになる。万能感や多幸感みたいな。
フランシス・ベーコンやピカソ、バルテュス、蔡國強の展示を見た時も、とっても興奮してしばらく収まらなかった。こうして振り返ると、ポスターやグッズを買って飾ったり、写真は撮っているものもあるけど、どういう刺激を受けたかどんな展示だったかは記憶が朧げ。その時感じた刺激を、簡単で良いから記録にしておけばよかったな。ちょっと勿体無い。
もう一つのコレクション展も楽しめた。屋外の展示も人気のプールの展示も十分に観て満喫。日中観たほか、見たりなくて夜再入場した。夜の美術館も良いものだな。金沢の1日目を21世紀美術館で使い果たした感じ。大満足。
「新鮮な地獄」の展示の色合いとセンスを通じて、久しぶりにスパイク・ジョーンズの「her/世界で一つの彼女」が見たくなった。「シャイニング」も。
心が満たされ、ワクワクとうきうきを連れてくる、そんな展示でした。
良いものを見た。おすすめの展示です。
メモ。
ブルーとダークグレー、ブルーとショッキングピンク、
スモークグリーンとターコイズブルー
好きだった色の組み合わせ。