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TOKYOSNOWを考察してみる~積もらぬ雪と僕の想い~
今回は櫻坂46の10thシングル収録曲のTOKYO SNOWが僕に刺さりすぎたので色々考察してみようと思います。(以下、解釈を述べる部分では僕=この記事の筆者、「僕」=歌詞の僕となっています。)
1 歌詞
(1) 底冷えがする12月のある日
僕たちはずっと歩いていた
本当は君に伝えたいことがあったんだけど
張り詰めた冷たい風が気持ちよくて
落葉樹の並木道をただ黙ったまま歩いた
(2) 天気予報は当たるのかな
午後から雨になるだろうって…
折り畳みの傘は持っているけど
これくらいの小雨ならいい
不意に頬に雨じゃないものが当たって
そっと広げた掌
(3) 雪だ(雪だ)雪だ(雪だ)
雪だ(雪だ)雪だ(雪だ)
思わず呟いた
雪だ(雪だ)雪だ(雪だ)
今年初めての風景
(4) 東京に降る雪は物悲しいよね
積もらないことを知っているから
それでもしんしん舞い降りる
そんな報われないひたむきさのように
君のことだけ思い続ける自分と重なって
うっすらと大地を覆うそんな儚さに
切なくなるんだ
TOKYO SNOW
(5) 天気図の低気圧なんて
今まで気にしたことなんかないよ
だけど大人になってほんの少しだけ知ってたほうがいいかな
春が来るまで君に伝えるのはやめよう
このままでもいい
(6) 溶ける(溶ける)溶ける(溶ける)
溶ける(溶ける)溶ける(溶ける)
アスファルトの上
溶ける(溶ける)溶ける(溶ける)
溶ける(溶ける)
言葉は消えてなくなった
また雨になる
(7) 僕が生まれた町では
雪が止むことはない
誰に踏まれることなくまっさらで…
愛しさは頑なにずっと消えることなく
何も言わなくても
胸の奥 静かに降り積もる
Hard to say…
(8) 雪よ 雪よ 雪よ Woo
雪よ 雪よ 雪よ
今年初めての風景
降り積もれ!
(9) 東京に降る雪は物悲しいよね
積もらないことを知っているから
それでもしんしん舞い降りる
そんな報われないひたむきさのように
君のことだけ思い続ける自分と重なって
うっすらと大地を覆うそんな儚さに
切なくなるんだ
TOKYO SNOW
考察を見やすく書くために歌詞の部分にカッコをつけました。
(1)
ここは情景を描かれた部分ですよね。ただ、「君に伝えたいこと」が後半にきいてくるわけですが…
(2)
ここも情景の描写だと思うのですが、ここで「折り畳み傘」を考えたいと思います。(6)でしっかり考えたいですがここでは(6)のラストの部分の「雨」を「涙」と仮定して考えてみます。このとき「折り畳み傘」の意味を考えると、相手への想いがあふれて消えることへの悲しさと虚しさから自分を守るものと考えることができます。また、物理的な世界に目を向けると傘をさして並んで歩くと必ず距離が生まれますよね。雨が降らない状態で好きな人と並んで歩く距離と傘をさしてある距離は少し後者の方が遠いですよね。ここからも想いが募るのを防ぐものという意味があると思ってます。
(3)
ここも情景の描写だと思うのですが、ここで「雪だ」と呟いてるの僕だけなのか?という疑問が生じます。なぜなら、ここのフレーズでは主語が明確には言われていないし、カッコで同じフレーズが繰り返されているからです。僕はここでは「僕」と想われている相手のどちらもが呟いていると思います。ただ、その呟きにこめられている想いは異なると思います。「僕」は「雪」と自分の相手への想いを重ねているのでその感傷の口火を切った呟きなのだと思います。一方で想われている相手(以降こうやって言うのが面倒なので「彼女」とします。思われている相手が「彼」だと思う方は「彼」に変換してください)は単なる小雨からの雪への変化に対する呟きなのだと思います。
(4)
ここにあまり解釈を喋りたくないのですが、雪一面の銀世界を想いが届くことだと解釈すると届かないけれども実を結ぶんじゃないかという淡い期待が薄く広がるかのように東京の雪を見て感じているのだと思います。うーん、好き。
(5)
ここ、考えたいフレーズが多いんですよ(笑)。まず「天気図の低気圧」について考えたいと思います。「天気図」は現実世界で考えると、天気予報の時の図のことなのでほぼ天気予報と同じものだと考えていいと思います。また、「低気圧」は周囲より気圧が低いので付近に来ると天気が悪くなる(雨や冬の場合は雪)ものです。これを踏まえたうえで後ろの歌詞を読むと、春が来ると雪は降らなくなるつまり、想いが実を結ぶかもしれないという淡い期待を抱かずに想いを伝えて泣くことができる。そして天気図の低気圧をはじめから知っていれば後から雨が降ることもわかる。だから彼女に想いを伝えて玉砕することもわかっていたほうがいいのかなという意味が込められているのかなと思います。
(6)
「アスファルトの上」というフレーズの前と後で「溶ける」の対象が違う気がしています。まず、「アスファルトの上」の前は地面に広がる薄い雪、つまり「僕」の彼女に対する想いが叶うかもしれないという淡い期待が「溶ける」ということ。「アスファルトの上」の後は降っている雪が溶けてみぞれないしは雨へと変わる。「僕」が彼女に伝えようとした想いも言葉に詰まって出なくなってしまいまた泣いてしまう。そういう意味での「溶ける」であり、「言葉はきえてなくなった また雨になる」だと思います。
(7)
これより上段では一面の銀世界が片想いが彼女に届くことだと仮定してきましたが、ここで少し解釈を変えたいと思います。一面の銀世界は恋の成就ではなく、募る想いと想いが届くかもしれないという期待なのだと思います。というのも、「僕が生まれた町では雪が止むことはない」のフレーズにあるようにいわゆる雪国と呼ばれる地域であり、一部地域を除いて基本的に東京のような大都市は存在しないと思います(札幌とかは大都会だと思いますが)。したがってここではある程度の田舎だと考えます。そう考えると、片想いしている彼女に対する危機感(誰かにとられるかもしれないという思い)が都会に比べて少ないので片想いの気持ちだけが雪のように降り積もっていくということなのだと思います。また、この解釈だと一番の歌詞と矛盾するのではないかという考えもあると思いますが、この部分での「誰に踏まれることなくまっさらで」から一番の「君のことだけ想い続ける自分」というのは片想いの純粋な想いだけではなく嫉妬といった踏まれた跡があるのだと思います。
(8)
ここでは「降り積もれ!」の意味を解釈したいと思います。これまで東京の雪は積もらないということを前提として「僕」は自分の想う感情を重ねていたのに、一転して雪が降ることを望むとはどういうことなのか…。「僕」のこのフレーズまでに抱いていた感情というのは変化していないと思います。このことはラスサビで一番の歌詞を繰り返していることからもわかると思います。では、どういう意味なのか。積もることはないとわかっているにもかかわらず、積もることを望むとはどういうことか。それは積もらないと知っているけど、純白のような片想いの純心だけが募って想いに伴う苦しみがないことを望む。また、想いを伝えて届くかもしれないという淡い期待が募ればいいという思いを表しているのではないかと思います。
(9)
ここは一番と同じ歌詞なのですが(なので特に解釈を言いたいところがない)、これまでの解釈を踏まえて聴くと深みが変わりますよね。
今回はTOKYO SNOWの僕の解釈をつらつらと言わせてもらいました。これは僕の解釈ですし、若干(もしかしたら相当)深読み気味ですので正解というわけではないです。そもそも解釈なので正解かどうかではなく曲がより魅力的に映るようになるかで読んでもらえると嬉しいです。
タイトルの画像は櫻坂46のInstagramの投稿から引用しました。