きっぷ集めの旅 1 〈 漢字一文字駅 編 〉
「きっぷ」がなくなる? 都市部は言うに及ばず地方でも、鉄道ではSuicaやICOCA、クレジットカードなどのICカードを利用したタッチ決済で電車に乗る人が主流となっていて、きっぷを券売機で買って乗る人は今やごく少数派です。きっぷ購入者が少ないからか比較的規模の大きい都会の駅でもずらりと並んだ自動券売機のそのほとんどにカバーがかけられ稼働している券売機はわずかに1台というところも見かけられます。そしてそのカバーにはたいてい手書きで「使用不可」と、けっこう雑に書かれていたりします。そこだけが時代に取り残されたような、ちょっと寂れた感じ・・・。
かつて、電車に乗るためには購入が必須であった「きっぷ」、ここ最近廃止の方向に進んでいるという報道があります。ただいきなり無くなるわけではなく、まずは裏が黒や茶色、(裏面に磁気が塗布された)いわゆる「磁気きっぷ」が廃止になり、新たに券面にQRコードが印刷された、裏が白い「普通紙」のきっぷが登場するようです。これは発行・管理・廃棄等でコストのかかる磁気用紙を使ったきっぷを普通紙のきっぷに変えて少しでもコストを下げたいという鉄道会社の経営上の戦略面、磁気を塗布した用紙の廃棄に関わる環境負荷の低減などを考慮した結果ではないかと思われます。
すでに普通紙のQRコードきっぷを導入している沖縄ゆいレールのような会社もあります。ネット検索でQRコードが印刷されたきっぷの画像でも出てきますので興味ある方は検索してみてください。QRコードきっぷは、磁気きっぷのように機械で吸い込んで瞬時に磁気情報を読み書きする複雑な機構は不要になります。自動改札機のメンテナンス面の負担は大幅に減るでしょう。乗車時と降車時、改札機に設置されたコード読み取り部分に、きっぷ券面のQRコードをかざして読み取らせ、そのデジタル情報を中央の管理サーバーとやりとりするという仕組みのようです。
さて、前置きが長くなりましたが・・・、昭和から平成、令和の歴史遺産(まだ無くなったわけではないですが)としての価値もある(と勝手に私が思っている)「磁気きっぷ」の姿を未来の人たちに残すため、ここ数年、西へ東へときっぷを集めて回っています。ただし経済的な事情や物理的・時間的な制約もあり日帰りできそうな姫路あたりから豊橋あたりの間のJR、私鉄の磁気きっぷを中心に集めています。これが意外にもハマってしまうんです。各鉄道会社の考え方の違いが券面の文言、文字種、文字配置などに現れています。各社が「きっぷ」を通して利用者に何を伝え、あるいは何を重視しているかが小さなきっぷ1枚の中に詰まっているのです。
第1回は漢字一文字駅名のきっぷを見ていただきたいと思います。広く見渡せば全国各地に漢字一文字で表される駅名というのはたくさんあるのでしょうがやはり、一番に紹介したいのは三重県の県庁所在地、津市にある「津」駅でしょうか。JR東海と近鉄(近畿日本鉄道)の乗り換え駅です。漢字も一文字、そしてふりがなも一文字の「つ」となります。残念なのは英文字表記になると3文字、「TSU」となってしまうことでしょうか。
「津」以外の一文字駅も見ていきましょう。関西にはたくさんありますが、「灘」や「鳳」など画数の多い漢字の駅は重厚で堂々としていて見栄えもします。
縁起の良さそうな漢字では「福」や「栄」、「錦」という駅があります。
植物の名前では「楠」、「桂」、「桜」などがあります。なお「桜」は四日市市内の近鉄の駅、名古屋市内の名鉄の駅として、両鉄道会社に存在しています。
そのほか、集めた一文字駅名きっぷは、「淀」「原」「湊」「堺」です。南海の「湊」と「堺」はお隣同士、連続で一文字駅が続いています、これはけっこうレアなんじゃないかと。
残念だったのは近鉄鈴鹿線の「柳」駅、もうすで券売機は無く薄っぺらい白の普通紙の「乗車票」(乗車駅証明書?)しか手に入りませんでした。
さらに岐阜県にあるJR東海、太多線「姫」駅ではきっぷ券売機も乗車駅証明書発行機のようなものもありません。仕方ないので駅名票の写真だけ撮って帰りました。日本の原風景のような牧歌的な風景が癒されます。事前に調べていけば良かったのですがまあ、こんなこともあるか・・・(泣)と。
最後はあったらいいな!という一文字駅名を妄想してみます。「龍」とか「壽」駅はいかがでしょうか?画数も多く威厳も感じられ、しかも縁起も良さそうです。マニアでなくても思わず買ってしまいそう?
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