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みんなで育てる「嵐」

 アイドルグループや芸人コンビの活動休止や解散が相次ぐ芸能界。SMAP解散の衝撃を経てどうしても心配してしまうのが「嵐」の解散である。

 そもそも学校一モテるようなイケイケの少年たちが、何十年と一緒にいて対立しないわけがない。しかも気が合う子同士で結成されるわけでもなく、むしろ全く別々の方向を向いた個性ある子たちが選ばれ、一つの方向を見て活動しているのだ。本来、同じ芸能界でもお互いに反発し合って全く接点を持たずに輝くべき五人が、「嵐」という名の下にひとつにまとまっている奇跡。だからこそ五人の関係性にファンは惹かれてしまう。

 現在は活動休止中の嵐だが、その経緯について松本潤はこう語っている。

 中居正広に「活動休止ってことは再開もある?」と振られた松本は、「うん、可能性としては」と応じ、「いつということは明言していないので。できる環境が整ったらする。でも、ドライな言い方かもしれないですけども、確約はないという状態ですかね」と率直に話した。 解散の選択はなかったか?と問われると、「ありました」と答えた。現在、芸能活動休止中の大野智に触れ、「最初大野が『抜ける、抜けたい』、『自分は脱退して仕事自体を辞めたい』という話を言って。それだったらグループを4人で続けるというのは僕らは感覚的にないというグループなので、だったら終わりかなと思っていて」と振り返った。

 解散について話し合う中で「活動休止ってスタイルを、もしよければとってもいいんじゃないか」の意見があがったそう。しかし大野には「活動休止という、甘えというわけじゃないけど。そういう事(脱退)を自分が言い出しっぺとして選んじゃいけないという意志があった」という。その後、事務所の働きかけなどに大野が態度を“軟化”させたとし、「そういう選択肢もあるんだなって本人が思って。みんなが、それがいいと思うなら活動休止をさせてもらうのもありかなってなって、じゃあどういう風にそれぞれ思うかって話をして落ち着いたのがそこ(活動休止)でしたね」と話した。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/01/14/kiji/20220114s00041000532000c.html

スポニチ 2022年1月14日

 どうやら大野智の脱退ひいては嵐の解散をふせぐために「活動休止」というかたちをとったようである。活動再開を前提とした一時的な活動休止というわけではない。

 この度、「嵐としての活動を休止する」という結論に至りましたのは、メンバーの一人である大野の気持ちがきっかけとなりました。「2020年を区切りに、ここで一度嵐をたたみ、それぞれの道を歩んでもいいのではないか。」
https://www.johnnys-net.jp/page?id=text&dataId=1646&artist=10

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 活動休止して三年、大野智を除いた四人の”それぞれの道”はどうだろうか

 松本潤はNHK大河ドラマ「どうする家康」に家康役として初出演、初主演に抜擢され、一年半もの間、大きな責任をもって座長を務めあげた。ライブの演出やプロデュースも手掛けてきた彼にはまだまだ可能性があるはずだ。櫻井翔は日テレ系ドラマ「大病院占拠」で主演を務め話題を集める一方、音楽番組やバラエティー番組の司会も継続して行い、「news zero」のニュースキャスターとして社会的な地位も築きつつある。二宮和也は旧ジャニーズ事務所の後輩らとYoutubeチャンネルを開設し、24時間テレビのメインパーソナリティーを務めるなど、安定した人気を博している。また、昨年には旧ジャニーズ事務所から独立し、SNSを始めるなど個人の活躍の場を広げている。相葉雅紀は「志村どうぶつ園」や「VS嵐」といった大型ゴールデン番組を引き継ぎ、舞台やMC業で高い評価を得ている。

 それぞれのメンバーが、それぞれの持ち場で活躍しているのだが、これは四人の頑張りだけで成立しているものではない。関係者が嵐の活動再開を目指してのものでもある。旧「VS嵐」の幾度のリニューアル改変は「嵐が戻ってくる場所をなくしたくない」「いつか来るその日まで相葉くんと一緒に嵐のゴールデン枠を守っていくんだ」という番組スタッフの強い想いを感じてしまう。(想像)ジャニーズ事務所に対する風当たりが強い中、「木7◎×部」は低視聴率のためにわずか半年で打ち切りとなり、「相葉◎×部」として四月から再リニューアルを果たす。ここまでするからには絶対に終わらせるわけにはいかない。「KinKi Kidsのブンブブーン」や「TOKIOカケル」後継番組が終了し、「嵐にしやがれ」の後継番組で櫻井翔が司会を務める「1億3000万人のSHOWチャンネル」も三月末に終了する中、その道は非常に険しい。

 エンタメにおいてもクラスター化が進む今日、嵐は日本最後の国民的スター、誰もが認めるトップアイドルといえるだろう。それぞれ別の道を歩みつつある彼らが集結することはときが経つほど難しくなっていくだろうし、なによりメンバー特に大野くんがもう一度嵐として活動したいと思ってくれるのかが大事だ。その時が来るまで、ひとりも欠けることなく、新しい輝き方を探し続けなければならない。ひとを惹きつけるような努力、才能、人間性。これらを発揮するのはもちろん各メンバーの頑張りだが、頑張れる場を用意するのは周りの頑張りである。なんとかして嵐の再結集までこぎつけてほしい。相葉くん、がんばって!

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