LAP8期 ジェンダー単元 事前課題|がじまろ
◎講師:INVITATION 代表 変革リーダーシップコーチ 松田 美幸 氏
課題①
以下のそれぞれの状況であなたならどう対応するかを考えてください。
あなたは、インビジブル国に生まれて育った大学生です。インビジブル国には、格差がなく、誰もが平等に暮らす社会だと感じてきました。ところが、政権が変わり、実はこの国には世界でも最下位にランクされるほど、大きな格差が存在することが、発表されました。そして、国民の一人一人に生まれながらにしてついていた特権スコアが通知されたのです。
※「特権」とは、「あるマジョリティー側の社会集団に属していることで労なくして得る優位性」と定義しています。「本人の労なくして得ることができる優位性」というのは、たまたまマジョリティー側の社会集団に属することで、自動的に受けられる恩恵のことです。たまたまマジョリティー側の集団に属していることから、本人が気づきにくいとも言われています。
状況1
あなたは特権スコアの高い集団に属していることがわかりました。家族や友だちの中には特権スコアの低い集団に属する人もいます。この状況をあなたはどのように受けとめますか。また、日常生活のさまざまな場面で、特権スコアの低い人たちから、特権スコアの高い人たちのせいで、自分たちは傷ついている・不安だ・不自由だと言われるようになりました。あなたは、どのような行動をとりますか。
特権スコアが高いかそうでないかというだけでも、人々との衝突は避けられないため、特権スコアが低いと言われた人にも、敢えていつも通りに接していこうと考える。「特権スコアが低いから…」という理由でいきなり態度を変えるのは、相手にとっても失礼極まりない行為だと思う。だからこそ私は相手がどんな人であっても、今まで接してきた通りに接していくと思う。
「特定の個人を批判したいときは、その人を批判すべきであって、こうして主語を大きくして発信すべきでは無い」と諭すだろう。社会が憎いのなら社会を批判すべきだし、個人が憎いのなら個人を批判すべきである。主語を大きくして関係の無い人を巻き込んで批判するのは、彼ら(自らの特権スコアが低く、特権スコアの高い人たちを批判する集団)を傷つけた人たちと同類になってしまうのでは無いだろうか。言われのないことで傷付くのはみな同じなのだから、スコアに関係なく、ただの人間としてのモラルを両者共に持つべきである。
状況2
あなたは特権スコアの低い集団に属していることがわかりました。家族や友だちの中には特権スコアの高い集団に属する人もいます。この状況をあなたはどのように受けとめますか。また、日常生活のさまざまな場面で、特権スコアの高い人たちの言動に傷つき、不安を覚え、不自由な生活を送ることになりました。どのような行動をとりますか。
特権スコアが高かろうが低かろうが私は私であることに変わりは無いので、状況を知ったところで大きく変わることもないと考える。また、社会に不満があれば訴えかけるし、個人から耐え難い苦痛を得たと感じれば、その個人に直談判すると思う。1人でどうにもならないのであれば、同じ信念を持つ同志を集めて公に訴えかける活動をしていきたい。
状況3
もし、あなたが、自分の特権スコアを選べるとしたら、高いスコア、低いスコアのどちらがいいですか。それはなぜですか。
どちらでも構わない。
私が私であること、それ自体はどのスコアであっても変わらない事実であるからだ。
人と違うこと・もの、それらはどんな人間にも存在しうるものであって、それを差別化しようなどという試み自体がナンセンスである。
課題②
どんな社会にも、その人の行動や選択に関係のない条件(アイデンティティや環境)によって開閉に差がつく見えない自動ドアが存在しています。
1.現代日本社会のジェンダー不平等の自動ドアの存在を意識、経験したことはありますか。課題資料も読み込み、自分やまわりで感じた具体的な例も踏まえて、考えを共有してください。
私はまだ学生で、社会に出たことも無い(=視野が狭い)ため、あまり「自動ドア」の存在を感じ取れたことは無いのだが、強いて言うのであれば、中高生の頃に体育祭の団長や生徒会長になりたくてもなれない女子クラスメイトがいたということである。
彼女たちは「今年こそ団長になって皆を引っ張りたい」「生徒会長になって、この学校をより良くしたい」といった信念を掲げていたが、最終的にはどちらも男子が請け負い、彼女たちはそれ以外の役職についていた。
どちらも周りからの推薦や立候補により決められていたのだが、生徒会長に関しては最終的には投票で決まるため、どうも選ぶ側が無意識に「やっぱり男子かな」と考えた説もあるのでは無いかと推測できる。
2.ジェンダー以外で、自動ドアの存在を意識、経験したことはありますか。自動ドアのセンサーが反応する人、しない人の立場を経験して、自分ができることは何があると思いますか。
「自動ドア」に反応する事例かと言われると、あまり自信が無いのだが、高校生の頃の出来事として1つ思い当たる節がある。
それは、文化祭によるクラスタオルについてである。当時私は自分自身でも大人しい方(簡潔に言えば陰キャ)だと自覚していたが、それでも周りの雰囲気に呑まれながら浮かれた学生の1人として、この学校行事を楽しみたかった。ある時、クラスの中でも活発な子(要するに陽キャ)が記念としてクラスタオルを作ろうと盛り上がっていた。周りの生徒も浮かれていたのだろう。ほとんどの人がクラスタオルを買おうとしていた。私もその1人だった。
集金に来た彼らに対し、「私も買う」という旨を伝えると、驚いたような有り得ないといった視線を私に向けてきたのだ。それも彼らだけでは無い。周りの数人も同じような目で私を見た。微かだが「えーまじ?」「買うんだ…」のような声も聞こえた。面と向かって批判された訳では無く、私自身も悪いところはひとつも無かったのだが、その時の周りの雰囲気が酷く濁っていて居心地が悪かった。
相手に対して態度を変えるというのは失礼極まりないことだと常々感じているが、視野を広げ、気を配らなければ公平に扱えないので、困っている人を見掛けたら積極的にお節介を焼いていこうと思う。
日本の男女共同参画の現状のデータを読んで、各自が気づいたこと
・男女の平等感に対する意識についてのグラフで、男性の方が優遇されていると答えた人の割合が多いこと。
私自身は男女での格差をあまり感じたことはないが、これは、私がまだ学生で社会人としての役割を果たしていないためかと思われる。
・女性役員について
大学でも「女性」や「ジェンダー」に関する内容の講義を受けているのだが、それも踏まえた上で女性役員が少ないのは、男性とは違って女性には「結婚」「出産」といった大きな節目があるからだと考えられる。今は「結婚」をしただけで辞める女性は少ないのではとは思うものの、「出産」をして子育てを本格的にしなくてはならないため、場合によっては離職しなくてはならないこともある。そういった理由により、女性の上位役職が少ないのではと推測できる。
・ひとり親世帯の状況
母子家庭の就職率が80%以上と高めの数値なのにも関わらず、年間収入が低いところを見るに、同じひとり親世帯でも、母子家庭のほうが相対的貧困率が高いように思われる。
父子家庭より非正規雇用者の割合が高いこと、養育費の受領率が高いことからも伺える。
皆さんはインビジブル国の内閣です。政府が国民に特権スコアを通知した後、この特権スコアは主にジェンダー格差が影響していることがわかりました。インビジブル国のジェンダー格差をなくすためには、どのような施策をとるといいと思いますか。
特定のジェンダーが有利になることがないように、まずは公平性を保ちつつ、みなが同じ土俵に上がれるような政策を取るべきである。
偏った修正はやがて国民の間で亀裂を生むため、例え批判されようとも平等より公平性を重視すべきである。