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歌詞から見る「スリーズブーケらしさ」

みなさんはCD買ったら最初に何をします?

ぼくはCDが手元にきたら、まず歌詞カードを舐めます
耳より先に視覚で歌詞を見て、「えっ!?ここの歌詞この表記なんだ!」と楽しみたいのです。

みなさんは歌詞カード舐めてますか?舐めてない?じゃあ今日から舐めようか。

さて、そんな歌詞を眺めていると、ふと気づくことがあります。

「あれ?この単語、前も使ってたな」と。

みなさんもラブライブ!に限らず、好きなアーティストの曲を聴いてると「この表現好きだよなぁ……」ってなることありません?

僕はそれこそ、作詞者の個性であり、らしさじゃないかなって思うんです。
よく使う単語、係り受け、遊び方。むしろ使わない表現。

それを見つけられると、作詞者の名刺を受け取れた気分になります。

「じゃあそれを蓮ノ空でも見つけよう!!!!!」ってのが今回の趣旨です。

幸い、蓮ノ空では「この曲はこの子作詞」「これは伝統曲」など、ある程度設定されているので、作詞者ごとの個性もみえやすいんじゃないかな?って思ってます。

そして、今回はさらいんさん(@nanoha)にお誘いいただいたタグ企画、「#明日の私たちへと繋ぐから」にあやかって、スリーズブーケに絞って歌詞を分解してみました。(なんとトップバッターです)

見落としがあるかもしれませんが、僕なりに調べて頻出してた単語、印象に残った表現について語らせてください

ただ、僕は歌詞とは全体の流れも合わせて完成系だと思っているので、それを分解するのは野暮とも感じています。
けれど、「歌詞を分けたい!」と暴れている僕がいるのも事実。

そんな自分同士が戦った結果、野暮な僕が勝ったので、今回は野暮なことをやりたいと思います。

なお、「1番使われた単語はランキングしないの?」と思った方もいるでしょう。

ごもっとも。というか、最初はそれをやろうとしました。

ただ、最頻出単語のランキングにしてしまうと、『Mix shake!!』にしか出てこない「shake」が上位に喰い込む事故が起きたので、今回は僕がチョイスした単語を紹介するに留めさせてもらいます。(『Mix shake!!』には勝てなかったよ…)



蓮ノ空らしい歌詞

さて、長々と「歌詞から見える"らしさ"」の話をしましたが、実は、「蓮ノ空らしい歌詞」に関しては、既にカードボイスで少しだけ言及されていたりします。

あたし、分かったかもです。梢センパイ。蓮ノ空の伝統曲によくお星様が出てくるのは、大勢の先輩方も同じように、この星空を見上げていたからなんですね。

[ドルフィン〰ビーチ]日野下花帆 入手時ボイスより

花帆ちゃんは、当時の先輩方の気持ちが、すべて分かったわけではないでしょう。
でも、「星」を歌詞に閉じ込めたくなるような、綺麗な星空が広がっていた。時代を超えた感動が、会ったこともない先輩方と花帆ちゃんを、確かに繋いだはず。

「空」はそんな「時代を超えて共感できる歌詞」で、伝統を受け継ぐ蓮ノ空らしさでもあると思うんです。

景色ってのは、時代によって大きく変わりますよね?
例えば、ガラケーが伝わらなくなってきているように、スマホも時代遅れの板になる時が来るかもしれない。

時代が違うから、共感できない、理解できない。
そんな歌って、次の時代を生きる子達に歌ってもらえるんでしょうか?
きっと、いつか忘れ去られてしまう。

でも、星に限らず、空はずっと変わらない。
だからこそ、空にまつわる歌詞は、いつの時代でも少女たちの胸を打ち、伝統として受け継がれてきたのでしょう。

それこそ、オタク絶対〇すスリーズブーケ曲でお馴染みの、『素顔のピクセル』では「君と見てる空」って歌詞が印象的ですよね。

僕らは10数年前に蓮ノ空にいた、2人のスクールアイドルを知らないし、知る由もない
ただ、今に残された曲と、語り継がれる誕生秘話があるだけ。

でも、確かに共有できる気持ちがあると思うんです。

もし、あなたが金沢に訪れる機会があったら、夕方にふと空を見上げてみてください。

どんな2人だったかなんて分からないけど、「きっとこんな空を2人も見てたんだろうか」と想いを馳せられるはず

そんな『素顔のピクセル』の誕生秘話は下の動画の12分10秒くらいから見れるので、全人類見てください。見るんだ。

ちなみに花帆ちゃんは「伝統曲に星が出てくる」って言ってますが、歌詞に「星」が入ってる曲で、伝統曲と言及された曲は今のところありません
(一応、出自不明の『永遠のEuphoria』に「星」が含まれているので、ひょっとするとこの子は伝統曲だったり……?)


スリーズブーケらしさ

「私」

まず、「私」。
最頻出レベルの単語で、『残陽』『素顔のピクセル』以外の、スリーズブーケ曲で登場しています。

「いや、一人称が頻出なのは当たり前じゃん」と思うかもしれません。
ご最もです。ただ、他ユニットと比較してみると、これがまた面白いんです。

例えば、みらぱもスリブと同じように「私」が多用されていますが、DOLLCHESTRAでは「私」が使われてる回数が非常に少なくなっています。

登場曲も、『ツキマカセ』、『スケイプゴート』、『Tragic Drops』のみ。

さらに、ドルケ最頻出の一人称は「自分」です。

私でも、僕でもなく「自分」。
他ユニットと比べ、DOLLCHESTRAの曲は、どこか客観的に自分を見ている。そんな印象を受けませんか?


「君」

さて、「私」がいるなら、当然「君」がいなきゃ始まりませんよね?

スリーズブーケでは、"私"と並び、他ユニットより3割ほど増しで採用されています。

なんと言っても、今のスリーズブーケ始まりの曲の歌い出しがこれですからね。

私と君の今を繋ぐ これはそんなストーリー

『水彩世界』より

「君」と背中合わせで踏み出した103期、常識を吹き飛ばしてくれる、暗闇すら眩くなる「君」の存在が、作詞者にとってどれほど大きかったか?
そんな作詞者は誰か、「君」って誰か、もう言うまでもありませんね。

さらに、スリーズブーケの面白いところは、私と君の関係性が、103期以前から脈々と続いていることです。

例えば、『Reflection in the mirror』が今の形で受け継がれてきたのは、原曲となった『逆さまの歌』を、大事な人を勇気づけたい一心で改変した、誰かの存在があったからと言及されています。

原曲の『逆さまの歌』は今とは歌詞も随分と違ってて、なんていうか自分のことを励ますような歌だったんです。でも『Reflection in the mirror』は大切な人と一緒なら自分を信じられるって歌に変わってて。これはただの想像なんだけど、初めてこの歌を改変した人はすごく大事な誰かを、精一杯勇気づけたかったのかなって思いました。

[Reflection in the mirror]百生吟子 特訓ボイス2回目より

オタクの頭部ぜったい破壊する曲こと『素顔のピクセル』も、蓮ノ空を去ってしまうメンバーへ送った手紙と写真が元になり、今日まで歌い継がれてきました。

「大切な人を勇気づけたい」って一歩に、誰かが共感して繋いで、それがいつの間にか軌跡になって、スリーズブーケの在り方として根付いた

そう思えば、「私」と「君」は、何年経っても変わらない、スリーズブーケの根幹を為すフレーズなのかもしれません。


「夢」

いうまでもなく、ラブライブ!最重要レベルのワード。
当然、スリーズブーケだけでなく、他のユニットでも頻繁に使用されています。

気になったのはその使い方。

「夢」のあとに続く言葉といえば、「叶える」とか、「見る」ですよね?
実際、みらぱやドルケでも「夢を見る」みたいな使い方は、それなりに登場します。

ただ、スリブではほぼない……というか『Mix shake!!!』と『月夜見海月』しかありません。

しかも、月夜見海月に関しては、作詞を行ったのは吟子ちゃん。

『月夜見海月』は、私が歌詞を書かせていただきました。遠い憧れに思いを馳せる、小さな小さな、クラゲの歌です。

[月夜見海月]百生吟子 特訓ボイス1回目より

また、『Mix shake!!!』も102期にはすでに存在していたことが、『103期Fes×ReC:LIVE ~first crossing~』では明かされていました。

最初に歌った『Mix shake!!』も、あなたに出会う前と、出会った後では、同じ私でも歌うときの気持ちは全く違っているわ。だから、同じ曲でも、同じじゃない。

『103期Fes×ReC:LIVE ~first crossing~』 9月13日 19時公演より

果たして102期の頃に梢センパイが作ったのか、それよりも前から受け継がれてきた伝統曲だったのかは定かではありません。

ただ仮に後者だった場合、梢センパイ作詞の曲では、まだ1度も「夢を見る」って歌詞が登場していないことになります。

これ…個人的にドキドキしてるというか。
満を持して梢センパイが「夢見てる」って歌詞書いてきたらどうなっちゃうんだ。


「花」

蓮ノ空といえばこれ。
蓮ノ空に触れていて、この言葉に出会わない日はないでしょう。

しかし、「花」を歌詞に取り込んでいるユニットは、スリーズブーケただ1つ

全体曲でも、『明日の空の僕たちへ』、『抱きしめる花びら』、『Bloom the smile, Bloom the dream!』の3曲です。

特に、花が含まれる全体曲の中でも、『抱きしめる花びら』と『明日の空の僕たちへ』は、涙なしでは聴けない、卒業、別れ、区切りを想わせる。

前者は作詞・藤島慈、後者は伝統曲かどうかも定かではありませんが、この2曲を見ていると、「花」はあまり多用される表現ではないと分かります。

むしろ、四度目の桜を迎え、別れと共に散っていく花びらに想いを馳せる特別なフレーズ。切り札なのかもしれません。

だからこそ、『Bloom the smile, Bloom the dream!』の作詞が、スリーズブーケの日野下花帆って事実が効いてきますよね。

瑠璃乃先輩が曲を作っているときも、ほえ~って見てて。花帆先輩がその曲を何度も聴きながら、1つ1つの歌詞を作っているときも、ぽへ~って見てて......!最後はさやか先輩が二人のバトンを受けて、全体の振り付けを考えてて、3人で話し合いながら、だんだん形になっていくのが、すごいな~って思って!

[Bloom the smile, Bloom the dream!]徒町小鈴 特訓1回目ボイスより

つまり、「花」ってワードは蓮ノ空らしさというよりも、日野下花帆らしさ

もっと言えば「蓮ノ空らしさ」だと感じていたフレーズは、「日野下花帆がいる蓮ノ空らしさ」だったのかもしれませんね。


「咲く」

これも「花」同様、スリーズブーケ以外に使用してるユニットはいません。

全体曲では、『On your mark』、『Yup! Yup! Yup!』『Bloom the smile, Bloom the dream!』『365 Days』の4曲で登場します。

なお、『365 Days』は蓮ノ空に受け継がれる伝統曲ですが、慈先輩のボイスで、披露するにあたって歌詞にアレンジが加えられていると言及されています。

さてさてライブで歌った『365 Days』はね、蓮ノ空に昔から伝わってきた伝統の曲でね。もちろん歌詞とか曲とかは私たちでちょこちょこアレンジさせてもらったんだけど。どうだった?かなりの名曲じゃない?

[365 Days]藤島慈  特訓ボイス1回目より

そのため、元々の歌詞には「笑顔咲く」って表現はなかった可能性も考えられます。

先述した通り、「花」や「咲く」って表現を、蓮ノ空らしさと感じてたけれど、正確には「日野下花帆がいる蓮ノ空」の色なのかもしれませんね。

だとしたら、Fes×LIVEでやたら披露されてる『On your mark』と、1月度でしれっと出てきた『Yup! Yup! Yup!』も、103期以降生まれたorアレンジが加えられた楽曲なのか……?

もしくは、花帆ちゃんみたいな人がいた時期に、生まれた曲だったり。


「忘れる」「忘れない」

頻出ってほどではないけど、他ユニットに比べると、よく歌詞に盛り込まれている言葉です。

ただ、「忘れない」という言葉をめぐる関係性は、他ユニットとは違う色があります

例えば、ドルケなら「忘れたい」「忘れて踊りたい」など、自身を縛りつける苦しい思い出を、なんとか解こうとするニュアンスの使い方が印象深いです。
みらぱなら、オチや嫌なことを忘れたりなど、ポジティブでコミカルに使用されていますね。

一方で、スリーズブーケは「忘れる」って事実と、それに立ち向かう2人の関係性が強く描かれています。

以前のインタビューで花宮さんは、「忘れる前提」の梢と、「忘れないようにしている」花帆の関係性について語っていました。

花帆は忘れないようにしているんですけど、梢は忘れることが大前提なんですよね。でも、花帆が思い出させてくれるっていう関係性まで詰め込まれているんじゃないかなって考えています。

“ラブライブ!”としての覚悟──『蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ』キャスト座談会

もちろん、梢センパイの「忘れる前提」ってのは、忘れたいってわけではないと思うんです。

忘れない、忘れたくない。
でも、現実として、人は抗いようもなく忘れていく。
どうしようもない事実。

けれど、忘れるからこそ、人は思い出すことだってできるはず。
そんな時、思い出すための手助けをしてくれるのが、日野下花帆なんですね。

だから、『Spcial Thanks』や『眩耀夜行』で、「忘れないで」と花帆ちゃんが歌ってるって事実に涙腺バチボコにされちゃうんです。

ちなみに、全体曲で「忘れてた」または、「忘れない」という歌詞が出てくるのは、『365 Days』と『抱きしめる花びら』の2曲となっています。

これ面白いのが、どちらも藤島慈の作詞or歌唱パートなんですよ。

忘れない 優しい微笑み ありがとう ありがとう
忘れない 熱い瞬き ありがとう ありがとう
忘れない これからもずっと ありがとう

『抱きしめる花びら』

忘れてた 夢を思い出した

『365 Days』

また、慈先輩は『365 Days』のボイスで、「思い出は忘れていく」と語っています
慈先輩も、梢センパイと同じく、「忘れていく」ことは分かっているんですよ。

だからこそ、切実なまでに「忘れない」って言葉を紡ぐんでしょう。

仮に「何があっても忘れない」確証があるのであれば、最初から「忘れない」「忘れないで」なんて、歌詞を書くはずがない。
忘れてしまうからこそ、「忘れない」って願いを込めて、スクールアイドルは歌にするんじゃないかって。僕はそう思ってます。


まとめ

変わらないスリーズブーケらしさ、「今」のスリーズブーケらしさ。
歌詞を見ると節々に宿っているのが分かりますよね。

もちろん、これから出る曲にも、同じ要素が含まれているとは限りません

人が変われば、当然色も変わっていくものです。
今の蓮ノ空には「花」が根付いていますが、日野下花帆が卒業すればどうなるんでしょう?

もっと言えば、乙宗梢が卒業したら、スリーズブーケの色はどう変わってしまうんでしょう?

曲が、歌詞が好きな自分からすれば、年月の中でそれが変わってしまうのは、とても寂しく苦しいものです。
というか、103期の伝統曲のサウンド、本当に好きだったから、104期版になった時は寂しくて仕方なかった。104期『アイデンティティ』とか聴きながら泣いてた。

だからこそ、今を見逃したくないんですよね。
多分、ぼくは色んなことを忘れてしまうけど、その度に思い出したい
思い出せるように目に焼き付けたい。

仮に思い出せなくても、せめて「忘れた」ことを忘れたくないのです。

みなさんも、大切な今を思い出せるよう、歌詞カードを舐め回しませんか?


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