ケアテイキング
一般的な戸建ての住まいの工事期間はハウスメーカーで3~4ヶ月、工務店で4~5ヶ月程度だろうが、竣工後の耐用期間、所謂寿命はこの工事期間よりかなり長く、この期間をどう維持するかが重要だ。
一般的に住まいの寿命として社会的に認知されているのは、唯一税務上の取り決め。それでは住まいを不動産として位置づけ、竣工後は直ぐに中古と見なし、構造区分で定めた耐用年数によって決められている。鉄筋コンクリート造の建物だと47年、木造だと22年で、感覚的には実際より短い気がする。
一方、世の中の住まいを見渡せば、その寿命は千差万別。税務上の耐用年数より短いのに、老朽化していると判断され建て替えを余儀なくされた住まいもあれば、百年以上経っているのに、魅力を保ちながら生き長らえている住まいもある。この差はスペックの違いにより生じる場合もあるが、建てられた後の維持保全の違いに帰することが大きいようだ。
具体的には、寿命の短かった物件はまともに修繕していなかったり、していたとしても気配りなくトラブルがあれば単に機能回復だけを積み重ねているだけで、実に見っとも無い状態になっているのに対し、寿命の長い物件では居住者の思い入れもあってか、誰が見ても快いと感じる状態を保ち、不動産としての数値的価値は下がったとしても、住まい本来の価値は低下していないように見える。
この維持保全の違いを生む最も大きな要因の一つを取り上げれば、デザインされているか、どうか、だと思える。
ここでは、他の維持保全と区別する意味合いにおいて、デザイン性に配慮された維持保全手法をケアテイキングと称する事にした。
写真:デザインされている修繕(上階)、デザインされていない修繕(下階)、何れも同一建物内だが所有者が異なる