15.小説MCH - フレアと父「ラルフへの手紙」(修正ver.3 2024/1/5)
「おっ、そういえばアオ。そんなことよりも、今日はオレに何かの届けモノがあったんだろう?」
ラルフは思い出したように、アオに今日の本題を促した。
「あ、そうでした!はい、こちらです」
アオはカバンから一通の手紙を取り出した。
「お〜っ!やっと来たか!」
差出人を確認したラルフは、早速、封を開けて手紙を読み始めた。
——— ...ネ.....ム...?
幼いフレアには、その手紙の差出人が誰なのかは、はっきりとは読み取れない。ただ、父の興奮気味な顔を見ていると、何やらいい知らせだったらしいことは、一目でよくわかる。
「よしよし、やっとでき上がったみたいだな!」
受け取った手紙を読み終えたラルフは、そのままアオを見返すと、矢継ぎ早に言葉を続けた。
「よ〜し!それじゃあ、行くぞアオ!」
「え?ボクも一緒に行くんですか?」
「まぁいいだろう?お前もどうせモノのついでだ」
こういう時のラルフは、ずいぶんと少年のような笑顔をするものである。
「行〜き~ま〜 ... しょう!」
そしてアオもどうやら、なかなかノリで動けるタイプのようだ。
「でも~、ラルフさんは走るのが速すぎるんですよぉ。だから今回はちゃんとボクの走りに合わせてくれますよね?」
「もちろんだ!
よ~し!それなら決まりだな。
それじゃあフレア、またちょっと出掛けてくるからな!」
ラルフはフレアの頭をポンとひと撫ですると、「後は任せた!」と息子に告げる。
「え~っ!?父ちゃんさっき帰ってきたばかりなのに、また出かけちゃうの~?」
ラルフは、さっき立てかけたばかりの愛刀とローブをすでに手に取って、今にも家を飛び出そうとしている。
――― まぁ、これも父ちゃんのいつものことかぁ
フレアが幼いながらに、周りの子供よりもずいぶんと切り替えが早かったのは、こんな父を見て育ったからかもしれない。
「わかった父ちゃん!でも帰ってきたら、また今度の冒険の話をちゃんと聞かせてよね~」
「おぅ!もちろんだ。それじゃあアティカのことも、よろしく頼んだぞ!」
「あ、フレアさん。ボクの分も、ぜひアティカさんによろしくお伝えくださいね!」
「もちろん!アオさんも、バッジありがとね!またね~!」
フレアはもらった青いバッジをアオに見せながら、満面の笑顔を二人に返した。
「よ〜し、それじゃあ行ってくる!」
「は~い!行ってらっしゃ〜い!」
フレアは大きく手を振りながら、ラルフとアオの背中を見送った。風を切るように一足飛びで走っていく二人の姿は、どんどん小さくなっていった。
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「ちなみにアオよぉ。ちょっとでいいから、オレのことを担いでいってくれないかぁ〜?」
猛スピードで走りながら、ラルフはさっそく少年顔でアオに甘えていた。
「や〜り〜ま〜...せん!
いや、ですからラルフさん。ボクは "人運び屋" じゃないんですってば。ましてラルフさんはデカすぎるから、そもそも担ぐなんてムリですよぉ」
「えー、だったら、オレもあの青いバッジが欲しいなぁ〜」
「いや、ですからラルフさん…
あのバッジは、アオ郵便のお客さん用なんですよ。でもラルフさんは、お客さんじゃないんですから、バッジはあげられませんよぉ」
「え~?かったいなぁ。かたい!
そんなにお堅くされちゃっちゃあ、ちっとも面白くないじゃないかよぉ~」
二人はかなりのスピードで走りながらも、そんな会話遊びを楽しんでいく。もちろん、すでに遠く見えなくなったフレアは、父とアオのこんな会話を知るよしもない。
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※この小説My Cool HEROESは、ジェネラティブNFTコレクション「My Cool HEROES」の背景に流れるストーリーをまとめた中編小説です。
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