手がつなげない子 歓迎遠足#7
令和5年5月13日(土)
前回の「授業参観の帰りの様子から」で「手のひらと手のひらを合わせる」ことを書きましたが、私には、「手をつなぐ」ことでもう一つ担任をしている時のことで忘れられない思い出があります。
それは、一学期の最初の歓迎遠足の時のことでした。例年、5,6年を受け持つことが多かった私でしたが、この年は久しぶりに3年生を受け持ち、歓迎遠足として子供達と一緒に近くの植物園に歩いて行きました。そして自分の学年の子供達に注意事項を話した後、私は見晴らしのいい所で全体を見ようと思って展望台の方に歩き出した時のことです。
後から、「先生!」と言う声が聞こえると同時に、5,6人の子供達が横にくっついてきました。
「どこ行くと?(博多弁で)」口々にそう言いながら、私の両手がその子らに握られてしまいました。その感触は久しぶりだなあと思うと同時に、30代後半の私には、ちょっと照れくさい気がしたのを覚えています。
私の手を取った二人は、当然、日頃教室でも活発なお子さんで、私も「やっぱりか」と思いました。そこで、次の言葉を発しました。
「手をつないでいる子は、少ししたら隣の子と替わってあげてね。」
「はあい!」(じゃあ次は、○○さんね、先生の手をお願いね。)
そうこうしているうちに、最後の子と私は手をつなぐ「儀式」(笑)は終わりました。
新学期早々の遠足での儀式。今から30年以上も前の思い出ですが、お爺さんになっている私には、まだその時の子供達の手の温もりを覚えています。そして一番大事な、「いつも手を取れない子のこと」も思い出しました。そして今でも、その子の手を取りたくてたまらないもどかしい顔、そして手をつなげた時の安堵した顔も目に浮かびます。
この記事を書きながら、30年も前の事ですが、今でも新鮮な「温かい思い出」として思い出しました。
今の先生達は、当時の私みたいに手をつなぐ時にこんなことを感じているのだろうかと。ひょっとして手をつなぐことはあるんだろうかと。
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