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子どもの登校時の一コマ Ⅱ #46
(H小学校 平成23年2月学校だよりより抜粋)
『1月のある朝のことです。
その日は、私は7時半頃からMさん(○○校区親父の会の会長)と正門の坂の下に立っていました。どんなに寒くても、早い子はこの頃にはここを通過していきます。(その頃の登校時刻は8:30まで)
ある低学年のお子さんが通過してきたので、私が
「お‥‥」と言いかけると、その子はその前に、
「○○校長先生,おはようございます」と言ってくれました。そこで私は、
「いってらっしゃい。」と呼びかけると、その子も嬉しそうに目をキラキラ輝かせて、
「いってきます!」とまた言ってくれました。
実は、その子さんは、今から一年前は、自分を学校まで送ってから仕事に行くお母さんの後ろ姿を、涙を浮かべていつまでも目で追っていたお子さんだったのです。一年間の成長はすばらしく、体だけでなく心も確実に大きくなっているのです。
そのお子さんの姿を見る度に私はうれしく思うと共に、その子のお母さんの何ともいえない温かさを感じます。
だいたい8時頃には、殆どの子ども達が門を通過していきます。それが8時5分を過ぎると様相が逆転してきます。(8時5分にこの門を通過したら、教室には8時15分には着けるのですが…。)どの子も足早に、目も真剣な顔つきで歩いてきます。しまった!と言う気持ちが顔にも表れています。私は、心の中で『急がないと!』と思いながら、
「いってらっしゃい」「先生が待ってるよ」
と呼びかけると、心持ち気にした様子で、チョコンと頷いた様子で駆けていきます。
しかし、それからがまた様相が異なってきます。8時15分も過ぎると、遅くなる子は決まってきます。 必ず遅れて来る子には、「おはよう」「いってらっしゃい」と送り出します。(この子達は、遅れる理由が私には痛いほど分かっているからです。)
しかし友達とプラプラとしゃべりながらゆっくり登校する子には、呼び止めて理由を聞いたりすることもあります。
私はそんな時、遅刻しても急がないこの子達は、家から出る時はどんなふうに出てくるのかなあ。先生やクラスの友達は教室でどんな気持ちで待っているのかな・・・・と、先ほどの低学年の子と重ねて考えてしまうのは、私だけでしょうか・・・・?』
前回(#46)で、朝の登校の様子の一コマを記しましたが、今回のはその2年前のことを記したものがあったので取り上げました。子どもの朝の様子を記した「校長室風景」はいくつかあるのですが、それこそ学校一つでもいくつか記していました。それぞれの一コマが私にとっては「心の風景」になっています。
この一コマは、『お母さんの後ろ姿を,涙を浮かべていつまでも目で追っていたお子さん』のことでしたが、私の記憶の中にも今でも鮮明に残っている風景でした。
そのお子さんは、今は30歳頃。どんな大人になったかな。(令和6年5月3日)