気がついたら憧れていたものをたくさん手にしていた
今日新しいリップを買った。
特別値段が高いものではないし、希少価値があるのもでもない。バラエティショップに行けば買えるようなリップ。けれどもそれは、私にとっては特別なリップである。
大学生の頃、私はそのリップに憧れを抱いていた。とにかく人気で可愛い。2歳上の姉も持っていて羨ましかった。1本1500円くらいで頑張れば買えたのかもしれないけど、バイトが嫌いな学生だったから、お金がなくて買えなかった。
そのリップとは、オペラのリップティントN。
同世代の方は知っていると思うが、05番のコーラルピンクは「花嫁リップ」としてSNSで話題となった。私もその話題に影響を受けた1人である。
「コーラルピンクをつけたら恋が叶った」「結婚できた」というエピソードまで多くあり、ますます欲しくなっていった。周りの友達からの「買ったよ」の報告も、羨ましいを超えて悔しいくらいの感情になるくらい。
今思えば、早く買えば良かったのに。
そんな私が初めてオペラのリップを手にしたのは、大学生4年生のとき。就職活動を終えた自分へのご褒美として、思い切って買ってみた。
レジへ05番を持って行くときの胸の高鳴り、買ったあとの達成感、家へと急ぐ足取り、今でも昨日のことのように覚えている。
パッケージを開けて鏡の前でリップを唇に塗ったとき、新しい自分になれた気がした。少し前の自分より大人になったのか、単純に見たことのない自分だったのかはわからない。けれど、新しい自分に出会えて嬉しかった。
これ以来オペラのリップティントNが大好きになり、たくさんの色が集まった。05番に関しては4本目に突入している。
1本5000円するようなリップも使ってきたけど、やっぱりオペラが好き。機能性はもちろんだけど、何よりも思い出が詰まっている。違う色を塗るたびに自分の印象を変えることができるこのリップが、私は大好きだ。
あんなにも憧れていて、喉から手が出るほど欲しかったけど買えなかったリップを今ではこれだけ持っている。当時の私が見たら驚くだろう。
気がついたら私は、憧れていたリップをたくさん手にしていた。大人になったなあ。