再会を望む
ここ数年、ずっとバタークリームケーキが食べたくてたまらない。
クリスマスやお誕生日に買ってもらった、今みたいな生クリームのじゃなくて昭和に主流だったあのバタークリームのケーキが懐かしくて仕方がない。
ケーキ屋さんで探してみるも思った感じのじゃなくて高級感たっぷりの物しかなく。
違うねん、違うねん。あの、後半は躊躇してしまうような重たい、あの昔のやつが食べたいねん。
今のところ、ユーハイムのクランツが一番近いけど、まだまだ理想の味には再会できていない。
あれ、ホールでガンガン食べたい味だもんね。
あとは、九州の甘い醤油。これにも再会したい。
市販の、それと言われるものをいくつか試してみたが、思う味ではないのだ。
あー、あれでお刺身が食べてみたい。
再会が叶った人もいる。
高校時代からの親友のNは超がつくほどかわいくて、性別を問わず人気者だった。なぜこんなにかわいい人気者と親友になってしまったのか分からないが、お互いの思考、思想は似通っていたり、違っていても理解をしあえる相手だった。
私は地元から離れてしまったが、彼女も違うところに行ってしまい、簡単には会えなくなってしまっていたが、2年前のこと、急に彼女から、関西にいるから新幹線に乗るまでの数時間会えないか、という連絡がきた。
いつか会えるやろう、とマメに連絡もしていなかったから、すぐに会おうという連絡にはすごく驚いてしまった。
とても嬉しかったのに、また弱気な自分が現れてどうしようか悩んでしまったのだが、侑さんに絶対に行くべき!と背中を押され、勇気を出して会いに行った。20年近くほぼ連絡を取っていなかった。
待ち合わせの店に入ると彼女がすぐに見つけてくれた。私はメガネのひとになったのに。
残念ながら、私の方は声をかけてきた彼女を全く認識できず、別の人に声をかけているのか、と振り返ってキョロキョロしてしまい、めっちゃ怒られた。
曰く、コロナが猛威をふるったことにより、いつか会えると思っていても会えなくなっていたかもしれない。それが怖くなった、と。いつか会えるなんて何の根拠もなく思ってたけど、そう、根拠なんてないのだ、と。
「いつか」、を「今がその時」、と見極めないといけない。
20年は長かった。彼女も私もいろんな経験をしていた。平凡な私に比べて彼女の20年は本当に波乱万丈だった。あんなに毎日を一緒に過ごしたのに、再会に勇気を出さないといけないなんて私はかなりダメだったと思う。
だからやっぱり王様とも侑さんとも、いつもが当たり前と思わずに、日々大切に過ごさないといけない。
大切なものはいつも大切に扱わないと。
バタークリームケーキも九州の甘い醤油も、手に届くときはありがたみなんて感じず、むしろ避けるくらいだったのにね(´・ω・)
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