前兆?!
毎朝髪を結わえるのだが、硬く量が多い私の髪をまとめるのにはなかなか体力を消耗するのである。それでもその消費体力を最小限に抑えるため、タングルティーザーで指どおりをスムーズにしてから櫛を使ってまとめていく。
最近は暑いので髪を目いっぱい頭頂部に近い高さまであげてひとつにまとめている。
今日はおだんごにしようかな、と思ったけれど、ま、ポニーテールでいいかと上へあげることにした。
いつものようにタングルティーザーでひととおり梳かした後、櫛をうなじあたりに入れた。
髪をグッと上へ引き上げた瞬間、鈍い音がして櫛が折れた。真っ二つにだ。
歯が欠けることは今までにもあって、それは明らかに劣化によるものだったのだが、今日は劣化とも思えないような折れ方をした。
櫛の中央部分の比較的ぶ厚くなっている部分が折れたものだから、頭皮に傷がつかなくてよかったとまずはホッとした。
そしてその後、私の頭髪の強さに少しビビった。いや、実際は落ち込むほどにかなりビビった。
櫛を折る髪ってどうなのよ。
櫛が折れるという現象にいいイメージがわかない。
気になって調べてみたらいいことが起こる前触れなんていう説もチラホラ見受けられる。良くないことが起こるのを櫛が代わりに受けてくれた、なんていう説もある。
身代わりになってくれた櫛に申し訳なく思う。何より、毎朝、私の気が強めの髪をスルスルとまとめてくれていた相棒の殉職に心を痛めている。今日までありがとう。また明日から職務に就く新しい櫛よ、よろしく頼むよ。