オワハラ体験記〜先輩就活生からのアドバイス〜
◯はじめに
季節は冬となり、多くの学生が就職活動に向き合わなければならない時期となってきました。初めて就職活動を行う学生にとって、分からないことばかりでうんざりしてしまうことも多くあると思います。そんな分からないことの中でも、本記事では「オワハラ」について取り上げていきます。詳細は次章で解説しますが、オワハラとは、企業側が就活生に対して就活を終了するように迫るハラスメントのことです。このオワハラ問題に関して、就職活動経験者である筆者3人で、自身の経験や周囲の学生の経験に基づいた解決策を本記事にまとめていきます。最後まで読んでいただければ幸いです。
◯第1章 オワハラの概要
◆オワハラの定義
「オワハラ」とは、ハラスメントの一種であり「就活終われハラスメント」の略称です。略称の中に「就職活動」の略称が入っていることが気になります。
内定を出す条件として他社の選考の辞退をほのめかすなど、内定を出した学生の就職活動の終了を促す行為のことを指します。
◆オワハラの種類・体験談
オワハラの種類には次のようなものがあります。
筆者も当たり前のように交渉型のオワハラを受けました。「内定を出したいと思っているのですが、内定承諾は他社の選考を辞退した後にしていただくことになっています。」と、まるで当然のことのように言われます。承諾まで一定の期間がある場合(例えば期限二か月など、就活が落ち着く時期まで待ってくれる場合)は問題ないかもしれませんが、期限一週間といわれる場合も多いです。そのような短い期間では、よほどタイミングが良くない限り、他社の選考を進めることは難しいため、実質内定を条件とした、就職活動の終了の強要と言えます。
また体感的には、同情型も厄介になることも多いです。選考中に双方愛想よく、仲良くするのは当然ではあるのですが、就職先を同情による断りにくさで決めることが無いよう、気を強く持っておくことをお勧めします。
◆オワハラはいつ・なぜ起きるのか
端的には、就職活動の早期に、新卒採用の安定的確保を目的として起きることが多いようです。会社側としては、内定者の安定的確保を目的としています。内定を出した後も学生に就職活動を続けられてしまうと、その後の結果によっては内定を辞退されてしまう可能性があり、入社人数を確保できなくなる可能性があるため、その可能性を少しでも小さくするためにオワハラやオワハラまがいの行動をとります。
学生側は、ストレートに言うと滑り止めの企業に合格してもそのキープを許されない状況に追われます。滑り止めの企業に入るか、受かるかわからない第一志望を受けるために内定を蹴るかの選択を迫られることになります。
早期に内定を出した企業が、後から選考を始める企業に内定者を持っていかれることを防ぐために行われているため、オワハラは人材獲得競争激化の結果と言えます。就職活動の早期化などによって就職活動期に幅が出ていることが問題ですね。
◯第2章 オワハラを受けたら就活をやめなければいけないのか?
結論、就活をやめる必要はありません。その最大の根拠は日本国憲法第22条1項に定められている「職業選択の自由」です。この条文では「何人も、公共の福祉に反しない限り、移住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められています。そのため、就活生は自分自身でどこの企業に就職するかを、誰からも妨害や干渉を受けることのない自由が保障されています。したがって、内定を獲得したうえで辞退することも認められます。
また、内定を受けた上で就活を続けたことを理由に内定取り消しを言い渡された場合はどうなるのでしょうか?実は、内定をもらった段階で、企業と学生との間に労働契約が結ばれたとするのが現在の一般的な法解釈になります。つまり、内定の取り消し=労働契約の解消=解雇とみなされるわけです。現在の労働法において、企業が労働者を解雇するには相当厳格な根拠が必要であり、その根拠を欠く場合は違法とみなされます。企業が内定を取り消し得る事案としては、次のような場合があります。
「就活生が内定獲得後に就活を続けた」という理由で内定取り消しをすることは、内定取り消しになり得る根拠として非常に弱く、また就活生の職業選択の自由という観点からも認められません。
ここで注意してほしいことは、「内定≠内々定」であるということです。内々定とは「内定を出すよ」という約束のことを指します。内定は労働契約と判例上見なされますが、内々定段階ではそうではありません。したがって、企業側が内々定を取り消しても違法とはならない可能性があります。内々定の段階でオワハラを受けた場合、どうすれば良いのか?次章ではオワハラを受けた際の解決策を解説していきます。
◯第3章 オワハラを受けた際にはどうすれば良いか?
オワハラを受けた際の解決策とは、結論から言うと「就活をやめるフリをして、就活を続ける」です。しかし、実際にオワハラを受けてしまうと、就活をやめる必要がないと分かっていても「やっぱり就活をやめるべきなのかな、、、」「人事の方に嘘を言うのは申し訳ない、、、」と不安になってしまう瞬間が多くあると思います。しかし、そのように思うのは当然のことです。実際に私も就活の際には、今まで親切に面倒を見てくれた人事の方に就活を終えてほしいと言われ、迷ってしまったことがありました。そこで、私を含めて就活においてオワハラを受けたことのある人は、どのように行動したのかを紹介したいと思います。
まず、就活経験のある学生や社会人に対して調査を行ったところ、実に45%もの人がオワハラを受けたことがあるという結果になりました。就活生の多くがオワハラを受ける可能性があることが分かると思います。
また、オワハラ経験が「ある」と答えた人の中で、オワハラを受けた際の行動として最も多かったのが「就活をやめるフリをして、就活を続けた」でした。また、2番目に多い行動が「就活を続けると面接官に正直に伝えた」であり、「就活をやめた」人は本調査では見当たりませんでした。この調査から、就活生が最終的には就活を続けるという選択をする傾向があると分かります。
就活を続けるという点においては、就活をやめるフリをしても、正直に就活を続けると面接官に伝えても同じですが、当然面接官からの反応は異なります。
上図から、面接官は就活の期限を指定したり、強めに対応してくることがしばしばあることが分かります。このような対応を受けてしまうと、就活生としては就活を続ける気持ちが萎縮しかねないと思います。また、内定ではなく内々定の段階の場合、内々定取り消しを宣告されてしまうかもしれません。したがって、就活を終えてほしいと面接官から言われたら、その場では了承しておいて就活を続ける方が、就活生にとって安心して就活に専念できると言えるでしょう。
もちろん、自分に対して親切に接してくれた面接官に対して嘘を言うというのは、不誠実ともいえるかもしれません。しかし、就活生にとって就職活動は今後の人生を左右する大切なイベントです。自分自身の就職活動を最優先に考えても、誰にも文句を言う資格はないと私は思います。オワハラを受けた際には、自分が一番納得できる就活をするためにはどうするべきか、しっかりと考えて行動することが何よりも大切です。
◯おわりに
この記事を通して最後に伝えたいことをまとめると、「オワハラを受けても臆さず、自分最優先で行動すること」が大切だということです。人材獲得競争が激化し、企業は早い時期から内定や内々定を出すようになってきました。それに伴ってオワハラも増加していく、それが現在の就職活動です。筆者である私たちも、就活をしていた際にはオワハラに対して、どのように対応すべきか悩んでいたものです。「オワハラを甘んじて受け入れれば、辛い就職活動から早い時期に抜け出せる。しかし、本当に自分が行きたかった企業には行けなくなる、、、」就活生にとってこれ以上に大きな悩みはないと思います。しかし、自身の考えを貫き通して就活を続けたからこそ、私たち筆者は納得して就職活動を終えることができました。この記事で書いたことが唯一の正解ではないかもしれませんが、一人でも多くの悩める就活生の役に立てれば嬉しく思います。
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