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就活ハラスメントの闇~泣き寝入りしないために~

はじめに

就職活動において、企業と学生の立場は対等であると位置づけられていますが、実際には就活生が弱い立場にいます。そしてこの弱い立場のため、就活生は多くのハラスメント被害を受けています。
厚生労働省令和2年の報告書によると、4人のうち1人に当たる25%もの就活生が性的な冗談やからかい、デートや食事への執拗な誘いなど就活によるセクハラ被害に合っています。
就活ハラスメントにはセクハラ以外にも圧迫面接などの「パワーハラスメント」、就活を終わらせようと圧力をかける「就活終われハラスメント」などがあり、全てを含めれば25%よりも多くの就活生がハラスメント行為を経験していると言えます。
本投稿では、就活ハラスメントの内容を理解するとともに、就活生が取るべき必須の対策や企業側が行える対策をお教えしたいと思います。
最後までぜひご覧ください。


就活におけるセクハラ

Q&Aコーナー

就活セクハラとは?

就活セクハラとは、文字通り、就職活動中の学生が企業の担当者からセクシャルハラスメントを受けることを言います。特に、就活ハラスメントの中でも最も被害に遭いやすいのがセクハラです。就活ハラスメントを受けたと回答した人のうち、約4割の人が「性的な冗談や揶揄い」、約3割の人が「食事やデートへの執拗な誘い」、「性的な事実関係に関する質問」を受けたと回答していることが分かっています。


就活セクハラはなぜ起こるのか?

就活においては、採用する側と、される側という関係性により、企業側が優位になりやすい構造となっています。そのため、企業側の一部の人間は、「採用する側」という立場を利用して、就活生に対してセクハラ行為に及んでいるのです。そして就活生は、「誘いを断ったら内定をもらえないかもしれない」という不安により、はっきりと拒否することが難しく、被害にあってしまうケースが多いのです...。


実際に起こった就活セクハラの事例

ここからは、実際に起こった就活セクハラの事例を紹介していきます。今回紹介するのは、住友商事の社員がOB訪問を受けた女子大学生を泥酔させ、性的暴行を加えたという事件です。二人は、OBOG訪問マッチングアプリを通して知り合いました。加害者である社員Aは、女子大学生Bさんを都内の個室居酒屋に誘い飲食したのちに、カラオケ店へと移動しました。カラオケ店において、社員AはBさんに一気飲みを強要させ、その後トイレでAさんの体を触るなどしました。その後、社員Aは、Bさんの宿泊先のホテルのカードキーを盗んだのちに部屋に侵入し、泥酔して抵抗できないBさんに対し性的暴行を加えました。事件後、被害者のBさんから住友商事側に被害の連絡があったため、社員Aはその数日後に懲戒解雇されました。その後、社員Aは準強制わいせつと準強制性交等の罪に問われ、逮捕されました。


刑事上の責任

セクハラ行為に及んだ場合、加害者は下記の罪に問われる可能性があります。

  • 強制性交等罪(加害者の意思に反して性交渉を行った場合等)

  • 準強制性交等罪(強いお酒をたくさん飲ませ、泥酔状態にして無理やり性交渉した場合等)

  • 強制わいせつ罪(被害者の意思に反して、体を触るなど性的な行為を行った場合等)

  • 名誉毀損罪・侮辱罪(性的な発言によって被害者を傷つけた場合等)


雇用契約上の責任

また、セクハラ加害者は、刑事上だけでなく会社内でもその雇用契約上の責任を負います。「雇用契約上の責任」とは、セクハラという違法行為に対し、社内で処分を受ける責任のことを指します。しかし、法律に規定はないため、雇用契約書や就業規則に定める規定により、その責任を負うことになります。

参考記事


就活生が被害に遭わないためにできる対策

セクハラは、もちろん加害者が100%悪いですが、学生側も被害に遭わないためにできることはあります。下記に具体的な対策例を載せていますので、学生の方は参考にしてみてください。

  • OBOG訪問マッチングアプリからではなく、企業の採用窓口に直接社員訪問の依頼をする

  • 可能な限り同性の社員の方に社員訪問を依頼する

  • 可能な限り対面ではなく、オンラインで面談を希望する

  • 対面での面談の場合には、密室を避ける

  • 面談時間は遅い時間にならないようにする

  • スマホの録音機能を活用して証拠を残す

  • 面接やOBOG訪問などで性的な質問をされた場合、「採用に直接関係のない質問だと思うので、回答を控えさせていただきます」などとはっきりと自分の意思を伝える


企業がとるべき対策

ここからは、企業側がとるべき対策例を紹介していきます。就活生に対するセクハラ行為が公になった場合、セクハラ行為に及んだ社員だけでなく、企業側にも責任があるとして、企業の社会的信用を低下させてしまう可能性があります。また、ハラスメントが横行している会社だと学生に認識されて、志望者数が減少してしまうリスクがあります。そのため、企業は社員による就活生へのセクハラ行為を防止していく必要があります。下記に、ケース別の対策方法を記載していますので、参考にしてください。

OBOG訪問で取るべき対策

  • 可能な限り同性の社員が対応する

  • 面談場所を企業内のオフィスなどオープンな場所に限定する

  • 面談を担当した社員には、報告書の提出を義務付ける(面談場所や面談時間、学生とのやり取りを報告)

  • 上記について、ガイドラインを策定し、就活生の対応をする採用担当者やリクルーターに周知する


面接における対策

  • 面接での質問事項を事前・事後に報告を義務付ける

  • 面接での質問禁止事項(交際相手の有無など、プライベートに深く迫る質問はNGなど)についてガイドラインを策定し、採用担当者やリクルーターに周知する


従業員へのハラスメント研修

  • 過去実際に起こったセクハラ事例を元に研修を行い、どのような言動や行為がハラスメントに該当するのか理解を促進する


その他の対策

  • 就業規則の懲戒事由に規定する

  • 就活生のための相談窓口の設置

他にも、各企業が実際に行っている就活ハラスメント防止対策事例集を厚労省がまとめているため、こちらもご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001060585.pdf

おわりに

就活における学生の立場は低く、それを利用し、OB・OG訪問やメンターによるセクハラやストレス耐性を図ると言う名目で行われる圧迫面接、面接時にその場で他社からの内定を辞退しろと命じられるオワハラなど多くのハラスメント行為が行われているのが現状です。
ハラスメント被害に遭った際、注意して欲しいのが1人で抱え込まない事です。1人で抱え込んでしまえば、解決策が見つからず泣き寝入りしてしまいます。大学のキャリアセンターや都道府県労働局、新卒応援ハローワーク、就活ハラスメントホットラインなど公的な第三者に相談しましょう!
ハラスメントは就活生だけではなく企業も向き合わなければいけない問題です。
SNSが発達した現代において、企業側もしっかりとした従業員への対策が必要になります。
窓口の設置やハラスメント講習などを行う事で、職場環境の改善や従業員が持つ会社への信頼向上、イメージアップに繋がり、優秀な人材の獲得に繋がります。
学生・企業双方、ハラスメントに対しての知識を得て、対策をしっかりと行っていくことでより良い就職活動が行われることを願っています。

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