見出し画像

躊躇気味にチューブラーに戻ってみた話

こんにちは。あら50りっぷです。

35年に及ぶロードバイク人生で(2019年に初ディスクロードに乗り換えるまで)長い間チューブラーホイールに乗り続けていました。今でこそロードバイクはクリンチャータイヤが全盛になりましたが、古い時代の自転車乗りの多くがチューブラータイヤを使用していました。チューブラータイヤは構造的に断面形状が真円に近く、しなやかな乗り心地とコーナリングのバランスが良好というのが特徴です。パンクも少なく、国内外問わずプロ選手がこぞって愛用しているというステイタスへの一種の「憧れ」も理由のひとつだったと思います。

しかしディスクロードに移った途端、ディスク対応カーボンチューブラーホイールの選択肢は驚くほど少なく、あっても高額なハイエンドモデルのみで、アマチュアがおいそれと購入できるようなものは皆無だったと言っても過言ではないと思います。

そのため、しかたなくグラベル対応のアルミディスクホイール『MAVIC キシリウム ALLROAD DISC(チューブレスも対応可)』を新古で購入し、25Cのクリンチャータイヤを履かせて使ってきました。このホイールも結構優秀なモデルで、キシリウム特有のアルミエアロスポークと軽量かつ丈夫なローハイトリムの使いやすいホイールでした。しかし微妙に重量があるのが玉に瑕で、脚力のない自分にとってはヒルクライムや平地巡航でキビキビした走りを阻害しているようにも感じていました。

そこで2021年9月、満を持して新古のLWC WHEELSのディスクカーボンホイールを格安で購入することができましたので、この「噂の」ホイールのファーストインプレッションを書いてみることにしました。

LWC WHEELSのカーボンホイールが安価な理由
LWC WHEELSは優良なカーボンリム製造メーカーと手を組み、中間流通コストをカットする強みを活かして、シマノ/カンパニョーロ/スラムの11S~12Sの各速に対応する高品質なカーボンホイールを非常に安価に提供することを目標にしたメーカーです。大手メーカーでもないのに製品ラインナップも幅広く、完組ホイールは24mmハイトから88mmハイトまで取り扱っています。

画像3

画像1

言わずもがな、高速で回転するホイールの外周部にあるリムの軽量化は、平地巡航ではあまり恩恵を受けづらいものの、ヒルクライムになると相当な効果を発揮します。登りの漕ぎ出しの軽さ、回転維持の軽さがそのまま走りの速さに直結するからです。

購入したLWC WHEELS 35mm NXLリムワイドオプションチューブラー
LWCのフラッグシップNXLカーボンリムシリーズは、リム単体で最軽量の220gを誇ります。NXLとは「NEW EXTRA LIGHT」の略で、従来のXLリムをベースに特別素材・新技術を駆使してより軽量化を図ったハイエンドラインになります。軽いだけではなく強度にも優れており、プロショップによる選手への組付けでも安心してテンションを張れると好評です。今回購入したホイールはリムワイドオプションを適用したモデル(リム幅23mm→25mm)で、トレンドのさらに空力の高いワイドリムに転がり抵抗の低い幅広タイヤを装着することを想定しながら設計されています。もちろん圧倒的な軽量性を両立したものに仕上がっています。(リムワイドオプションの重量増は+20g/1本)


手組みホイールは完組ホイールと比べ、スポークのテンション(張強度)を自由に調整できることが強みでしたが、35mm NXLリムワイドオプション も実際にはノーマルスポークとノーマルハブの組み合わせで出来ているので、手組みホイールカテゴリと言ってもいいでしょう。外観をみてびっくりするのは、高額なSapim CX-RAYスポークが惜しげもなく使用されていることで、完組ホイールの販売価格を考慮すれば超サービスとも思える仕様になっています。CX-RAYは品質・精度の高い高級扁平エアロスポークで、軽量さは当然ながら、空力面でも風抜けが良いことで知られています。このようにNXLカーボンホイールは総合的によく考えられたホイールであることがわかります。35mmモデルの重量はタイヤ未装着時でカタログ値で1100g、実測では1200g弱/1本となっています。軽量アルミディスクホイールと比較するなら、1本あたり300g以上の軽量化を達成している計算になります。

画像5

画像4


購入した際の走行距離は500km程度。最初はVittoriaの高級チューブラータイヤが装着された状態でしたが、トレッド面に多くの傷が見られたので、安全面を考え新品の TUFO S33 PRO 24 チューブラータイヤ に交換することにしました。もともとのタイヤはMIYATAのTTP-1チューブラーテープで接着されていたので比較的簡単に交換することができました。(TUFOの新品タイヤがアホみたいに固く、リムに装着するのに相当手こずったことを除けばですが・・・)

TUFO S33 PRO 24 チューブラータイヤ についても少々説明すると、TUFOのエントリーチューブラータイヤでとても安価でありながら他メーカーの同価格帯タイヤより見た目に高級感があって真円度が高く、センター出しもしやすいタイヤです。トレッドはクレメン等に見られたオーソドックスなセンターヤスリ、サイド杉目のパターンです。

画像5


性能面ではタイヤアウター素材がしっかりしているので、十分耐久性もありそうに思えます。24mm表記ですが、他メーカーの25mm相当のタイヤ幅をもち、ワイドリムにもぎりぎり対応できます。推奨空気圧が6-8気圧、90psi-115psiと標準的ですが、実際に最大8気圧で走行してみてもシルキーな走行感が得られるのが不思議な感覚です。

画像6


カーボンリムの表面は無塗装・無光沢で無骨な印象ですが、安っぽい感じはなく、プロトタイプっぽく見えます。リムテープを剥がす作業でも、テープがカーボン表層をはがしてしまうようなこともなく、粘着部分をリムに残さずにスルスルと綺麗に除去できました。タイヤ交換のスムーズさはありがたいことなので、非常に評価の高いところです。

画像12


実際にホイールをバイクに装着した外観は下の写真のとおりです。35mmリムもスポークも黒、タイヤも黒なのでバイク全体が精悍なイメージになりました。

画像7

画像8

画像9

画像11


上の写真のR-8000スプロケット新品(11-30)も、使用わずかのDuraaceディスクローターも購入時からおまけで付属してきたので、当初からヒルクライム用の完璧な状態でした。他に経費がかからなかった分、チェーンをアルテグラの新品に交換しておきました。


【インプレッション】
漕ぎ出しからすぐに感じる軽さはアルミリムのそれとはまったく違う感覚で、とにかくよく進むというのが印象です。CX-RAYスポークの性能なのか? カーボンリムそのものの減衰特性なのか? 相当にシルキーな乗り味で路面の凹凸や微振動をうまくいなしてくれます。これはカーボンホイールの中でも間違いなく振動減衰能力の高い部類に入るでしょう。

メーカー完組カーボンホイールは硬めのものが多い中で、体重60kgでタイヤにMAX8気圧充填していることを考慮すれば驚くほどの快適性です。まるで絨毯の上を走っているような感覚で、低いバンプに乗り上げても操舵感が失われることがありません。でも柔らかすぎるわけではなく、踏んだ力がしっかり地面を蹴って進みます。高性能シールドベアリングハブの効果もあってきびきびと回転し、平地巡航の惰性も高いため脚をとめてもホイールが気持ちよく回り続けます。定価で138,000円(税込)程度するホイールを半額程度の77,000円でGETしましたが、これは正直アタリでしょう! 久しぶりにチューブラーホイールで走る悦楽に浸りながら、想像以上の走行感に思わずニンマリしてしまいました。

[NXLチューブラーディスクホイール]
リム:NXLカーボンチューブラーリム
ハブ:NXLハブ(12mmスルーアクスル 100/144)
スポーク:Sapim CX-RAY   F24/R24
ディスクローター:Duraaceローター(センターロック)
スプロケット:R8000アルテグラ 11-30

画像10

【メーカーサイト】
https://lwcwheels.com/lwc-aer-carbon-disc-wheels
NXLホイールの後継機種の新モデル LWC AER も発売されるとメーカーサイトで発表されました。ユニディレクショナルカーボンの表層が魅力的な感じもしますが、現時点ではこのNXLカーボンホイールで大満足なので、さらに距離を乗って使いこんで行きたいと思います。


ちなみに、今回サドルもfabric Line-S Elite Flat 144mm幅(ショートノーズ)に交換しました。パッドは中程度の厚みですが、クッション性が高くてこちらも気に入りました。以前からfabricサドルのファンで性能に惚れ込んでいましたがいつのまにかこんなショートノーズ版が出ていたのですね。




いいなと思ったら応援しよう!