彼氏とクリソツな爽やかマッチョ CCA Trio
こんにちは。あら50りっぷです。
今回も待ちに待ったCCAの新機種 Trioの紹介です。
中華イヤホン沼にハマった2021年当時、ボクが絶賛していた3DDモデルが『DQ6』でした(DQ6sという後発モデルもあり)。KZ ZSN Pro Xに肉薄する(というか超えた?)太く厚いミッドベースにしびれて、常に外に持ち出していたのを覚えています。
残念ながら、DQ6は僅差でお気に入り第2位に甘んじたものの、時代を牽引した「重低音おばけ」モデルとして今でもボクのベンチマークになっているイヤホンです。
<過去記事はこちら>
2024年、満を持して発売されたCCAの新3DDモデルはその名もCCA Trio。先立って発売された CCA Duo=2DD構成だったので名前の意味はそのままドライバーの数です。往年の名機 DQ6が 6mm+6mm+10mmDD のトリプル構成だったのに対し、Trioは近年非常に評価の高い 8mmDDのトリプルモデルになっていて、しかも3‐Wayクロスオーバー設計。3つのDDが各帯域の音を独立して(余裕を持って)鳴らすことができる仕様になっています。3DDのうち2つは黒いブラケットに納まってハウジングに配置されています。
2mm差とはいえ、大きな8mmDD×3基を内蔵するハウジングは大柄なもので、4BA+2DD(8mmDD×2)の CCA Rhapsodyと2DDモデルのKZ Castorのちょうど中間くらいのサイズです。コンパクトなKZ、CCAシリーズの中ではかなり大型の部類に入るでしょう。サイズの大きい Rhapsody +1DD分の重さがそのまま重量に反映されています。しかしこんな大柄なシェルでもスムーズに耳に装着できてしまうのは、耳型を研究しつくしたメーカーの技術のたまものでしょうね。
TrioにはRhapsody同様4つの制御スイッチが搭載されていて、低域/中高域をそれぞれ+1〜2db分ブースト可能です。音質変化は思った以上に大きく、精密なカスタマイズができるようになっています。
金属フェイスプレートは最近のKZ系シリーズにならい、鈍色ブラックに製品名が筆記体でプリントされるデザインは、シンプルな外観ながらチープさを感じさせない上手なまとめ方だと思います。
ところで今回、箱出しから久しぶりに「中華~」な事件が発生。本体左側の組付け・接着ミスか、あるいは最初から接着されていなかったのか、シェルとフェイスプレートがパカッと分離してしまいました。
あっぶな~ 接着辺が極狭なので仕方ないですが、瞬間接着剤で事なきを得ました。内配線が破断しなくて良かった、、、外出先で起きなかったことがラッキーです。でもこの程度の不具合を問題視していては中華イヤホンファンとは言えませんね(笑)ライン組付けのおばちゃんが接着をわすれたかな? くらいの小さな笑い話です。
今回は初めて購入した JSHiFi Ocean (無酸素銅線+銀メッキ銅線のハイブリッド)をTrioと組み合わせてみます。Oceanという名前のとおり美しいオーシャンブルーのケーブルで、おとなしめかと思いきや、高域/低域を烈しくブーストするパワー系でした。マッチョ × パワーケーブルのマッチングはどんな音を創り出すでしょうか? ものすごくワクワクします。イヤピは常用のAudio-technicaのfinefit に交換してレビューすることにします。
音質について
Trioは一言で表現するなら、重厚さと奥行きを感じる KZ Castor のベース強化版でした。きっとオーディオカーブを見ても酷似しているのではないかと思われます。DQ6の設計思想とは異なり、2基のDDを低域用に割りふっているため、2倍の量感のミッドベースがつくる音圧は「重低音おばけ」と呼ばれたかつてのKZ DQ6やCastor以上です。フェイスプレートの大きなエアフロースリットのおかげで音場はKZ ZAXと同等といえるほど広く、ヌケの良いクリアな中域がステージいっぱいに広がり、高域が天井を突き抜けていく感覚は聴いていてめちゃ気持ちいい~です。
初視聴では低域は十分に感じたため、低域はOFFのまま高域のみを+2db上げて試聴してみましたが、轟くミッドベースの音圧を味わうにはやはりスイッチを全ON(1111)にするのがベストだと感じました(出荷時デフォルト)。このあたりは個人の好みで分かれそうですが、たいていの人は低域OFF・高域ONの「0011」または「0010」でも十分に満足できるのではと思います。低域OFFでも十分だと思わせるあたり、まだまだ「余裕」があってさすが筋肉モリモリの3DDモデルだと感じました。
低域も+2db分ブーストしてみた感想は、中高域に多少は影響を及ぼすものの、全OFFに比べれば全域に超絶気持ち良いエッジまで加わるので、迫力だけでなく圧倒的な臨場感と奥行きが得られます。さらに中高域用に、解像度の高い硬質ドライな8mmDD 1基をまるまる割り当てられるため、ベースを最大ブーストしたとしても、全体のバランスを崩すことなくボーカルもシンバルもきちんと分離されて聴き取れます。バランス接続では感じませんでしたが、アンバランスだと曲によっては多少刺さるくらい刺激的な高域なので、きつい場合はスイッチ「1110」で高域を1db下げることで対応可能です。このようなカスタマイズ幅の広さは、千差万別なユーザーの求める音にたどり着きやすいという利点を生むでしょう。
今回初めて試したJSHiFi Ocean は、美しい見た目からは想像できないパワー系ケーブルで高域・中域・低域すべてにメリハリを加えます。『Blue Thunder(碧雷)』とでも命名したほうがいいのでは? と思うほど、Trioのマッチョなポテンシャルを200%引き出し、濃厚なミッドベース/サブベースを減衰させずにそのまま両耳にぶちこんできます。銀メッキケーブルらしい高域の煌めきもあり、Trioのキレのある寒色ソリッドなサウンドを一度聴いたら、好マッチングなのが理解できるでしょう。
JSHiFiには同系統で Shadow という味変向きの素晴らしいケーブルもありますが、これは高域を強力にブーストしながら低域を結構減衰させてしまうために音質傾向まで大幅にいじってしまうので、そのままでポテンシャルの高いTrioとの組み合わせはオススメできません。
しかしTrioには最大の欠点があって…
それは彼氏 Castor にクリソツなことでしょう!
まるでキャラかぶりの両者の違いは、音の密度の濃さと量感・奥行きくらいなので、同じような音質カーブをもつ 2モデルであれば、価格面でCastorが選ばれてしまうのも納得がいくというものです。
AliExpressでもAmazonでも、Trioは4,500円程度で販売されていますが、KZ Castorなら低域ブーストモデルのImproved Base Versionでも半額以下の1,500~2,000円で購入できてしまうからです。
シェルのサイズも Castor のほうがコンパクトで携帯性に優れるので、実際にボクも常にバックの中に入れて持ち歩くのは Castor のほうです。
◎マメで気がきいて、気軽にデートしたいならKZ Castor
◎お家デートで、時間を忘れてラブラブしたいならCCA Trio
と目的・用途に合わせて使い分けるのがベストかもしれません。
解像度が高く、迫力あるミッドベースの密度と奥行きまで感じられるTrioは、1万円以下の価格帯では類のない8mmトリプルダイナミックドライバーモデルです。重低音マニアをも唸らせるチューニングに心惹かれたなら、ぜひ手に入れてほしいです。Amazonだと割高になってしまう場合もありますが、今ならおよそ4,000円台で購入できますね。
AliExpressで購入の場合
【CCA Trio】
【JSHiFi ocean】*これはおすすめの銀メッキケーブルです
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0CTCDKP3S/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o00_s00?ie=UTF8&th=1