シングルDDはどこまでいってしまうのか!?
KZ ZAXの非の打ち所のない音の解像感に酔いしれる中、突然その魔力に勝るとも劣らない驚きの若手1DD機が現れてしまいました。
CCA CRA
仕様
10mmハイポリマーダイアフラムによるDD x 1
周波数特性:20Hz~40kHz
インピーダンス:34Ω
感度:105dB
KZの兄弟メーカーとして知られるCCAが作り出すサウンド傾向は、KZの音色を高音域でパーッと明るくしたような味付けがされているものが多い気がします。お気に入りのCCA C12などはまさに明瞭そのもので元気なサウンドを届けてくれます。
今回1,300円弱で購入できたCRAは、定価でも2,000円〜3,000円のCCA入門機のひとつです。音色は完全に寒色傾向で、高域と低域がV字に強調されたドンシャリ型でかつ広い音場があるのが特徴です。低音域にも十分な音圧があってベース好きの自分の好みにもピッタリ。高域もギリギリのところで丸められているので刺さるようなことがありません。
純正ケーブルのままでも驚くほどの明瞭さを発揮するCRAの実力には正直驚かされました。高音域をより明瞭にするためにBAを追加してきたKZのハイブリッド設計思想からすると、1DDでは高音域が物足りずにクリアさに欠ける? と単純に想像してしまいますが、なぜか、本当になぜか、CRAは1DDのままでもかなりクリアな高音域を実現しているのです。
音の明瞭さに影響があるといわれるノズル部分も、CRAはKZ ZSTx同様コストダウンのためか樹脂整形となっていて、上位機種のような金属製ノズルは採用されていません。
ドライバー構成や価格を比べたなら、あるいは細かな波形を調査したならば、ZAXに劣る部分が確実にあるはずですが、一聴した瞬間に勝っているのでは? と思わせてしまうほどの見事なチューニングが施されています。Hidizs MS1 Rainbow のときにも感じましたが、チューニング次第でここまでできるなら、ハイブリッドでなくても十分勝負できると思わせてしまう名機の中のひとつだと思います。
CRAを4極バランス接続で聴いてみるために、ZAXで使用していたYinyooのYYX4849 ケーブルを付け替えてみました。ZAX+YYX4849 ケーブルだと微妙に高音域に刺さりが感じられましたが、CRA+YYX4849 ケーブルは完璧なマッチングになりました。ぜひこの組み合わせで聴いてみてください。広がりや奥行き感も増幅され、高域から低域まで臨場感溢れる広い音場とともに、鮮やかで伸びのある高音域と解像度を得ることが出来ました。
ハイブリッドのZAXよりも1DDのCRAのほうがバランス的に優れたサウンドを提供してくれる点で、ZAXと同率首位に並ぶ実力のCRAがランキング上位に躍り出ました。さらなる音の変化に期待します!