「ひとめぼれ」から正妻に昇格!? TRI Star River
こんにちは。あら50りっぷです。
今回は濃紺の澄んだ夜空に輝く「天の川」をイメージさせる『TRI Star River(星河)』という名前のイヤホンです。この見た目にすっかり魅了されて、音色や性能は二の次にAliExpressのセールでなんと6,300円で手に入れてしまいました。果たしてその音質とお気に入り度の結果は?
TRI AudioはKBEARの別ブランド(プレミアムライン)で、『Star River(星河)』はそのミドルレンジに位置するモデルです。異径サイズのダイナミックドライバーを2基並列搭載した2DD仕様で、この価格帯のイヤホンには珍しいボディー後部の2系統のチューニングスイッチによって、これ1台で4モードの音質が楽しめるというワクワクするようなモデルです。スペックだけでもメカマニアの心を鷲掴みですね。
ドライバー構成は、中低音域メインに10mmのベリリウムコート振動板ダイナミックドライバー×1基と、高音域のツイーターの役割を果たす6mmのチタニウム振動板ダイナミックドライバー×1基を搭載し、2つのDDがそれぞれ得意な音域を担当することで高い解像度と繊細なサウンドを実現しています。N52ネオジウムマグネット回路の搭載もすっかり一般的になりましたね!
高品質なドイツ製レジンを3Dプリンターで仕上げたボディーは、中華イヤホンの廉価ラインに多く見られる半透明樹脂ボディーとは違って内部を覗くことはできず、濃色ブラックとブルーラメの発色がめちゃめちゃキレイです。コンパクトボディーの代表ともいえるKZ ZSTx と比べてもStar Riverのボディーは小ぶりで耳入れも超スムーズ。軽量で耳にすっぽりおさまります。イヤーピースは標準タイプのほかに、単体発売もされているTRI オリジナルの高性能な(角笛) も付属します。
付属する純正ケーブルは非常に柔らかい線材の銀メッキ無酸素銅4芯線で、コネクタは汎用性のある0.78mm 2pin仕様です。廉価版イヤホンの場合、一番コストダウンの対象になるケーブルですが、本ケーブルはイヤホンのポテンシャルを引き出す十分な性能を備えており、リケーブルの必要性を感じさせません。見た目も高級感があって実用的なので、このまま使用することにします。
ネットワーク基盤による『Star River』の特徴的なチューニングスイッチ
「バランス(Balanced & Natural)」
「低域強調(Enhanced low frequency)」
「ボーカル(Transparent vocal)」
「ポップス(Pop genre)」 *デフォルト
の4モードへの切り替えが可能です。
バランス:OFF×OFF(下下)解像度はやや増すが高温・低音が控えめに
低域強調:ON×OFF(上下)低音の音圧がやや増す
ボーカル:OFF×ON(下上)ボーカル(中域)の主張が増す
ポップス:ON×ON(上上)高音・低音とも明瞭で元気な明るいサウンド
個人的にはデフォルトのポップス:ON×ON(上上)が一番メリハリが感じられて、元気で明るいキラキラ寒色サウンドになるので好みでした。低音ブーストでなくても十分だと感じます。
<音質について>
いつもどおり、イヤピースだけSedna EarfitLight Shortに交換してレビューします。
正直あまり期待していなかったので、一聴して「わーお! これ良い!」と思わず声を上げてしまいました。大好物サウンドにびっくりです。男女ボーカルはしっかり正面に定位しながら音場も広く、バンドやオケは楽器の粒だった音が正面・左右から分離して聞こえてきます。まさにジャンルを問わない音表現を実現してくれます。
第一印象は「ひとめぼれ」、でも実際に元気で優しい彼女と巡り会えた感動ですね! 煌びやかで突き抜ける高音、ソリッドでカリカリな寒色サウンドは前述通り「ポップス」モード:ON×ON(上上)のままが一番メリハリが感じられ、リズム感のある明るいサウンドになります。「元気印」なだけにメローな曲やスローバラードは苦手かと思いきや、さすが名機。心に刺さる感傷的な響きを見事に奏でてくれます。バランスは高域・中域が強調された弱ドンシャリで音場は広く、豊かな音の伸びを感じます。スイッチを切り替える意味があるのか? と思ってしまうほどデフォルトモードのままですっかり惚れ込んでしまいました。
6mmチタンドライバーが奏でる硬質で繊細な高音表現、歪みなくしっかり量感のある10mmベリリウムドライバーの実力によって、高域・中域・低域ともに解像度も分離感も、定位も音場も、文句のつけようがないほどバランスの良いサウンドに仕上がっています。ベース・サブベースに唸るほどの重低音こそ感じないものの、どんなジャンルでも聴いていて不足を感じることがなく、これほど解像感が高いのに不思議と長時間聴いていても疲れません。
具体的には、高域はお気に入りのHZsoundのHeart Mirrorとよく似たやや派手めな鳴り方をしますが、刺さりはきちんと調整されていて、特に金属の響きが美しく感じられます。中域はしっかり量感があり、キレの良さもあって初期状態でもボーカルがしっかり前に出てきます。低域はパワーのあるKZシリーズと比較すれば抑えめですが、しっかり沈み込みスピード感もあります。純正イヤピースより遮音性の高いSedna EarfitLight Shortのようなシリコンイヤピースに交換することで、いくらか低域の量感も感じられるようになるので、イヤピース交換だけである程度は調整することが可能です。廉価版シリーズよりやや高価なモデルですが、セミミドルクラスとして実力がしっかり担保されています。
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その後、NiceHCK SnowAg 4nにリケーブルしたところ、純正ケーブルではやや物足りなく感じた低音域=ベース・サブベースの量感が大幅に増加し、絶妙のバランスになりました。ボクのお気に入りの NiceHCK RedAg 4n よりも刺激的でないかわりに、全音域の音圧を増幅する効果があって、低域だけではなく中高音域にもメリハリが加わりとても良いバランスになりました。この組み合わせで今後は聴き込んで行こうと思います。
5,000円以上10,000円未満の価格帯は、いわば中華イヤホンラインナップの激戦区で、各メーカーに特徴をもったユニークな名機が揃っています。でも『Star River』は確実にナンバー5に入る実力を持ったモデルだと感じました。NiceHCK SnowAg 4nとの絶妙のマッチングもあって、ボクのなかでは5本指に数えられる地位に一気に昇格です。もちろんお気に入りリストにも加わりましたよ。
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『TRI Star River(星河)』
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