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全部いい人だった。

前回の続きです。

飛び込んだ整形外科は混んでいた。
やっぱり12月30日に診療している医院なんて貴重だからだろう。
なんて思っていたが、新患は私だけらしく、リハビリに来ている患者さんが
ほとんどだった。
結構混んでいるから時間がかかりそうだなと思ったけど、
そんな理由だからだろう、割とすぐに診察室へ呼ばれた。

50代くらいかと思われる、白髪混じりのやしそうな面長の医師は、
笑顔で「こんにちは〜今日はどうされましたか?」と問診を始めた。
私はこうなったであろう原因を説明した。
ふむふむとセンセイは私の左手を触りながら、こうすると痛いですか?
これはどうですか?など触診をした後、「ハンドルを曲げた時に捻ってしまったんでしょうけど、レントゲンで確認しましょう」と言われた。

待合室で待っていると、レントゲン技師さんに呼ばれ撮影。
結構若い男性だ。最近女性の看護師や技師ばっかりなので、新鮮。
あっという間に撮影は終わり、また待合室で待つことに。

再び呼ばれ診察室へ。
骨折もヒビもなかったが、いろんな骨や筋や軟骨で組織されている手の甲は複雑らしく、単純に見えるレントゲン写真の異変に、私は全く気づかなかった。
異変、というのは、正常な場合、ある2本の骨はその長さ(高さ?)が微妙に違うらしいのだが、私は衝撃のせいか、その2本の骨の長さがほど同じになってしまっているらしい。それが痛みの原因、らしいことを言っていた。センセイは、理解しているかい?的な笑顔で、一応レントゲン写真のコピーをくれた。
うん、よくわからなかったけど、診察に来たことは正解だったようだ。
治るまでの期間ははっきりとはわからないけど、まず時間がかかるとのことだった。少なくとも1ヶ月は安静に、と言われた。
手首の安静?と不思議な顔をしていたであろう私にセンセイは、
「とりあえず1ヶ月は自転車はやめておきましょう。」と言った。
どこへいくのも自転車で済ます私は、(歩くのか〜面倒だなぁ)と思ったものの、そういえば私は「肥満」の烙印を押されていたのであった。歩くことは
体重を減らすためにも有効だろう、といい機会だ、と気持ちを切り替えた。
病気不安症な割には前向きな自分に敢闘賞をあげたい。

「手首を固定する必要があるから、その方法を教えますね。だんだん痛みが引いてくると思いますので、また1月4日以降に来てください」と優しく言われ私は診察室を後にした。そのとき看護師さんにファイルを渡され、4階(上の階)にいくように促された。リハビリ室があるらしく、そこでテーピングの仕方を教えてくれるのだろう。テーピングかぁ。高校時代、散々負傷してはテーピングをしていた記憶が蘇る。サボりたくてわざとテーピングをしたこともあった。しょうもない思い出だ。
リハビリ室は最後の人がちょうど終わったところで、私の番はすぐにやってきた。柔道整復師の肩書をネームプレートにつけている男性が、痛みを確認しながら、まず電気を流して痛みを和らげる、というようなことを言った。その後テーピングをするそうだ。この男性柔道整復師も若い、その上イケメンだ。新鮮2。電気は10分流すらしいので、その間持参した本を読んで過ごしたが、10分はあっという間だった。(慌てて家を飛び出したくせに文庫本は忘れずに持参とは抜かりないジブンだ)

その後テーピングをしてもらい、会計を済ませた。このとき時刻はすでに14時を回っていた。13時までの診察だったのに、私が飛び込んできたせいで遅くなちゃってごめんなさい、という気持ちで、
「最後なのに、遅くなってしまってすみません。」と頭を下げると、
「大丈夫ですよ!お大事に!」と気持ちの良い返事をもらった。
うん、いいとことろだ。やっぱり思ったとおりの医院だった。

湿布が処方されたので、一階の処方箋薬局へ行った。顧客情報などを電子管理しているようでアプリをダウンロードして登録をするように言われた。
「登録されている間に用意していきますね」
アプリか。アプリは増える一方で面倒だったるするんだけど、とりあえず言われたとおり登録作業をして薬剤師さんに声をかけた。
処方された湿布薬の使い方を説明してもらい、心配なことなどはないか、と尋ねられたが、特にないので、お礼を言って店を出ようとした。
そのとき、出入り口の張り紙に気づいた。年末年始の営業時間のお知らせだった。

12月30日 13:00まで

手元の時計を見るともう14時20分を過ぎていた.。
「きっと最後の患者さんが来店するかもしれない」ということが
上階の整形外科と共有していたのかもしれない。
処方箋は大概、処方箋薬局であればどこでも取り扱ってくれる。
私がこの薬局に行くとも限らない。何より営業時間はとうに過ぎているのだ。でもこの薬局は普通に応対をしてくれたのだ。ありがたい。

12月30日 終わりよければ全てよし。
タクシーの乗務員さん、整形外科のセンセイ、受付のお姉さん、レントゲン技師さん、柔道整復師さん、看護師さん、そして薬剤師さん。
皆さんにとってよい新年がやってきますように。

あ、まだ1日あるか。


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