続・デジカ開始日記
男もすなるというデジカ開始日記といふものを女の私もしてみむとてする。|石川太郎
続・デジタルゲートオープン!
さて、渾身のギガグリーンを否定された僕は兄と一緒にベルゼブモンデッキを作ることになった。スターターデッキは2つあれば問題ないとのことで、もしょもしょとカードを集めていき完成させた。
ほい、と渡されたものの、僕は全然このデッキの動きを分からない。というかさっき説明してくれたジエスモンデッキの動きくらいしか分からない。
「じゃあジエスモン作ろう。スターターあるんだよね?」
「ある」
「じゃあそれも組もう」
というわけでジエスモンデッキを作り、遊ぶことになった。必須カードのジエスモンGXとかいう高いカードはすべて兄が買ってくれていた。あ、兄者…。
「じゃあ、改めてやろう」
「うい」
「ベルゼ借りて良い?」
「おけ」
というわけで兄のティーチングのもと、僕の初めての新デジモンカードが始まった。
途中、兄に効果を確認しつつ、ベルゼブモンのデッキ破棄のスピードに驚きつつ、兄の接待プレイのもと何とか勝った。
「なるほど、、、楽しいね。難しい」
「そう、難しいんだよ。効果も多いから把握が大変。もっかいやる?」
「お願い。じゃあギガグリーン使う」
「なんでだよ。ジエス使え」
そういって兄は他人のギガグリーンを使って、ジエスに負けた。
初めてのテイマーバトル!
兄にデジモンカードを教えてもらって、ひと月が経った。ディスコードで兄と、兄の知り合いと少しだけ遊んだが、それ以外は全然していなかった。
店舗大会はカードゲーマーが怖くて出る勇気がなかった。
そんな時、兄から「大会に参加すると、マグナモンが当たるキャンペーンのシリアルコードがもらえるらしい!」とラインが来た。
ふ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。
現実は非常だ。
引きこもりに厳しい。
私は意を決して店舗大会に参加することをした。
土曜日、夕方に川崎で大会があるらしいので出ることにした。川崎からふた駅の、矢向というところらしい。午前中秋葉原に行って、ちょうどいい時間に店舗に着く。…本屋?本屋でカードゲームの大会?
初めてすぎて何をしたらいいか分からない僕は、店舗に着くなり店長さんに「デジモンカードの大会に来たんですけど…」と恐る恐る聞いてみた。
店長さんは笑顔で「あ、じゃあこの紙に名前を書いてください」と紙を渡してきた。…ハンドルネームで良いんだよね?僕は”石川”と紙に書いて店長に渡した。
「奥の方で、ちょっと待ってくださいね」「はい、ありがとうございます」といい、店に入る。長机がたくさん並んでいて人がおおくて、ちょっと怖い。鞄にデッキ、入っているよなと確認して、枚数問題ないよなと確認する。ジエスモンデッキ。自分で作ったデッキもあるが、動きが分かっていないのでジエスモンで遊ぼう。そう意気込んで兄に大会に来た報告ラインをして、大会時間まで待った。
少し待って、大会の時間になった。店長さんからのアナウンス。
「えー、デジモンカードの大会なんですけど、参加者が8人に対して、参加希望が13人、いまして、えー、抽選になります。ここにカードを置くので、参加希望の紙出してくれた方は引いてください」
続々と参加者のような人がカードを引いていき、僕も続いてカードを引いた。11番。
「えーと、参加者の皆さん、引きましたかね?では、1番から8番のカードを引いた方が当選です。9以上のカードを引いた方は、すみませんが外れということで、すみません」
・・・?
え?終わり?
勇気を出して、頑張って川崎まで来たのに?
そんなのって、そんなのってないよ・・・。
カードゲームなんて、始めるもんじゃねぇな・・・。
こうして私の新デジモンカード初陣は幕を閉じた。