藤井聡太プロの1秒詰将棋0004
ご覧いただきありがとうございます。
記事タイトルは「藤井聡太プロならば1秒で解けるはずの詰将棋0004」の省略です。
01.詰将棋のご案内
今回の詰将棋は塚田正夫名誉十段(故人)の「続楽しい詰将棋手帳」の第98題からの出題です。棋力判定は「考案時間10分 初段程度」と書いてありますが、あまりにも厳しすぎます。10分で解ければ未来の将棋三段候補だと思います。
この詰将棋も良問で秀作です。ヒントを多めに出しますので、5級~二段の方も是非じっくりと取り組んで下さい。解ければ感動しますし、将棋上達にも必ず役に立ちます。
なお、この本は1975年出版の本ですでにアマゾンにはありません。定価300円ですので、古本屋で安いものを見つけましたら是非購入をご検討下さい。
代わりに下の2冊をご紹介しておきます。
塚田正夫名誉十段は有名な詰将棋作家で名人にもなった方です。詰将棋の特徴は、①実戦形が多く②持ち駒が少なく③簡素な、取り組みやすいものばかりです。詰将棋作品に対するプロとアマの評価もとても高いのでお勧めの本です。
02.塚田正夫名誉十段からの大切なアドバイス
「続楽しい詰将棋手帳」のはしがきのところに大切なことが書かれていました。そのアドバイスを抜粋しておきます。本文のまま転写します。
「念のため申し上げたいのは、なるべく自力で詰めるクセをつけて下さい。直ぐ解答を見るのは興味もなく、上達の妨げです。詰まないときは、頭の冷静なとき考え直して下さい。」
これに関しては私も全くの同感です。
将棋入門者や将棋10~8級程度の初心者ならばともかく、これから将棋で強くなろうとしている方がすぐに解答を見ることは、「将棋上達の妨げ」になります。結論や結果を急ぐ方、自分の上達や成長、進歩、発展を焦る方は、その心情の中に幼児性が現れていることに早く気が付いて下さい。やはり、千里の道も一歩からなのです。地道に足場を固めましょう。
ちなみに、羽生善治九段(元七冠王)なども詰将棋の解答はすぐに見てもよいと発言していますが、あれはプロの優しさです。その優しさに甘えますと中級者以上になってから将棋上達で苦しむことになります。また、将棋初心者は定着率が悪くすぐに将棋や詰将棋をやめてしまうので、そのためのフォロー発言とも言えます。将棋は囲碁と違ってルールが難しいです。それゆえ、新たな将棋ファンの開拓と定着が難しいゲームなのです。
詳細は別の機会に述べますが、将棋の定跡を覚えたり詰将棋の解答をすぐに見て覚えたりすることは、その方の「秀才性」を育てます。しかし、定跡を覚えず詰将棋の解答を見ないで自力で解く方は、ゼロから発想することになり、それこそが「天才性」の開発につながります。
藤井聡太プロは、将棋の歴史上稀にみる詰将棋の大天才です。彼が詰将棋を自力で解くことによって自己の「天才性」を開発したことは一目瞭然です。
03.問題図と棋力判定
棋力判定
・いつも通り独断と偏見ですが、それほど間違ってはいないはずです。
8秒で解ければ藤井聡太未来八冠王レベル
16秒で解ければプロ級
1分で解ければ将棋六段以上
2分で解ければ将棋五段以上
4分で解ければ将棋四段以上
8分で解ければ将棋三段以上
時間無制限で解ければ未来の有段者候補
04.ヒント1
手数は非常に長いです。ですが、あることに気が付くと一気に9手詰になります。そのあることに気が付かない方は、今のところ将棋三段の終盤力はないです。
05.ヒント2
ヒント2を見ますと二段以下の詰将棋になります。
それでもよろしければご覧下さい。
手数は19手詰です。長いようですがある駒を消しますとあとは見慣れた手筋に突入します。そのあとは簡単です。
06.ヒント3
ヒント3を見ますと初段以下の詰将棋になります。
それでもよろしければご覧下さい。
消す駒は盤上にある攻め方の「歩」です。この駒を消す方法を自力で編み出しましょう。自力でゼロから発想できることが、将棋上達や将棋の中盤・終盤の向上力アップにつながります。
07.解答
<問題図再掲>
初手は2五桂でした。この手の発見はそれほど難しくはなかったはずです。
2手目は1二玉です。2二玉と逃げますと以下3三角成、同桂、3四桂、1二玉、1三銀、1一玉、1二銀成などの変化で詰みます。
3手目は2四桂しかありません。
4手目はもちろん同歩です。残り15手です。ここから考えていただいても結構です。この局面から正解すれば将棋2級の終盤力はあります。
5手目は1三桂成です。同桂は2三銀以下簡単です。
ですから、6手目は同玉となります。ここでこの詰将棋の目標が解決されます。
7手目は1四歩です。
8手目は1二玉です。この場合は2二玉と逃げても同じ手順となります。
9手目は1三歩成です。これでやっと「歩」を消すことができました。
10手目は同玉です。同桂としますと2三銀以下15手詰の早詰みとなります。持ち駒の歩も余ってしまいます。脳内将棋盤で駒を動かせない方は将棋盤と駒で研究していただいても一向に問題ございません。
11手目は1四銀です。
12手目は1二玉です。2二玉でも正解です。結局は同じ変化になります。
13手目は2三銀成です。
14手目は当然1一玉となります。15手目は1二歩とはできません。これは将棋のルールで打ち歩詰めというもので禁止されています。将棋の禁じ手の1つです。
打ち歩詰めから逃れるためにはある方法を使います。将棋初心者や初級者でこの方法を自力で発見できた方は、天才かもしれません(笑)。
念のため「打ち歩詰めのルール」に関して、3か所のリンク先を貼っておきます。初めての方や曖昧な理解しかできていなかった方は以下のリンク先をご覧下さい。
15手目は3三角成でした。打ち歩詰めの局面が出てきた時は、攻め方の攻撃力が圧倒的に強いです。その攻撃力を弱めることで「歩」を打てるようになります。
16手目は同桂です。
17手目は1二歩です。攻め方の角1枚が消えた効果でこの手が打ち歩詰めになっていません。手数の長い詰将棋や実戦でも頻繁に出てくる重要な手筋です。一連の流れをしっかり覚えましょう。
18手目は2一玉です。
19手目はもうおわかりですね。3二角成です。
詰将棋の解答手順を載せておきます。
08.総括
今回も重要手筋満載の詰将棋を取り上げました。学習効果の高い問題ですので繰り返し挑戦しましょう。これだけ手数の長い詰将棋に難なく取り込めるようになりますと、将来将棋三段の壁を越えやすくなります。
お気に入りの詰将棋の1つにしていただければ、塚田正夫名誉十段も草葉の陰から喜んでいるはずです。また、左下の♡(ハートマーク)をクリックしていただけますと私も大喜びです。
<参考>
下の本の「詰むや詰まざるやー将棋無双・将棋図巧」はプロを目指す方の誰もが取り組む詰将棋の名著です。私は高校生の時に挫折しましたが、もし私が今の時代に生まれていたならば、絶対に諦めなかったです。