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デスクペダリング。働きながら運動する

📖 文献情報 と 抄録和訳

身体活動的でない成人におけるデスクペダリング作業速度が同時作業パフォーマンスに及ぼす影響。無作為化実験

📕Rovniak, Liza S., et al. "Effects of Desk Pedaling Work Rate on Concurrent Work Performance among Physically Inactive Adults: A Randomized Experiment." Medicine and Science in Sports and Exercise (2022). https://doi.org/10.1249/mss.0000000000003026
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※ Connected Papersとは? >>> note.

✅ 前提知識:デスクペダリング(desk pedaling)とは?
・デスクサイクルは、仕事をしながら机の下でペダルを漕ぐことができる。
・学校では、子供たちがそわそわしないように、先生が使っているそう。
・デスクペダリングはStanding Deskの3~5倍の効果がある
※ Standing Deskを知らない方は関連noteを参照

🌍 参考サイト① >>> site., 🌍 参考サイト② >>> site.

[背景・目的] デスクトップ型ペダリングデバイスは、世界的な労働関連エネルギー消費の減少に伴う健康リスクの低減に役立つと考えられる。しかし、運動不足の成人において、同時に作業パフォーマンスを向上させるための最適なペダリング作業速度は不明である。我々は、2つの軽強度のペダリング作業速度が身体運動不足の成人の作業パフォーマンスに及ぼす影響について検討した。

[方法] 高齢者(45~65歳)対若年者(20~44歳)、男性対女性、過体重・肥満(BMI, 25~35kg-m-2 )対普通体重(BMI, 18.5~24.9kg-m-2 )で同数の参加者を募集した。グラエコ・ラテン・スクエアデザインを用い、参加者(n = 96)は、デスクペダル装置(17Wと25W)の使用と非使用が、タイピング、リーディング、論理的推論、電話タスクのパフォーマンスに及ぼす影響を評価する実験室に参加した。また、各ペダリング負荷における人間工学的快適性も評価した。等価性検定により、ペダルを漕ぐ条件と漕がない条件での作業パフォーマンスを比較した。

[結果] 17Wおよび25Wのペダリング作業速度に対する治療の忠実度は95%を超えた。ペダリング条件と非ペダリング条件における作業成績の平均点は、α=0.025の下で等価であった。年齢、性別、BMIは、ペダリングが作業パフォーマンスに及ぼす影響を有意に抑制することはなかった。参加者は、25Wの作業速度に比べ、17Wの作業速度で作業を行っている時の方が人間工学的に快適であると報告した。

[結論] 運動不足の成人は、17Wと25Wのペダリングとペダリングなしの条件下で、同じような作業パフォーマンススコアを得た。17Wは人間工学的に快適であり、運動不足の人が机上でペダルを漕ぐ際の出発点として適切である。

🌱 So What?:何が面白いと感じたか?

最近のいくつかの文献抄読で、以下のことを勉強、考察してきた。

■ 運動(身体活動)はワクチン有効性を高め、入院リスク比を下げる

■ 早歩きは免疫を高める

いまの敵は、目に見えない。
どんなに消毒しようとも、撲滅することは難しい。
外部からの侵入を制御する、『入力』部分での調整も確かに大事だろう。
だが、入ってきた玉石混交の刺激に対して、自分自身の身体がどの程度屈強でいるかという『抵抗』部分だって、それ以上に大事な部分だと思う。
職場では、「消毒、消毒」と入力部分への介入が徹底されている。
だが、どこの職場に「運動、運動」と抵抗部分への介入を明確にしているところがあろうか。
(中略)
抵抗部分を鍛えるにはワクチンも大事だろうが、運動なのだ。

そこで、今回抄読した研究である。
『デスクペダリング』は、職場での運動推進を仕事時間を削らずに実現できる可能性を感じている。
今回の抄読研究は、デスクペダリングしても仕事パフォーマンスは下がらないことが明らかとなった。
カルテ記載に要する時間は、1日どのくらいだろう。
うちの職場で考えると、20-40分間程度、だろうか。

■ 1日『20-40分』×週5日勤務=100-200分 / 1 week

WHOの身体活動推奨は、「成人では週に150~300分の中強度の有酸素性の身体活動」なので、カルテ+文書作成時間をデスクペダリングをしながらすれば、達成できている計算だ。
K2P(Knowledge to Practice)、知識は実践に結びつけなければ意味がない。
デスクペダリングは、その橋になりうるツールだ。

智慧の掟を知る者も、これを愛する者に劣る
これを愛する者も、これを実践する者に劣る

中国の智慧

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