脳卒中後の痙縮に有効な治療法
📖 文献情報 と 抄録和訳
脳卒中後の痙縮に対する早期介入の効果：系統的レビュー
📕Tilborg, Nino AW van, Vincent de Groot, and Carel GM Meskers. "The effectiveness of early interventions for post-stroke spasticity: a systematic review." Disability and Rehabilitation 47.4 (2025): 900-911. https://doi.org/10.1080/09638288.2024.2363963
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[背景・目的] 脳卒中発作後の早期痙縮介入の効果に関する証拠を統合する。
[方法] 国際生活機能分類（ICF）で定義された結果における脳卒中発作後3か月以内の痙縮軽減介入に関する研究を網羅した系統的文献検索（PubMed、Embase、Web of Science）。
[結果] 合計27件の研究が特定され、n＝1,658例であった。ボツリヌス毒素（2～12週間；10件の研究、n=794）は、修正Ashworthスケール（MAS）または筋電図（EMG）による一貫した有意な痙縮の減少を示した。電気的筋肉刺激（1～8週間；6件の研究、n=335）は、4件の研究でMAS/複合痙縮スケール（Composite Spasticity Scale）のスコアが低かった。
電気刺激については、6件の研究のうち4件で短期間に有意な群間効果が見られた。長期的な効果は確認または調査されていない。他の介入では、結果が曖昧であった。
経頭蓋刺激（3件の研究、n=131）、経口痙攣抑制薬（1件の研究、n=38）、衝撃波（1件の研究、n=40）、装具（3件の研究、n=197）およびロボット支援療法（3件の研究、n=123）では、結論を導くには至らない結果であった。ICFの活動領域への影響については、データが限られており、結果の測定に大きなばらつきがあるため、確立することができなかった。2件の研究のうち1件では、ボツリヌス毒素の早期介入（90日未満）と後期介入（90日超）を比較したところ、早期介入に有意な効果が認められた。
[結論] 本研究は、ボツリヌス毒素を早期（発症から3ヵ月未満）に投与することで痙縮を効果的に軽減できること、および電気刺激療法が有効である可能性があることを示すエビデンスを提供するものである。急性期/入院期（発症から7日未満）の介入効果を確立するには、特にICF活動領域に関してさらなる研究が必要である。また、アウトカム評価基準の標準化も必要である。
🌱 So What?：何が面白いと感じたか？
臨床現場で関わった方はわかると思うのだが、痙縮というのは実に大変なものだ。
装具を履くことができない、リラックスしている時に勝手に力が入ってしまって休まらない、日常生活全般が行いにくい・・・。
数多の不都合が生じうる。
近年の調査から、痙縮リスクの関連要因や評価方法などが明らかになりつつある（関連note参照）が、まだまだ不明な点が多い。
特に、『有効な介入方法』についての知識が、少ないと感じていた。
今回の抄読研究は、そんな痙縮に対する有効な治療法のいくつかをシステマティックレビューにおいて示した。
その結果としては、発症後3ヶ月以内程度の短期間であれば、ボツリヌス毒素と電気的筋刺激療法が有効だった。
悩ましい痙縮に対する治療法、特にリハビリテーション職としては電気的筋刺激療法の具体的方法については習熟しておきたい。
勉強しよう！
⬇︎ 関連 note & 𝕏での投稿✨
📕脳卒中後の痙縮に有効な治療法
— 理学療法士_海津陽一 Ph.D. (@copellist) February 25, 2025
・27研究を包含
・3ヶ月以内を短期, 3ヶ月以降を長期
🔹ボツリヌス毒素：修正Ashworthスケール(MAS), 筋電図で短期の痙縮↓
🔹電気的筋刺激：MAS, 複合痙縮スケールで短期の痙縮↓
🔸その他の治療法や長期効果は, 不明かなし
痙縮への電気的筋刺激, 勉強します😲 #痙縮 pic.twitter.com/i2xsHOwGig
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