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映画「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」3回目感想
劇場公開時、期待を胸に映画館で観て、あまりのムチャクチャな展開と退屈さに40年続いていた私の「SW熱」を一気に冷ましたシリーズ8作目。
ずっと2回目観る気が起こらなかったんですが、数年前、やっと観返す機会があって、「あれ? これって思ったほどひどくない?」と思いました。
以下、ネタバレあり。
確かにコミカルなシーンは明らかに滑っているし、謎展開が多く、時々差し込まれる、レイとベンの「君の名は」みたいな場面はダルいんだけど、そもそもSWって、「本格A級SF映画」ではないんですよね。
スタート地点は「父親にコンプレックスを持つルーカス少年の『なろう系』冒険活劇」ですから。
それがあまりに売れすぎて神格化されちゃっている。
「攻殻機動隊」は昔から「よくわからんけどエロいマニアックマンガ」だし、「エヴァ」だってそう。みんな、勝手に神格化してどんどんつまんなくなっていく。MCUだってアメコミを原作にした脳筋ムービーなんよ。
「お話」を楽しみたいなら小説を読めばいい。映画は「観て」ナンボ。どんなにお話がクソでも、ヴィジュアルがよければそれでいいんです。
スノークを殺した後の殺陣とか、めちゃめちゃかっこいいし、惑星クレイトの描写は最高。
ジョージ・ルーカスが絶賛したのもなんとなく理解できるようになってきました。ルーカスって「反逆」の人ですからね。行儀よく収まった映画なんてつまらんという気持ちはわかります。
それでいて、結構、「帝国の逆襲」をしっかり踏襲しているところも素敵なんですよね。思えば「帝国」も相当ヘンな映画よ?
残念なのは、「帝国」を踏襲するなら、本来、「夜明け」で明かされた「パルパティーンの孫」はこの作品のラストに来るべきだったんじゃないかと思います。
製作された時点ではたぶん、レイがパルパティーンの孫という設定はなかったんじゃないかと思うんですが、そういう目で改めて観直してみると結構面白いんですよね。
もしかすると、ルークの「こいつに稽古つけたくない」という気持ちは、レイがパルパティーンの孫ということがわかっていたからと考えると割と受け入れられる気がします。
実はこのエピソード8は真のスター・ウォーズファンかにわかかを見分ける「踏み絵」だったのかもしれない。ここで脱落してしまった人はスター・ウォーズの「本質」を理解していないにわかってことですね。まあ、自分もそうでしたけど(笑)。
とはいえ、昨今のオリジナルドラマの乱発は違う気がするんですよ。いや、違うというかノれない。もう完全にディズニーの「商品」となってしまった感じがして。
あと、「隙間」を埋めることでどんどん「想像の余地」みたいなのが奪われていくのも嫌。それはガンダムも同じですね。僕はやっぱりオビ・ワンとアナキンの再会は「新たな希望」の時だったと思いたい。
というわけで、「最後のジェダイ」ってなんかクセの強い食べ物みたいな映画だなと思います。最初食べた時は「なんだこりゃ!?」なんだけど、それを乗り越えると「かけがえのない美味さ」に変わる。僕にとって、「エヴァQ」なんかもそれに近かったですね。初見はもう「クソだ」と思ったんだけど、2度3度観るうちにどんどん好きになっていく。
きっとまた数年後に観返したくなるんじゃないかと思います。