シャボン玉
お父さんがストローに息を吹き込む。ストローの先から七色を纏ったシャボン玉が次々と飛び出して来る。出て来たシャボン玉は、お日様から貰ったキラキラした光を辺りに撒き散らしながらお空へ飛んで行く。
「ねぇ、なっちゃん。なっちゃんが大きくなったら、もしかしたら悲しい事や辛い事を経験する事になるかもしれない。そんな時はシャボン玉をするといい」
お父さんはまたストローに息を吹き込む。
「嫌な事は全部シャボン玉に詰めてお空へ飛ばしてしまうのさ。そうすればココが軽くなってスッキリするよ」
そう自分の胸を指差しながら私にニッコリと微笑み、昨晩お母さんと大喧嘩したお父さんは、新しいシャボン液を作りに台所へと向かった。