Double High Bbへの道
たいへん素晴らしい意気込みです。
トランペット吹きにとってのハイ・ノートとは格別の意味を持ちます。
通常であれば、演奏会が終了すると伏し目がちにそそくさとステージを降りるのですが、曲の最後にダブルハイBbを決めたなら話は変わってきます。
諸手は天に向かって突き上げられ、気の利いた照明係がスポットライトを浴びせてくる。
恍惚に包まれた顔面の口元がだらしなく緩み、ヨダレが垂れていることでしょう。
途中の演奏がどんなにヘッポコでも最後の一音さえ決まればそれだけで大満足。それがハイ・ノートなのです。
しかしここまでのプレイヤーをあまりお見かけしないことを考えると、おそらくこの音域というのは人間にとって不自然な状態だからでしょう。
私も漏れなく高音域に馴染めない一般の方で、その代わり低音域大好き。もし、ローBbからペダル領域に命を燃やす「トランペット3番倶楽部」なるものがあったなら、是非とも入会したい。
まあ、とは言いつつも、ハイノートを出せることは若い女の子にモテる可能性がグンと広がるため、何としてでも手に入れたいスキルです。
現在は低音に偏位している私ですが、何も考えなしにこのような希望を申しているのではございません。
私には秘策があります。
あまり口外したくはないのですが、長年の調査により、これとも思える非常に興味深い手法が複数存在するのを発見しました。
それらの情報によれば、以下のような方法によってハイノートの実現が可能とされています。
ネット情報1「括約筋に力を入れろ」
なるほど、なるほど。ごもっともなことです。
ただし、この方の記事はここで終わっており、肛門に直接マウスピースを当てて吹いてしまっても大丈夫なのかどうかが書かれておりません。
どのように音程をとるのか、演奏前に下剤を飲まなくていいのか、ここらへんの解明が急がれるでしょう。
ネット情報2「シンセサイザーを使って口パクしろ」
ははあ。ここまではっきり言い切った方は素晴らしいと思います。
考えてもみれば音は、口から出ようがケツから出ようが、はたまた別の穴から出ようが大して違いはありません。
細かいプロセスを気にせず結果の体裁を整えることは、未来志向のプレイヤーにとっては重要でしょう。
ネット情報3「1か月に半音ずつ広げろ」
まさにおっしゃるとおり。
現在ハイBbまで出せるとすれば、12か月後にダブルハイの領域に達します。
言われてみれば小学生でもわかる事実に、何故か私は今まで気づきませんでした。
これら秘中の秘とも言える手法の存在を発見できたことは、実に幸いなことでした。
残念ながらまだダブルハイは実現できていませんが、もし修得することができたなら、レポートする用意がございます。
(イラストは借用しました)