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ジャムセッション体験記 その1

【本番2週間前】

ジャズトランペットのレッスンを受け始めてから2年半。その講師のC先生から、ホストを務めるジャムセッションへのお誘いがLINEで送られて来ました。

「ついにこの日が訪れたか。」

普通に考えて、レッスンを受けているからには当然そこを目標としているはずであり、そういう場に参加できると認められたのは非常に喜ばしいことです。
ですが、ここで何の考えもなしに喜び勇んで出かけるのは、考えの浅いド素人。
ネットで検索してご覧なさい。そこに飛び込んで散っていった先人達の歴史を。先人達の告白は、その軽はずみな行動がどんなに危険であるかについて、教えてくれています。
内容はご自身で直にネット記事を見ていただくのが確実ですが、あえて解説すればおおよそ次のようなことが書かれています。

ジャムセッションというものは、素人が行って下手なプレイをしようもんなら周囲から石を投げつけられ、寄ってたかって引きずり下ろされる弱肉強食の世界。その脅威度はバンジージャンプよりも上である。

何という恐ろしい世界でしょう。幸い命まで取られたという証言はありませんが、それでもセッションというものはホイホイ行くようなものではなく、いわゆる武者修行的な面持ちで参加するものなのです。
あまりにテキトーな人間が参加しては、その場の全員で降ろしにかかられることでしょう。

じゃあ辞退すればよろしいかというと、それがそう簡単でもない。その瞬間にC女史から、「このフニャチン野郎が。」と、声に出さないまでも内心では蔑まれること確実です。

「人間の器とキンタマは、せめてどちらかが大きくあって欲しい。」
いや、正確には、「どちらも小さいと悟られてはいけない。」

そうして私は、悩んでいる間はなるべくLINEの既読がつかないように気を配りながら(LINEに気づかなかったフリをしながら)、数日後にあたかも即断即決で参加表明したかのように振る舞い、かろうじて大人を示したのでした。

そうしてここから、当日の失敗リスク低減に向けた工作に取り掛かるのでした。


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