リンクスランドをめぐる冒険Vol.18 孤高のゴルフコース、マフリハニッシュ Part.2
2023年6月22日から2023年7月23日まで。
約1ヶ月間、スコットランドのゴルフコースをめぐる1人旅を敢行。
これだけを考えるとゴルフ好きなら誰もが
「羨ましい!」と思いつくままを言葉にする。
実際、私だって行く前はほぼ、楽しいことしか頭の中になかった。
しかし、いざ行ってみると悪戦苦闘と至福の時の繰り返し。
振り返ればジェットコースターのような1ヶ月間。
これはそこで見たこと、感じたことの備忘録です。
世界で1位に選ばれたスタートホールへ
トーマス・ミッチェル・モリス。
オールド・トム・モリスと言った方が分かりやすいか。
ゴルファーなら、一度はこの名を聞いたことがあるだろう。
1821年、セント・アンドリュースに生まれ、全英オープン4度の覇者となり、オールドコースの改修と収益に寄与、1908年、セント・アンドリュースで亡くなった偉大なプレイヤー、そして設計者。
オールド・トム・モリスに関してはネット内に膨大な資料があるので興味を持たれた方は参照していただきたい。
オールド・トム・モリスは生存中、スコットランドの多くのコースを設計、改修した。ミュアフィールドにプレストウィック、カーヌスティの基礎となった最初の10ホールもオールド・トム・モリスが関わっている。
それからマフリハニッシュ・ゴルフ・クラブ。
創設当初は10ホールしかなかったが、1879年、オールド・トム・モリスが18ホールに改修、スターティングホールを現在の場所に移し、マフリハニッシュ・ゴルフ・クラブのシグネチャーホールとした。
その1番ホールが米国ゴルフマガジン社の「THE 500 WORLD'S GREATEST GOLF HOLES」の中で「The Best of The Best」の1番ホールで1位となったのは2003年のこと。
もうちょっと分かりやすく言うと、米国ゴルフマガジン社が世界のゴルフコースを調べてランク付けした本があり、その中でホールバイホールのランク付けを行い、世界でもっとも優れた1番ホールに選ばれたのがマフリハニッシュ・ゴルフ・クラブということ。
そのPar4、424ヤード1番ホールの画像がこれ。
…いや、違うな。
これ、動画を貼り合わせた画像なんだけれど、なんか、迫力がなくてしょぼい。
あの壮大な感覚はとても(分かり切ってはいたが)画像では伝えきれない。
とにかく、レイアウトはこんな感じ。
海超えになるのだけれど、自分の飛距離に合わせて到達地点を決めなければならない。安全に行けば残りの距離が長くなるし、右に突き抜ける可能性もある。勇敢に行けば残り距離は少なくなるけれど、失敗すれば砂浜から打つ羽目になる。
これに風と雨が加わると狙いはさらに難しくなる。
スコアインデックス(ホールの難易度:低い数値ほど難しい)は3。
プレーヤーの資質が試されるホールだ。
打ち寄せる波と音の舞台装置はとても素敵だけれど、それだけの理由でここが世界500のホールバイホールでベスト1になったわけではないのだ。
無難にまとめた1番ホールのはずだが・・・
雨が私の顔を打ちつける。
向かい風。
日本なら、けっして良いコンディションとは思わないだろう。
しかし、私が望んでいたのはまさに、これ。
いかにもスコットランドらしい天候じゃないか。
いつまでもこの光景を眺めていたかったが、観光に来たわけじゃない。
私の飛距離はドライバーでせいぜい200ヤード。
欲張り過ぎると浜辺で砂まみれになるのは必至。
狙いを定め、勇気を持って一振した。
雨の中、風に押されながらもなんとか砂浜を越えた私のボールはフェアウェイにたどり着いた。
初リンクス、初コース。
上々の滑り出し。
私は電動トロリーを操作してボール地点まで行った。
第2打地点まで行くと、意外とフェアウェイが広いことに気がつく。
高低差がないと平面に見えるのでホールの幅の感覚がつかみにくい。
残り距離はたっぷり180ヤードはある。
私はボギー狙いで手前に刻み、アプローチで寄せて2パット。
3打目地点まで行って刻んだことが正解だったと思った。
なにしろグリーン右に落とすとバンカーがあり、さらに右はリンクス特有のコブが待ち受けている。
左はやや安全だが、海岸線が待ち受けているから左方向へ打つには勇気がいる。つまり安全策にはならない。
なるほど。
私のようにボギーを狙うプレイヤーにはさほど難しくはないけれど、パーやバーディを狙うプレイヤーには賞罰がはっきり表れる、というホール。
その仕掛けに気づいた時、最初のホールをボギーでまとめたことに安心した反面、形にならない、漠然とした不安を感じた…。
続く
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