たとえば、「最近、ときどき胸が痛むんです」という患者さんが受診したとき、医者がなにを聞くのか

我ながら、問診ってすごくしつこく、細かいことを聞くよなあ…と思ったので。
医療従事者以外の方には、病院を受診したとき、いろいろ細かく聞かれるのはどうしてかをご理解いただけるとうれしいです。
研修医など若手の医療従事者は、このあたりを気をつけると、よく病歴がとれていると言われると思います。

たとえば患者さんに、「最近、ときどき胸が痛むんです」と言われたら、どうするか。
検査もあると思いますが、今回は問診の話なので割愛します。

患者さんの症状を詳しく聞く

・「最近」→いつからですか？
具体的な時期が分かればよし、「いつからだったかな…」となったら「１か月前ですか、もっと前？」と聞くと、「いやそこまでじゃないよ」などなんとなくの発症時期をつかめることが多いです。

・「ときどき」→週に何回くらいですか？それとも月に何回かくらいですか？

・「胸が痛むんです」→場所は胸のどのあたりですか？どんな感じに痛みますか？（どんな感じ、は表現できない方も多いですが、こちらから「押しつぶれる感じ？ちくちくする感じ？」など例を挙げると答えてくれることもあります）どれくらいの時間痛みますか？その間はずっと痛いですか、それとも0にはならないけど、ちょっとラクになる時間もありますか？運動や食事と関係はありそうですか？早朝に多いなど、時間は関係ありそうですか？

こちらから患者さんに問いかける

・随伴症状の確認
　冷や汗をかいたり、痛みが胸以外に広がったりはしませんか？
　息苦しさはありませんか？

・飲酒喫煙の確認
　お酒は飲みますか？
　「ちょっとだけ」「けっこう」→具体的な数値を確認。月１回程度の飲み会なのか、毎日なのか。１回あたりの量はどれほどなのか。
量は「そのときによる」という返事も多いですが、「例えば昨日はどうでしたか？」と聞くと答えてもらえることが多いです。
　
　タバコは吸いますか？
　「吸ってます」→何歳のころからですか？１日何本くらい吸いますか？
　「吸ってません」→人生で１回も吸ったことないですか？それとも前は吸ってたけどやめましたか？

・既往の確認
特定の病名がでたら→いつどこで診断されたのか、治療は終わったのか通院中なのか
「とくに病気はないです」→今は通院してなくても、昔入院したり手術したりしたことないですか？検診受けてますか？検診でなにか言われたことないですか？

・内服の確認
　まずはお薬手帳があるならみせてもらう（それで併存疾患が推定できることもあります）。
　なければ、薬の名前を聞く。わからなければ、何のための薬を何種類くらい飲んでいるのかを聞く。
サプリメントや健康食品の摂取も聞く。

…というあたりでしょうか。
診察前の問診表もありますが、たいてい情報量が圧倒的に不足しています。
問診表を電子化して、このあたりを突っ込んでもらえると、診察時間の短縮になるのになと思っています。