素晴らしき映画音声解説(オーディオコメンタリー)の世界 その1
皆さんは映画の音声解説(オーディオコメンタリー)の存在をご存知ですか?私はDVDやBlu-rayにたまに特典としてついてくる音声解説が結構好きで、好きな映画に音声解説がついていたら必ず聞いていましたし、たまに音声解説目当てでBlu-rayなどの媒体を買ったりしていました(過去形なのは、最近もっぱらストリーミング&モノを増やさないようにしているから…)。
インテリア×映画の記事を書いていて、音声解説がやけに懐かしくなりました。
サブスク戦国時代と言われて久しい昨今、ディスク媒体に関するこの記事に果たして需要があるのかわかりませんが書きますね。
何故なら私が書きたいから。
その1である今回は、単純にオススメ!っていう作品を6つ並べていきます。
音声解説とは?
映画のディスク媒体に特典としてついてくるもので、本編に被せるかたちで、映画関係者の解説を音声として収録したもの。メニューのオーディオの部分で選択できることもあれば(←これめちゃくちゃ見逃しやすい)、映像特典のところに解説のON/OFFボタンがあることもある。
個人的には映像特典よりも音声解説の方が好きです。やっぱり映画全編を通して解説してくれる方がより濃い情報が得られるし、関係者がこちらに向かって話している感じでナマな臨場感があります。
ただ、映像特典と比べると結構コアなファン向けの特典と言えるかもしれません。オリジナルの音声なしに映画を一本見るには、その映画がかなり好きor映画の内容だけでなく映画づくり自体に興味がないと難しいですから。だからたまにしかついていない。
この記事を書くにあたって、他に音声解説について書いている人っているのかなーと検索したところ、こちらのブログがとても詳しかったです!音声解説について理解を深めたい方はこちらを読んだ方が良いでしょう。私のは本当にただの感想なんで。
注意点
感想に移る前に、2つ注意点があります。
・音声解説はBlu-rayとDVDで収録内容が違うことがあります。例えば、Blu-rayには音声解説がついているのにDVDにはないとか、Blu-rayの方が音声解説の数が多い、など。今回はあくまで私が観賞したディスク媒体の音声解説の感想になります。自分が観賞したのがBlu-rayなのかDVDなのかも一応書いておきますね。
・レンタル版のディスク媒体には音声解説がついてないことがあります。これは、事前に検索してもわからないかも…でも最近レンタル屋さんを利用する人もいないのかな。どうなんだろ。私のようなマニアは別として、正直音声解説だけのために自腹切りたくないですよねー。しかも好きな映画の音声解説が良いとは限らないし。メルカリで中古のディスク媒体(レンタル落ちは避けて)買うとか?何か良い案があったら教えてください。
私のオススメ音声解説6選(本編のネタバレなし)
マトリックス(1999年)
解説者:映画評論家 トッド・マッカーシー(バラエティ誌)&デヴィッド・トンプソン(映画辞典著者)&ジョン・パワーズ(ヴォーグ誌)
媒体:Blu-ray
Blu-rayには4種類の音声解説がついているんですが、私のおすすめは断然映画評論家達の音声解説です。
むしろこの音声解説つきじゃないとマトリックスを見る気がしない。もうオリジナルのオーディオで見たのがいつかも思い出せない。
映画の作り手に対する忖度一切なしで、「このシーンっている?」「ここの音楽ださいよね」「この演技カルト宗教の勧誘員みたい」など好き勝手にズバズバ斬っていきます。もちろん、良いシーンは誉めますよ!でもここまで忌憚のない音声解説は他にない気がする。
一番好きな部分は、「若いやつはさ、こういう映画に深遠な哲学とか求めたりするじゃん?でももう俺歳だからさ、そういう話ついていけないのよ」と評論家の1人が言っているのに、本物の哲学者の音声解説が同時収録されているところ。本人が意図しないところで失礼発言になっていて笑った。
コンスタンティン(2005年)
解説者:監督 フランシス・ローレンス&製作 アキバ・ゴールズマン&脚本 ケビン・ブロドビン&脚本 フランク・カペロ
媒体:DVD
マトリックスに続いて、偶然にもキアヌ・リーヴス主演作。このDVDは、出先で暇潰しのために寄ったCDショップのセールコーナーで500円で売られていて、元々好きな映画だし音声解説聞いてみるかーと買ってみたら意外にアタリでした。
終始落ち着いた口調で真面目に解説する監督に対し、急にボケたり、監督をいじったり、好き勝手にリアクションするプロデューサーのコンビが面白かった。何か楽しそうなチームだな。脚本家のコンビとは多分別撮りだと思われます。
好きな部分は、動物愛護団体が知ったら確実に抗議するであろう序盤シーンの撮影方法(好きっていうかかなり驚いた)、舞台であるLAの民族の多様性についての監督のビジョン。
エイリアン(1979年)&ブレードランナー ファイナル・カット(2007年)
解説者:監督 リドリー・スコット
媒体:どちらもDVD
これは喋っている人が一緒なのでまとめて感想を書きます。ブレードランナーのDVDには3種類の音声解説が録音されていますが、一番好きなのは監督のもの。
リドリー・スコットは自分の作品について解説するのが好きなんだと思う。あと喋りが上手いので最初から最後まで飽きずに聞いていられる(解説者の喋りのスキルは音声解説をする上で超重要)。
エイリアンで好きな部分は、エイリアンの体内を作るために市場で調達したあるモノ、ヤツの誕生シーンにおける監督のリアクション、公開当時の本作への批判について。この批判の部分にはかなり時代を感じます。
ブレードランナーで好きな部分は、劇中唯一とも言える恋愛シーンで放つ衝撃の一言、タイトな予算で映画を作るためのセットの工夫、主演ハリソン・フォードが出したあるシーンのアイデア、監督が思う未来(というか現在?)の資本主義についてのビジョン。
クリムゾン・ピーク(2015年)
解説者:監督 ギレルモ・デル・トロ
媒体:Blu-ray
Blu-rayには色々と特典がついていますが、やっぱりこの音声解説以外はそんなにいらないかな。
ギレルモ・デル・トロも喋りが上手い人です。あとスペイン語訛りの英語に独特の愛嬌があって好き。聞いていると妙に落ち着くので、この音声解説を子守唄がわりにして夜眠るという奇妙な時期がありました。
撮影方法やセットデザインも詳しく解説していますが、キャラクターの人物像や思考の解説に結構時間が割かれていました。
好きな部分は、ジェシカ・チャスティン演じるルシールの狂気じみた行動に対する冷静な突っ込み、監督の映画において主人公とはどういう人物かについて。でもこの音声解説は、どこがというよりも全体的な流れが心地良い感じ。
ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年)
解説者:監督 ウェス・アンダーソン
媒体:DVD
こいつ一体何回この映画の話すんの?と思いますよね。でもこの音声解説本当にオススメなんですよ!
特に、ウェス・アンダーソンはこの映画のあとは音声解説よりも映像特典に力を入れている印象なので、余計にこのDVDの音声解説が貴重。
ウェス・アンダーソンの頭の中を直接覗きこんでいるような貴重な体験が味わえます。解説自体も、こだわりの多い監督だけに、情報がみっちり詰め込まれています。
好きな部分はベン・スティラー演じるチャスが着ている赤ジャージについてのフンワリした説明、映画に反映された監督の実体験や思い出話、各子供部屋の説明、劇中にさりげなく出てくるアートの出所。
いかがでしたか?以上の感想で音声解説の魅力伝わりましたかね??伝わっていることを祈ります。私に出来るのはそれくらい…
このストリーミングの時代だからこそ、好きな映画について音声解説があるなんて知らなかった!ということもあると思います。今回の私のオススメ以外にも、自分の好きな映画に音声解説があったら是非聞いてみてください。
次回はオススメの選外ではあるものの、印象深い音声解説を紹介したいと思います。
それではこの辺で。
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