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共依存

共依存という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

依存してしまう傾向にある人同士が、お互いに依存しあっている状態をいいます。

心身のバランスが崩れ、自分では立て直すことが難しい状況にある人を過度に心配し、必要以上に身の回りのことをしてあげたり、先回りして危ない目に遭わないようにバリケードを張りめぐらすなど、ゆき過ぎた関りが見られます。

『僕は、君がいないと何もできない』『たとえ暴力を振るわれても、あなたを見捨てることなんてできない』

相手から必要とされていることで存在意義や安心感、幸福感を見出すことことから、精神的な結びつきが深くなっていき、共依存状態にあると気付きにくい側面があります。

夫婦、恋人、家族、友人、職場など
とても身近な人間関係の中に共依存は存在するのです。


なぜ、共依存に至ってしまうのか


幼少期、家庭の中に安心できる場所がなかったということが、とても大きく影響していると言われています。


【 両親の不仲や離婚によって、家庭内が不穏な状態だったため 】

両親の不仲や離婚によって、いつも家庭内が不穏な状態あって、子供の心のケアを十分にできなかったということが原因になる場合があります。
子供は、
『自分のせいで両親が喧嘩しているのかもしれない(離婚してしまったのかもしれない)』
と心を痛め、良い子でいることが現状を好転させると考えます。

お母さん、お父さん自身もとても苦しい状況だと思いますから、子供に十分な愛情をそそぐというのは難しいかもしれませんが、まずは、お子さんが安心できるようにケアしてあげてくださいね。

【 家族が病気で、不安な気持ちが続いていたため 】

家族が病気がちだったりすると、どうしてもそちらが優先になってしまいますよね。命に関わるような重い病気なら気持ちの余裕もなくなり、どうしても子供を後回しにせざるを得ないなど、ご家族にとってとても苦しい状況に陥ってしまう。

やはりここでも、家族に負担をかけないように良い子でいることに注力するようになります。寂しい気持ちや甘えたい気持ちをぐっとこらえる、子供にはとても負荷がかかってしまいますよね。

お子さんの理解できる言葉で、家族に起こっている状況を説明してあげてください。そして、あなたを大切に思っているよと伝えてあげて欲しいのです。そうすることで、お子さんは安心することができ、頼もしい存在へと成長してくれると思いますよ。


【 過保護、過干渉による支配下にあったため 】

子供の行動の一つひとつに干渉し、危険な目に遭わぬよう転ばぬ先の杖を携帯し、先回りして安全確保してしまう保護者の方がいます。これは、子供の自立心を摘んでしまい、自分で考えて行動するという成長を妨げることに繋がるのです。

幼いころ、自転車に乗る練習をしていた日の記憶を呼び起こしてみてください。はじめは自転車を支えてもらいながら、「離さないでね!」「ちゃんと持ってる?」おっかなびっくり、ふらつくハンドルをぎゅっと握りしめながらペダルを漕いで進む感覚を掴んでいきましたよね。ハンドルを握り前を向いて進むこと、障害物があったらブレーキを握って止まることも覚えなければなりません。

コツを掴んでいって、いよいよ支え無しでチャレンジしようという時に、『支えている手を離してしまったら、子供が転んでしまう…』『ケガをするかもしれない…』と手を離さずにいたら、子供は危険を察知することも避けることもできなくなってしまいます。更には、自分で考えることもしなくなり、親を頼れば事が解決するんだと間違った認識が育つことになるでしょう。

年齢に応じた関りの中で『目は離さず手を離す』社会で生き抜く力を育むことは、私たち親の責務ではないでしょうか。


【 虐待やネグレクトによる怯えた生活が続いたため】

日常的に両親や家族から虐待などを受けていると、いつも緊張の糸が張り詰めて、『逆鱗に触れないようにしないと…』ここに全神経を集中させなければならなくなります。自分の気持ちを伝えるとか何か欲しいものを言ってみるだとか、そんな言葉が出ようものなら逆鱗に触れ虐待が起こるわけです。崖っぷちに立たされ、いつ転落するか分からないような生活では、正常な精神は育まれませんよね。

笑いたくもないのに笑顔が絶えなかったり、つらくても誰かの力を借りることに抵抗があり、大抵のことは平気な振りをしてやってのけてしまう。一見『頑張り屋さん』と映る人の中にも、共依存になる可能性をはらんでいると言えると思います。




幼少期に不安定な家庭の中で育つことは、その後の人生に影を落とすことになりうる。そして、つらかった記憶や悲しかった思いは昇華されずに残ってしまうのです。
時を経て、清算できなかった過去が及ぼす共依存。自分を理解し、必要としてくれる人との出会いで幸せを掴んだように見えるのですが、実は新たな苦しみのはじまりなのかもしれません。


また改めて、共依存状態の実例をもとにお話ししていきたいと思っています。


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