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バイト世界は社会主義
塾講師として授業を何回かするとコップが見えてくる。
これは比喩である。
コップは生徒全員が持っていて、その大きさや形はそれぞれで異なる。
そのコップに授業というジョウロを使って知識やら解答技術やらを注ぎ入れる。
コップいっぱいになったら試験場に自信を持って送り出せる。
そんな感覚で授業する。
形や大きさが違うから注ぎにくいのもあれば注いでも全然いっぱいにならないのもある。
さらに1回注いでも1週間後に見たら半分くらいになっていることは日常茶飯事である。
何があったんだと思っても絶対に言ってはいけない。
モラル。
ただこれは塾講師としての技量の話で、問題なのはジョウロの方。
ジョウロにどれほど内容物を蓄えていくかが問題である。
バイトに行く前にどれほど予習するか。
これは日によって変わる。
また年によっても変わる。
さらに校舎によっても変わる。
時間がある時はたくさん。
忙しい時は必要最小限。
1年目は張り切って色んな周辺知識までジョウロに入れて持って行ってた。
2年目は半分くらい。
3年目は必要最小限。
ホーム校舎はなるべく多く。
ビジター校舎は必要最小限。
相手の人生がかかっている職種だからできる限りたくさん持っていきたい気持ちはある。しかし、それを妨げるもの。
バイト世界は社会主義。
持っていったジョウロの重さでペイは変わらない。
ふと横を見ると軽そうなジョウロを持っている人がいる。それに対して何も言えない。バイト世界は社会主義だから。
葛藤続く。