創作ノート 3

反省し、書き直すことで、ブラッシュアップする。

第2章はまるまるいらないとも言えるが、ブリッジはあった方がいい派。もちろん、機能的に意味のあるブリッジじゃないと行けないので、もっと同窓会が行われる地域の説明を入れないと行けないと思った。

11クラスと6クラスの考え違いは、単に私が書き間違えたことの辻褄合わせをしただけなので、考え違いを活かすのか、直しちゃうのか、迷うところ。読者の時間と作中時間をわざと捻る趣向があるので、勘違いを活かす道を探すのもいいかもしれない。

結果、直した。

昔、自分が住んでいた家を見に行くシーンは、時間稼ぎに過ぎないものなので不必要かもしれない。記憶の中の街が上書きされている感覚を描きたかったんだと思う。

今、現実に同窓会があっても、おそらく行くことはない。ここに出てくるメンバーなら、行ってもいいなと思って選定した。現実には、私との関係がもっと複雑な人もいるけど、それを織り込むと別の話に分岐してしまうので、ここではかなりそっけなく書いている。

キャリーケースを繰り返し書いていたのは、最後の突進の時に小道具として使おうと思っていたからだが、最後の場面で書くのを忘れていた。第2稿ではきちんと書こうと思う。

第2章を書き直した。土地について、もう少し丹念に描いた。

旧大通り・・・街の中心の通り(北に神社、南に庚申塚)
旧大通りの東側に平行して小さな川・・・洪水を起こす頻度が多い
小さな川の東隣りに市役所通り・・・洪水になると必ず床下浸水
旧大通りの西側に平行して大きな幹線道路・・・事故が多く怪談も多い、不吉な歩道橋がそこかしこにある
旧大通りの南側・・・農村地帯。大地主多い。小室一族のことを暗示。割と粗野な人が多い印象。
大きな幹線道路の西側・・・「向こう側」。さらに向こうに荒川があるので、荒れ目の新興の住宅地。荒川のそばには大地主多い。地形の起伏が複雑。家が増え、新しい中学校が建つ。

旧大通りは実際は、三分割され、それぞれに任侠一家が仕切っている。祭りのときは、それら任侠一家が出張って、近隣の中学生を勧誘して、祭や神輿を手伝わせる。私はそれが嫌で嫌で仕方がなかった。そのエピソードはとくに入れていない。南側の任侠一家の息子とは一学年違った。真ん中の任侠一家の息子とは、中学校のとき同級生で、ことあるごとに隣の席になった。学校に来なかったから、とくにトラブルもなかった。関係は悪くなかった。悪い奴は卒業式前にお礼参りをくらっていた。そのことも、今回は割愛した。

具体的な地名が書ければ楽。でも、スケールは小さいながら、ヨクナパトーファのような街をつくりたい。変名でいいから、具体的な名前を入れようか迷う。

蕎麦屋にフォーカスして、五楼さんの家は後景においた。もし、この土地でサーガをつくるのだとしたら、五楼さんは、完全に『八月の光』のミス・バーデン役だな。実際、そんなに性格が悪いわけではなかったが、人をよく陥れていた。今思えば顔は女優の「當間あみ」さんのような美形だったが、人の欠点をとにかくはっきり言うタイプで、私は苦手だった。

街の説明は、変化の乏しい土地である、ということを示すことにつとめた。保守的というよりは、平凡なくせに変化を好まない性質がある、ということをイメージさせるように書いてみた。洪水と事故が、不吉さの源泉になっている。浅田は実在のモデルがいるが、個人的にはその死も本当は救い上げたい。

蕎麦屋と居酒屋は、そんな変化の乏しさの中に現れた夢(wish)というイメージで。どちらもモデルがある。実際は、もうちょっと変化しているが。

文章は増し締めした。


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