「ロシアは中長期戦体制が整い、Chinaは米中冷戦耐性を高めた」
ウクライナ戦が始まったときから、Chinaを利することになるだろうことに言及してきました。いまや実に露中接近でロシアすら中長期戦体制を構築しつつあるようです。
産経新聞本日7/2付8面に「中露はG7首脳声明をせせら笑う」という田村秀男さんの記事が掲載されています。ルーブルはかなり前にですがウクライナ以前の水準を超え逆にルーブル高という状況であり、短期金利はウクライナ以前水準、消費者物価指数も5月の段階で頭を打っている。
この状況は、ロシアが豊富に産しChinaが必需物資としている原油の露中密約貿易により、見返りにロシアはChinaからの物資輸入により戦時体制を維持しているという構図で成り立っています。また金融的にも相互融通体制を築いていて米国主導の金融に風穴があく状況をも出現させてしまっているようです。プーチンによるサハリン2の日英への揺さぶりもその余勢を駆ってのことでしょう。さらには米国はインフレのあまりChina関税の一部引き下げまでして露中を応援するまでのことをしています。
バイデン体制で憂慮した事態が急激に世界に影響し始めているように思います。ディープステイトの言いなりになったとき、米国は戦争に勝っても大きく国益を棄損するというのは第二次大戦の教訓*であるはずですが、米国もなかなか歴史に学ばない国です。エマニュエルトッドが言うようにこの戦争はしなくていい戦争でした。
折しも日本は今参院選のさなかですが、こういう世界情勢に対してまともな論戦が戦われているのか、はなはだ疑問が多いところです。今春亡くなった石原慎太郎が健在であればとの慨嘆を禁じ得ません。まともに変わってきていることは否定しませんが、日本はまだまだ国益基軸のしゃんとした国に再生しきれていない状況です。保守政治家の奮起が切に期待されます。
*注
第二次大戦時のフランクリンルーズベルト大統領政権のグローバリスト・コミュニストによる政策が、ソ連の背中を押し戦後東欧を共産主義化しアジアではChinaをはじめとして同じく共産主義化したことを言っています。このことは近年では、渡辺惣樹さんが多くの著作で示してくれています。
最もわかりやすく説得力があると思うのは、「ルーズベルトの開戦責任 (草思社文庫) 文庫」で第二次大戦前共和党の重鎮でありルーズベルトの政敵であった下院議員ハミルトンフィッシュによる著述です。