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「小説 雨と水玉(仮題)(27)」/美智子さんの近代 ”万博公園から千里中央へ”

(27)万博公園から千里中央へ

いつの間にか、午後四時になり日が傾きかけてきていた。
歩きながら話は続いていた。
「あのお、お付き合いさせていただくの、とっても嬉しいんですけど、よく考えると東京と大阪で、どうしたらいいかなって」
「うん、そういうことはよく話をしながら分かり合うってことが大事だと思っています。
でも、僕の方は当分田中さんと何度も十分にお話ししてって思ってたんで、しばらくは僕の方が毎週大阪に来ます。毎週逢いたいし、そういう東京と大阪ということも相談しながらやっていきませんか?
あっ、毎週逢ってもらえるんでしょうか?」
「はい、もちろん毎週お願いしたいのは私も同じです。でも」
「ありがとう。では、毎週ということで。
しばらく、そうですねえ、年内くらいは毎週大阪に来させてください。そうしてその間にたくさんお話しして、いろいろなことを相談していきませんか?」
「はい、良くお話しさせてもらって分かり合うっていうことですね。わかりました。」
「ありがとう。田中さんとは十分に分かり合いたいのでよろしくお願いします。」
「はい。
ただ、佐藤さん、大変やないですか?
旅費のこともあるし、忙しいのに毎週大阪往復っていうのんは。」
「ありがとう。まっ、なんとかなるでしょ、
田中さんに毎週逢えるんだから、は、は、は(笑)、
そういうこともこれから十分お話ししましょってことですね。」
「はい、わかりました。」

「田中さん、今晩は夕飯までに帰らなきゃ行けないってことありますか?」
「いえ、夕飯は食べてくるかもしれないって言ってありますので」
「そしたら、夕飯までは付き合ってもらえますか。これから夕飯食べて新幹線に乗れば問題なく東京に帰れるんで。」
「はい」
「今日は遅くなっても田中さんと十分お話ししようと思ってて、
実は泊りも覚悟してたんですけど。」
「ありがとうございます。」
「いや、こちらこそです。
でもホテル代浮いたので、来週の旅費の足しにします(笑)。」
「ふ、ふ、ふ(笑)」
「夕飯はどこで食べましょうか?千里中央か梅田に出るか。ですかねえ」
「新大阪が佐藤さんは時間を気にしないでいいかもしれないけど、あんまり食べるところないですかねえ。
梅田まで出ると戻らないといけないから、千里中央で済ませましょか」

帰りのバスに乗りこんで千里中央に向かいながら、
「田中さん、来週はどういうところに行きたいですか?」
「次は街中がいいかな。
佐藤さんはどこか行きたいところ、あります?」
「街中っていうと、天神橋筋とか、行ったことないんですけど賑やかで楽しそうじゃないですか?」
「あ~、そうかもしれませんねえ。わたしも行ったことないんですけど、ちょっと知っている人に訊いてみますね。」
「お願いします。
田中さんは食べ物の好みは?」
「わたしも美味しいものが好きです。ふ、ふ、ふ(笑)」
「は、は、は(笑)、
今晩は中華料理でも食べましょうか?どうです?」
「いいですねえ、食べたくなってきた。」
「は、は、は(笑)」

千里中央の中華料理屋さんで夕食を食べながら
「田中さんはここからバスで豊中まで帰った方が早いかな?」
「いえ、バスは道路混むんで時間読めへんし、新大阪まで一緒に行きますよ。」
「でも、今日は疲れたでしょう?サンドイッチまで作ってもらったし。
でも電車の方がいいか。そしたらお言葉に甘えて、新大阪経由で。」
「はい」
「でも結構疲れましたねえ、今日はゆっくり寝てくださいよ、
体調崩したらあかんので」
「はい、佐藤さんもまだ東京まで長旅がありますけど、気を付けてくださいね」
「ありがとう、田中さんにそう言われると気を付けないといかんなあ」
「あのお、お願いしていいですか?」
「ええ」
「美智子って呼んでもらえますか?」
「えっと、美智子さんでいいですか?」
「はい」
「そしたら美智子さんで」
「はい、ありがとうございます。
あの、わたしの方はまだ佐藤さんでいいですか?
ずっと佐藤さんって思ってきたんで、
もう少し佐藤さんって呼んでいたいんで」
「全然、全然。
そしたら、僕の呼び方もこれから十分二人でお話しながら相談して(笑)」
「ふ、ふ、ふ(笑)、はい、わかりました(笑)」


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