「有機フッ素系機能材料 撥水、耐熱、光学性、液晶など その4」/PFPEの液状性の意味に関して
前回の下記記事では、PFPE(パーフルオロポリエーテル)の撥水撥油性の良さが液状性にあるとい-うことを示しました。
これについては、間接的に以前紹介しました『フッ素化学入門2010基礎と応用の最前線』中の記載を引用して、パーフルオロアルキル系の撥水撥油材料において、その分子運動性が撥水撥油特性に大きく影響することを取り上げて、PFPEが液状ゆえに取り分け高い撥水撥油、防汚特性を有することを説明しました。
それは端的には、固体より液体の方が表面自由エネルギーが低いことを持って理解することもできますし、液体の持つ揺らぎによってより自由エネルギー的に安定な構造を取りやすいということでもあろうかと思います。
昨日の記事の後、少しネット上で調べてみますと、同じように液体のように分子運動性の高い状態の表面が、高い撥水撥油性を有するという論文を見つけましたので、一応ご紹介しておきます
産総研名古屋の穂積篤氏による論文
(Synthesiology, Vol7,No.3, 190-198(2014))
https://www.jstage.jst.go.jp/article/synth/7/3/7_190/_pdf
上記論文に、MaCarthyらの論文を引用して、
1990年代後半にMaCarthyらは、固体表面の分子運動性の良さ、つまり液状性が撥液性に影響を及ぼし、液状のような状態は最も高い撥液性を発現する、と説明しています。
そして、自身らも液状の分子運動性を有する薄層を基板表面に形成し、それらが非常に高い撥液性を発現することを報告しています。
このように、学術的にもきちっと説明されています。
塗料技術者の方々でも意外にこの点を見落としている方々もおられるようです。
改めてこの意味を確認しておきたいと思います。
そして、PFPEの可能性についても是非感じていただけたら有難いと思っています。
(私は、PFPEメーカーの回し者ではありません、PFPEに関わって来て製品化もし、この材料にほれ込んでいるので言わせていただいているだけですので、念のため)
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