「ポストコロナのFRB利上げ開始以来続く円安、円流出の構造要因で今年も思ったより円安で推移しそうだ」/みずほ唐鎌氏の最新ロイター(2024.01.19)に注目!
再三本コラムで引用したみずほ唐鎌氏の最新論説
これまで、為替動向に関する論説では最も信頼に足るとして本欄で引用してきたみずほの唐鎌大輔氏(下記ですべての記事をご覧いただけます)。
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最新の記事が、一昨日2024年1月19日(最新更新は1/21朝)にロイターに掲載されましたので引用して、為替について論じてみます。
最新記事では、日本からの投資流出について論じています
上記最新記事では、日本からの投資流出について論じています。
それは今年2024年から始まった新NISAによる投資資金の流出についてです。
あらましは、
新NISAが始まりすでに海外投資信託への積み立て投資が1000億円を超えている、物価が上がり始め今後も継続的インフレが予見される中で新NISAの主体となる50代以下の世代が継続的に海外への投資を行う蓋然性が明らかである、それを見積もれば年7-9兆円の円売りとなる、これはこれまでの1.5-2.0倍であり、その他含む総計をすれば円売り過剰2,3兆円つまり為替赤字に構造転換することになる、
というものです。
ここで、追記解説すれば、
上記で、「その他含む総計」という部分は、
貿易収支、インバウンド含むサービス収支、経常収支とそのマネーの行き所を推計したもので、
簡単に言うと、貿易収支は赤字、インバウンドはせいぜい3兆円でデジタルサービス収支赤字を補填する程度、経常収支の主柱である第1次所得収支黒字=企業の海外投資の稼ぎは80%は海外に再投資される、
であり、
そうした中で、国内貯蓄から海外投資に回る年7-9兆円が、結果として、円売り過剰へと誘う、
というものです。
円流出の構造要因で今年も思ったより円安で推移しそうだ
こう見てくると、一昨年(2022年)、昨年(2023年)もそうだったが、今年2024年も思ったより円安で推移する可能性が高いと言えるのではないか。
年初に上記記事で、みずほ唐鎌氏記事を引用して、FRBの利上げ、日銀のマイナス金利解除が想定される中で昨年より円高方向にはあり、それでも125円~145円の範囲が想定されるだろう、としましたが、
本記事で見てきたように、円安の構造要因は思ったより強いものかもしれず、一昨年(2022年)、昨年(2023年)もそうであったように、想定よりも円安に振れるかもしれません。
実際、年初に1ドル140円ちょうどほどだったのが、3週間後の現在1ドル148円になっているのは、そういった情勢をなにがしか反映している可能性が高いと言えます。
投機筋が仕掛けでもしない限り、あるいは仕掛けても政府日銀が利上げという伝家の宝刀を持っている今今であり、昨年、一昨年を超える一方的な円安にはなりにくいだろうと思いますが、
日米金利差での円高も、インフレが収束する中で実質金利を見ればその実質差はさほどでもないことから(詳細は下記記事を参照ください)、今年もやはり思った以上の円安水準を付けて推移する可能性があるものと思います。
さて、そういった為替予想のもと、日本の株式市場はポジティブか
そういった為替予想を仮定すれば、やはり今年の日本の株式市場も、既に値上がりが続いているように(もちろんこの過熱が一層過熱するとは言いませんが)、一年を通してポジティブに推移するのではないか、と私はう予想しています。