いびきに関する論文まとめ
小児とフーセンガムトレーニング
小児を対象とした実験で、フーセンガムトレーニング(ガムを噛む、舌でガムを丸める、舌と上顎で押しつぶす、ガムを膨らませる等を行う)によっていびきが軽減した、という報告がある。
<文献>
松井美咲氏ら、フーセンガムトレーニングによる幼稚園児の口腔機能への影響、薬理と治療51巻4号、Page581-586
いびきと自律神経の関係
いびきの原因として「舌根沈下」が挙げられるが、その原因は、睡眠中に「口を開けること」であり、口を開ける原因は十分な鼻呼吸ができていないことが関係している。ただ、内視鏡などで検査をしても上気道には狭窄などの異常がみられない場合も少なくなく、覚醒時には異常のなかった上気道に、睡眠中に限って鼻呼吸を障害するような変化が誘発されると考えられる。
安静中や睡眠中は副交感神経系が優位となが、副交感神経になると鼻粘膜は腫脹することが分かっている。この論文では、いびきをかく人はどうでない人に比べて安静時の副交感神経系が過興奮状態になりやすいことが報告されている。つまり、睡眠中に限って鼻粘膜が異常に腫脹するため、覚醒時の所見からは予測出来ない鼻呼吸障害を誘発し、それが補助的な口呼吸を発現して軒の好発条件を形成すると考えられる。
<文献>
高安劭次氏ら、鼾患者の自律神経学的特徴、耳鼻咽喉科臨床88巻6号、Page765-771
寝相と睡眠時関連症状の関係性
いびきや口腔内乾燥の自覚、こむらがえり、肩こり、腰痛といった睡眠時関連症状と寝相の関係について調べた論文がある。寝相が良く、熟睡できている人は寝ることに関して困っていることは少ないだろうと思っていたが、この論文によると、寝相が良く、熟睡ができていて、低い枕で寝ている人にこれらの睡眠関連症状が多く見られたとのことだ。ただし、寝返りの頻度と睡眠時関連症状は関連が薄いようだ。
いびきに関しては、仰臥位(仰向け)中心の寝相で、枕高の低い枕で寝る場合において、発生しやすい。これは胸郭と頭の角度が鈍角となり、開口状態となりやすいことが舌根沈下につながるためであるが、寝相が悪く、寝返りをよくする場合、舌根沈下が解消しやすいのかもしれない。
<文献>
梅木茂宣氏ら、睡眠時関連症状は良い寝相に関係する、臨牀と研究99巻11号、Page1380-1383
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