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分子標的薬各論~抗RANKL抗体~

概要

未熟な破骨細胞の表面には「RANK」と呼ばれる受容体がある。この受容体に結合するリガンドに「RANKL」と呼ばれる物質があり、RANKに結合すると破骨細胞は成熟する。がん細胞はこのRANKLの生産を促進し、破骨細胞の働きを過剰に活発化する。その結果、破骨細胞と骨芽細胞のバランスが崩れ、破骨細胞が骨を溶かしていく。このRANKLを標的として、骨転移や多発性骨髄腫に効果をもたらす抗RANKL抗体が承認されており、一般名:デノスマブ(商品名:ランマーク®)が現在使用可能である。

副作用

骨の吸収に関わる破骨細胞の成熟を阻害するため、低カルシウム血症を起こすことがある。そのため、デノスマブ投与中はデノタスチュアブル配合錠(沈降炭酸カルシウム、コレカルシフェロール、炭酸マグネシウムの合剤)を併用する。

他に有名な副作用として、顎骨壊死や顎骨髄炎がある。明確な機序は解明されていないが、骨リモデリングの抑制や易感染性の増加、血管新生抑制作用などが考えられている。顎骨壊死は抜歯などの歯科治療が関連すると考えられており、治療開始前に歯科治療を終わらせておくこと、デノスマブ投与中は口腔内の衛生を保つことが必要である。

これに関連して、関連が否定できない重篤な皮膚感染症(蜂窩織炎)の報告もある。ただし、こちらも原因は不明である。

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