左下の親不知を抜いた話

親不知を抜いた

貴方は親不知が生えていますか?
私は4本生えており、コンプリートしている。しかも、親不知が生えていることが一因でがんになった

今回は親不知を抜いた話なので、がんのがっつりとした詳細は省略すると思う

親不知をまじで抜こうと思ったのは、1ヶ月前くらいから。乳歯が生えていたので抜いた跡地はなにもなく、左側より横に生えてきやがった親不知の影により歯が倒れてきた
良いか悪いかといったら、悪い。跡地の左右の歯がくっついたら跡地を磨くのが大変だし、格好が悪い

今後の治療のことを考えて、社内で抜くと宣言し後戻りができない状況にした上でかかりつけの歯医者で抜歯の予約をした。がんになってから、歯医者はかならず口腔外科が含まれていることを確認するようになった

ところで、がんになったと冒頭でさらっと言ったがなんのがんかというと舌がんだ。そりゃあ、人生で一番の大病で2ヶ月半くらい入院したし、なんなら手術もした。おかげで舌は半分ないが、多少不便を感じながらもイキイキと生きている

親不知がなんで一因になったかというと、成人しても放っていた乳歯が倒れ始めた。ドミノ倒しと同じで、親不知から奥歯と倒れ、乳歯は内側にやんわり倒れた。
この乳歯が舌を傷つけまくり、がんになった可能性が高い。とがんの主治医に言われた。ビビったね。要因は様々だが、乳歯を抜かなかったせいだなんて

という経歴を持つ、由緒正しく間違いなく害悪な親不知を抜く日はやってきた。
その週の仕事は驚くほどストレスを与えられ、季節の変わり目による年に数回のやばめな風邪を引いた。日頃の行いが悪いとしか思えないが、ここまでされたなら反省もしなくていいだろう

風邪を引いたが鼻づまりだけだったので、親不知の予約をずらしたりはしなかった。
休みをとった平日。職場の心配をしている暇はなかった。暇はないっていうか、余裕は0

私は臆病かつびびりの小心者だ。注射も嫌いだし、まだ引っ越し先を決めていないのに引っ越し先の幽霊に怯えている。
そんな私の親不知を抜いてくれる先生は、非常に私に寄り添ってくれるので抜歯当日、「大丈夫」をかなり連呼された。大丈夫か大丈夫ないかでいえば、全然大丈夫じゃない。指先冷たいし、なんかもう全部ヤバイ

さぁ、麻酔だ、となり麻酔を打たれるが、くそいたい。大人だけど耐え難い。ばかじゃん
先生は普通の手順を踏んでいるだけだと思うが、私の口腔は一般人とは違う。
舌がそもそも半分無い。無いっていうか、手術で切って太ももから再建して皮弁になった。偽舌と呼ぶとして、こいつは私のいうことを一切聞かない。うごかせもしないので、微妙に偽舌の神経的ななにかが麻酔の注射針によってひきつる
これが痛い。しかも、偽舌なので普通であれば飲み込むのを我慢することができるが、それができず麻酔がダイレクトで流れてくる
くっそまずい。飲み込まないようにして、って言われても偽舌は私のいうことを聞きやしない

この時点でうがいは6回くらいしたと思う。ひっきりなしに先生は「大丈夫」かと声をかけ、全く大丈夫じゃないが大丈夫だと何度も答えた

抜歯するための同意書を書かされており、注意を受けた上で麻酔が効いたころに歯茎が切開される
治療時に水が出てくるが、私はそれを上記の原理によってすべて飲んだ。結果、はちゃめちゃにむせた
我慢しろといわれるが、方法さえ教えてくれたら私だってやるわ。物理的に無理なんだよ

切った後にどうするかと聞かれた上に、不安だと吐露される。こっちだって不安だよ。見えないんだから
「やってください」
「分かりました。すぐ終わらせます。本当にね、すぐ終わらせるからね」
と会話したのち、吸引が上手らしい方を呼ばれ、歯が切断された。水が入ってくるので、切断時の骨粉も紛れていて「骨の味だ…」としみじみした
がっととられ、あごがみしみし言いながら3分くらいで抜いて貰った。抜けた報告をもらい、拍手をしていたら「あとは縫うだけだから!」と縫ってくれた
これも痛かった。なんでか知らないが、麻酔を効いてるはずなのに、縫うときに刺された刺激があるのだ。暴れたね。大人だから下半身だけ暴れをした

抜いて貰ったあとは、本当に放心状態。すべてが白。
この後腫れますからね、抜くときはみんな思ったより楽だったって言うんですよ。なんて声をかけられ、良い感じに返事をした
翌日の消毒予約の確認と会計を済ませると、世界は素敵だった

家に帰ると鼻づまりが悪化していた。鼻づまりが起こると、両耳が難聴になる特性を持つ私は笑えてきた。顔面の器官において悪くないところがない。目もくそ悪いし、緑内障予備軍だし

痛み止めを飲んで適当に過ごしていると、なんとなくほっぺたが腫れてきたような気がする
私の中の顔面の腫れ基準はがん術後なので、大したことは全くないように思えた

翌日。前日よりも腫れてるし、鼻づまりの悪化によりすべての味覚を失った。鼻をかんだら鼻水くらい出てこいよと思うほど、悪質な鼻づまりだ
歯医者に行って消毒をしてもらい、ブリッジしていこうといった今後の話をした上で、抜糸の予約をして帰った

腫れはひどくなっており、ピンポン玉入ってる?と思えるほど腫れた。とはいえ、一時期と比べれば可愛らしいもんだ
食事に関しては、お腹は空くが食べるのがだるいのでおかゆとヨーグルトと杏仁豆腐で過ごすことにしていた。おかゆにたらこをいれてしまい、つぶつぶが傷口にはいったらいやだなぁと思った
食べることにおいて、偽舌のせいで右側でしか食べないので一切困らなかった。慣れすぎてたらこ以外心配はなく、口が開きづらいから不便だなぁ程度。ややあご下も麻痺してるががんの術後に比べればそうでもないし、糸に関しては一切気にならない。
なんなら、くしゃみと鼻づまりの方がひどい

誰かの参考になれば、と思ったけどなる?大丈夫?

親不知を抜歯して2日目。腫れてる。けど、鼻づまりはかなり解消された。
余裕ぶっこいてケンタッキーの月見バーガー(和風カツ)を食べた(口がそんな開かないので、尋常じゃなく食べづらかった)。この世で一番美味しい月見バーガーだと思っている
薬が切れると喉が風邪のひどいときのように痛むので、処方されていた薬をきちんと飲んでいた

親知らずを抜いて1週間後、抜糸をした。普通にいたかった
この頃はまだ口が完全に開かず、なんかちょっといらいらしてた。あくびをするとき、微妙に止めなきゃいけないからだ。
傷口の治りはいいようでよかった。ブリッジの計画を聞いていて思ったが、もしかして麻酔ある?麻酔する???


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?