徒然物語137 ネオンサイン

この町の商店街も、随分寂れたようだ。

子供の頃、両親が共働きで帰りが遅かった日なんかは、弟とよくこの喫茶店で焼きそば定食食べったっけなあ…

まだやってるようだけど、昔と比べると…古くなったなあ。

大将とおかみさん、年取ったろうなあ…

看板メニューの文字がガラスに張り付けてあるけど、

『ランチ・パスタ・ケー』

になってる。

どうやらキの文字がはがれてそのままになっているらしい。


十字路を挟んだ向かいには、昔なじみのパチンコ屋が、これまた何とか営業中だ。

今日び、1日に20人もこれば多いほうなんだろう。

タバコの煙が染みついたのか、壁面もずいぶん黄ばんでやがる。

随分古ぼけちまったけど、あのころと変わらないのは仰々しく、ド派手なネオンサインくらいか。

あの頃は商店街の景観にふさわしくないって叩かれてたっけな。

それが今やどうだ。

ネオンもどこか儚げで、すっかりこの商店街に溶け込んじまったみたいだ。

ライトも、一部切れてて真っ暗な部分がある。

替える金もないのか…

文字が欠けてるが、残ったネオンサインは煌々と光ってやがる。

P CHIN…

おっと、おれは紳士だからこれくらいにしておこう…

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