徒然物語129 ちっちゃな

遡ること30年ほど前のお話。

「おとうさん~あたしいおうたをおぼえたから、きいて~」

きなこがまぶしい笑顔と共に駆け寄ってくる。

「ほいくえんでおぼえたんだよ!」

聞かせてを言うよりも早く、きなこは歌い始めた。

「ちっちゃなころからワルガキで~♪」

おっこれは、今はやりのあの歌かな?

「じゅうごでふりょーとよばれたよー♪」

不良なんて言葉、まだわからないだろうに、かわいなあ…

「あーあーわかってくれとはいわないがー♪」

そんなに俺が悪いのか?
思わず一緒に口ずさみたくなる。

きなこはご機嫌な様子で2番に突入する。

「こいしたあのことふたりしてー♪まーちをでよーときめたのさ♪

えーきのほーむでつかまーてー♪

”ちっちゃなはかせに”なぐられたー♪」

んん?

ちょっと待って。

なんか、間違ってない?

小っちゃな博士?

”力任せ”の間違いじゃない?

思わずこみ上げる笑いをこらえながら、きなこをひと撫で。

締めは一緒に歌おう!

「ギザギザハートの~♪こもりうた~!」

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