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落花生の中から出てきた芋虫を、自分に重ねていた話。
畑で取れた落花生から、突然芋虫が出てきた。
食用になる落花生の実を、選別して、水で泥を洗い流している時だ。
直径5cm程の、成虫になる姿が想像出来ない芋虫が出てきた。
気持ち悪いもぞもぞしているそれは、土を探して必死にもがいていた。
足で踏んづけてやろうとした時に、ふと最近の自分の姿が脳裏に浮かび、踏むのを留まった。
この芋虫は、まるで最近の自分のようだった。
突然社会から飛び出してみて、地元にUターンして、社会にまた戻りたいが為に、もがいていて。
芋虫は、土の中で外に出るために備える。
必死にもがいている姿を見るに、今はまだ、土の上に出てくるタイミングではない。
土の中で充分に成長して、外に出なければあっさり死ぬ。
自分に当てはめてみたら、まだ土の中で無職でいるべきなんじゃないか、と思った。お金や世間体を気にしていて、さっさと就職を決めた。
これまでの社会人経験からして、自分に合わない会社である確率は7割弱。というか、会社に属して働くという生き方が自分には向いていない。
かといって、自力で食っていくようなスキルや気概も無い。
どうにか外に飛び出して、
芋虫のように、もがいて生きるしかない。
そんな事を考えていたら、いつの間にか芋虫は居なくなっていた。
無事に土の中に還れていたらいいな、と思った。