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Ep2. もしもジンとピンガが親子関係だったら【ジンピン親子if】【名探偵コナン妄想捏造小説】


 ピンガの小学生時代~中1の時のお話です。



登場人物紹介


コードネーム:ピンガ(まだピンガじゃない)
本名:アラン(勝手につけた)
 本作の主人公。

イメージです。中学生になりました。
ロングヘアを前髪はセンター分け、
後ろでお団子に結んでる。


コードネーム:ジン
本名:不明(黒澤陣という名前は明かされている(おそらく偽名))
 黒の組織の構成員。


アンナ/オリジナルキャラ
 アランの母親。故人。


コードネーム:ラム
本名:不明

コードネーム:ベルモット
本名:シャロン・ヴィンヤード

 アランの育ての親たち。

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 時は流れ、アランは12歳になり、中学生となった。


 母親が殺されたあと、アランはラムの元へ養子に出され、日本の小学校へ進学することになった。
 学校は普段の生活の休憩となる場所、家は組織が提供する英才教育を受けるための場所であった。

 小学生でありながら、高校生のレベルに相当する勉強をこなすアラン。当然のことながら、学校では常に成績優秀者として輝き、海外の血の入った美貌も相まって、女子児童たちからは熱烈なアプローチを受けることとなった。

 しかし、そんなアランに対して男子児童たちは妬みと嫉妬の矢を放ち、いじめの対象となってしまった。

 
 
 アランはいじめられることよりも、親がいないことに対する寂しさや劣等感に苛まれていた。

 授業参観のような親が参加するイベントには、組織の構成員が立ち代わることが常であった。
 このため、アランは毎回異なる男性が「父親」として登場することになり、周囲から「お前の父親は何人いるんだ?」と揶揄されることが日常茶飯事だったのだ。

 しかし、親がいないことが彼にもたらす苦痛はそれだけではなかった。彼はいつも孤独感に苛まれていた。

 運動会などの親子競技に参加することはできない組織の構成員たち。そのことを知った男子児童たちは、アランをからかい、心を傷つけていた。

 彼はもういじめられることに慣れてしまっていた。

 英才教育を受けるアランにとって、学ぶべきことは学校の勉強だけではなかった。
 彼は組織の仕事についても学ばされた。

 格闘技を習う時間やスナイパーとしての腕を磨く時間、そして将来を見据えたプログラミングの勉強にも取り組んでいた。

 その中でも特に印象的だったのは、子供であることを利用したおとり捜査や潜入捜査であった。アランは自らの能力を試し、組織の一員として貢献することができた。

 しかし、アランは中学に上がる少し前から、自分自身や親についての疑問や関心を抱くようになった。

 どうして自分には親がいないんだろう。
 どうして自分はここにいるんだろう。


「…なあラム」

 中学1年の夏休み。

 アランはずっと考えていたことを実行する時が来た、と思っていた。

「アラン…どうしました?」
「…俺を海外に行かせてくれ。1週間、…いや、10日間くれ。」

「どうしたんですか、急に…」

 アランは自分の出生について調べるため、故郷を訪れることを決意した。自分の名前と容姿から、日本人ではないことくらいは想像できた。
 しかしその故郷についても、自分の母親の名前や顔すら覚えていない彼にとって、情報収集は容易なものではなかった。父親についても、殆ど情報がなく、彼は自分がこの世に生を受けた理由を見つけることができずにいた。

「何をどう調べたらいいのか分かんねーし、俺がここにいる理由も分かんねー。」

 と彼は呟いた。

 彼は戸籍上ではラムの養子となっており、ラムの本名であろう名字を名乗っていたため、自分にとって彼は父親のような存在だった。

 しかし実際には、アランが面倒を見てもらっているのは組織の構成員たちであり、ラムを含む彼らとはよそよそしい関係にあった。母親のような存在の構成員はほとんどおらず、時折ベルモットがアランの面倒を見てくれることがあるだけだった。

「…あんたらだったら何か知ってんだろ、俺の父さんや母さんのこと。」

 ラムはアランに、父親は存在せず母親は亡くなったと伝えていた。

 組織の幹部たちと会うことは滅多になかったが、ジンとウォッカの名前と顔は知っていた。この2人には何度か会ったこともある。
 カルバドスとコルンの2人からはスナイパーの教育を受けたことがある。
 しかし、その幹部メンバーの中に自分の本当の父親がいるなどとは、彼には想像もできなかった。

「…分かりました。我々でも集められる情報は集めておくので、しばらくお待ちください。」

 ラムはアランから親について色々聞かれたことを感慨深くとらえた。随分と大きくなったな…と。

 隠したっていずれバレる時はくる。

 ラムはジンから情報を聞き出し得られたその情報を伝え、あとは彼本人に調べさせることにした。

「ほんとか!?ありがとうなラム!!」

 ラムがそう返すと、アランの顔がぱあっと明るくなった。

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「ジン、そしてベルモットちょっといいですか」


 ある任務の後、ラムは2人に召集をかけた。

「ウォッカ、あなたは下がってなさい」

 ジンとベルモット以外、アランの事情について知る者は誰もいなかった。それゆえ、組織内でジンの秘密が漏れることは許されないため、ウォッカには退席してもらうことに決めた。

 この状況を見て、ベルモットはすぐにアランの事情についての話だと気づいた。そして、ウォッカが完全に席を外した後、ラムはアランの事情について語り始めた。

「アランが自分のことや親について調べようと動き出しました。いずれ本当の事がバレると思います。
 そこでジン。あの子が調べるためのヒントを少しは与えなさい、何もヒントがないと探りようがないじゃないですか。」

「あ゙ぁ!?知ったこっちゃねーな!むしろ探られて困るのは俺の方だ。」

 ラムにそう言われた瞬間、ジンの怒りは爆発した。
 アランが自分の息子だという情報は、彼にとって完全なる弱みだった。彼は本当は、この事実をすぐにでも消し去りたいと思っていた。

「ジン、自分で蒔いた種でしょ、協力してあげたら?アランは優秀な子よ。探られて真実が明るみになるのは時間の問題じゃないかしら?」

 ベルモットがそう言ってジンを諭した。

 ジンはしばらく黙っていた。ヒントを与えてしまっては負けだと思っているからだ。

 今すぐにでもアランを殺しておきたいくらい邪魔な存在なのに、アランがラムの元で育てられると決まってからは、彼とベルモットがそうさせてくれなかったのだ。

「…アランの母親の名前とどこであったかぐらいは覚えていますよね?」

 しばらく続いた沈黙を一番最初に破ったのはラムだった。

「…フン、言いたくねぇな…」
「ジン、答えて」

「………」

 ラムとベルモットは、無言の圧力をジンに与え続けた。彼らのアランへの優しさにジンは気づくことができなかった。

 ジンにとって、アンナと過ごしたあの一夜は、思い出したくもない黒歴史であった。しかし、2人に問い詰められてしまった以上、それを避けることはできなかった。

 その空気は、静かで重苦しいものであった。

 ラムとベルモットは、まるで裁判官のように、ジンを見つめていた。その視線は、痛烈なまでに鋭かった。

 それでも、ジンは逃げ出すことはできなかった。彼らの無言の圧力に負けないように、自分の言葉を考えていた。

 アンナとの過去を思い出さないと、この状況は避けられない……と、後悔の念にかられた。

「チッ…」

 数分黙ったが諦めたようで、舌打ちをしてから口を開いた。

「…デンマーク、アンナ・ユール。あの女と会った国と母親の名前だ。」

 ジンがようやく国と名前を教えてくれたが、それだけではまだ情報が足りない。

「仮にそれで、戸籍を調べたとしても、あなたには行き着かないでしょうね。」
「まあ俺に行き着いても困るからな、そこで止まるならそれでいい。」

 ジンはじゃあな、と不敵な笑みを浮かべその場を立ち去ろうとしたが、ベルモットがジンを引き止めた。

「待ってよ。まだヒントが残ってるじゃない。せめてあなたとアンナが過ごした場所の名前とか覚えてないの?」

「うるせぇぞベルモット。俺はそんなに記憶力は良くねぇよ、ホテルの名前なんか覚えてるもんか。」

 ジンは振り返りそう吐き捨てた。

「あら、家とかじゃなくてホテルで彼女と夜を明かしたのね?じゃあまだ探しようがあるんじゃない?
 だったらせめて、アンナと会ったデンマークの町の名前ぐらいは覚えてるでしょう。そうすればだいたいホテルの名前の見当もつくわ」

 ベルモットのその言葉を聞いてラムもたしかにそうだ、とジンを見た。

 早く情報を得ないとそろそろジンの我慢が限界だ。イライラでキレ散らかすかもしれない。

「そんな辺鄙な場所には行ってねーよ…。

 …コペンハーゲンだ。
 コペンハーゲンの古いホテルでも当たればいいんじゃねえか?」

 もういいだろ、とジンはまた立ち去ろうとした。

「…名前は覚えていないんですか?」

 今度はラムがジンを引き留めた。

「そんなホテルの名前まで覚えてるわけがねえだろ。」
「だったらせめてホテルの特徴ぐらい教えてあげなさいよ、たったそれだけでわかるわけないでしょ」
「んなもん覚えてねぇぞ、10年以上も前の話だろーが」

 そう言い思い出そうともしないジンだったが、2人の視線が面倒臭い、まだ逃れらない、とすぐに察し、ため息をついて記憶を辿った。

「…イルカ」

 1分ほど黙った後、ジンはそうポツリと呟いた。

「イルカがホテルのマークに入っていたな…」

 やっと情報を得られたとラムとベルモットは目を合わせた。

「ありがとう、ジン。それだけ情報があればあとは十分だわ。」

 ジンはやっと解放された、と面倒くさそうな目を2人に向けその場を立ち去った。

「さあ、あとはあの子がどこまで動けるか、ね。」
「真実に気づいて戻ってくるでしょう…」


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