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ステラおばさんじゃねーよっ‼️77.コナモン・パーティ〜一挙両得
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️76.打揚花火 は、こちら。
🍪 超・救急車
小鳥遊家と大根家の合同引越から、約1ヶ月半の月日が流れていた。
夏の暑さも弱まり、秋の気配を少しだけ感じられるようになった頃、ささやかながらポーちゃんとひかりの結婚祝賀パーティをこの新居にて身内だけで開催しよう、という話になった。
いつもの5人のメンバーに加えて、カイワレ担当編集者の若森も招待した。
うっかりポーちゃんの結婚を若森に話すと、
「おっポーちゃん、おめでたいねー!で、いつ結婚パーティやるの?」
といつものように強引に畳みこんできた。
カイワレは、
「いつでしょうね〜?!」
とはぐらかそうとしても時すでに遅し、若森はぐいぐい喰い下がってきて、
「絶対、俺も呼んでね♪」
と茶目っ気たっぷりに言われてしまい、断りきれなくなった。
とはいえカイワレは若森を毛嫌いしている訳ではないので、ポーちゃんに判断を委ねようと訊ねた。
「別にいいよー!僕、若森さん嫌いじゃないし。酒好きならば楽しくなりそうだしね」
何の問題もなさそうな返答だったので、若森を招待する事にした。
しかも今連載中の《夢占い♡夢日記》の連載開始直前にとても世話になった若森に、世話をかけた張本人らと今は家族になっている事も、実はまだ伝えられていなかった。
いい機会なので、ポーちゃんとひかりの結婚祝賀パーティに便乗し、今は家族となった夢日記原稿の提供者の知波と、その娘で妹の歩も紹介してしまおう、とカイワレは、《一挙両得》を企てたのだった。
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パーティーコンセプトを家族3人で話し合い、ひかりが普段あまり口にしない粉物の食事、例えば、たこ焼やお好み焼を振る舞おう、という事になった。
そういえば大学時代、若森は粉物文化の聖地で暮らし、
「俺のコナモン料理は、焼きも味付けも一級品だぜ!」
と酔って、豪語していたのをカイワレは思い出した。
なので若森には、仕込みと焼き方(がた)の両方をお願いし、それを事前に伝えた。
若森は二つ返事で、
「任せときー!」
と上機嫌な反応をカイワレに示した。
それに今回のパーティは、ポーちゃんとひかりの結婚祝賀パーティがメイン。なので、若森には当日早めに来てもらった。
パーティ開始前に、その準備やカイワレの家族紹介も含めた諸々を済ませたい旨も、了承を得た上で。
⭐︎
「おっ邪魔しまーす!」
ポーちゃんとひかりは、カイワレ宅の玄関に入ってきた。
「わぉ、何かすごく綺麗に片付いてる!」
引越し以来訪れるカイワレ宅を見て、おどけてポーちゃんは言った。
ふたりは宅内を見廻しながら、リビングへ足を踏み入れた。
リビングの大きな白壁には、
《ポーちゃん・ひかりさん、ご結婚おめでとう♡》
というメッセージが掲げられ、その周りには、バルーンアートが華やかに飾り付けられていた。
「うわぁー、色々やっていただきありがとうございます♪」
とひかりが微笑み、ポーちゃんは、
「何だか照れ臭いな〜」
と柄にもない事を呟いた。
⭐︎
「さあ、お座りください!」
ダイニングテーブルへ知波がふたりを促すと、ふたりは同じタイミングで席へ着いた。
「あ、これ差し入れです」
ポーちゃんが差し出した白い紙袋には、ケーキらしきものが入っていた。
「カンちゃんちのシェフにね、ショートケーキとアップルパイを作ってもらったから、持ってきました!」
近くにいた歩に手渡しながら、言った。
歩は気分が一気に高まり、
「やっほーぃ!」
と大喜びし、キッチンの冷蔵庫へ足早に駆け出した。
「歩ちゃんも、まだまだ子供だな〜」
歩に聞こえない声でポーちゃんがささやくと、そこにいた4人は声を出して笑った。