ステラおばさんじゃねーよっ‼️㉚懐古〜不思議な余韻
👆 ステラおばさんじゃねーよっ‼️㉙反抗期 は、こちら。
🍪 超・救急車
かなりの人見知り屋で、仕事以外では簡単に心を開かない、いや開けるような人に出くわした事がない。
そんなカイワレにはめずらしく、知波との初対面は好印象で、やわらかであたたかなイメージが胸に残っていた。
包み込まれる空気感というか、昔かいだ匂いのような、漠然として説明がつかない、直感的なもの。
いつものようにすごく緊張していたから、小鳥遊さんにはぶっきら棒に映ったかもしれないな。
パソコンに向かっているのに仕事モードになかなか切り替われず、昨日の出逢いの不思議な余韻にカイワレはひたっていた。
すると、若森からのメールが飛び込んできた。
——————————————————————
【至急】夢占いの記事依頼について
——————————————————————
え?!まさかまた、若森さんに尾けられてた!?
いきなりの夢関係の仕事依頼に、カイワレは驚き若森を軽く疑った。
あそういえば、俺らの後ろに座ってた黒ずくめの人が、あからさまにこっちをジロジロ見てたな。
いやいや今は、尾行云々は置いておこう。
記事依頼のメール内容は、こうだった。
女性月刊誌3ページ分の掲載で、夢のネタ記事はカイワレが担当し、その夢占いの結果は有名占い師に託すというもの。
カイワレは夢日記を基にした記事掲載の許可と定期的なネタ提供の依頼をしようと、スマホを手にし、チャットメールのアプリを開いた。
知波に連絡できる口実ができて、なぜか喜んでいる自分を不思議に感じながら。
⭐︎
知波が待合室で薬が出されるのを待つ間、スマホをいじるのにも飽きてふと周りを見た瞬間、どこか見知った顔が目に入った。
以前担当した患者さんか、それとも誰か…。
誰なのか確かめようと、知波はその人物に近づいた。
「あのぅ」
点滴台を持ちながら、おぼつかない足取りで下向きに歩いているその女性は、呼びかけられ知波を見据えた。