
ステラおばさんじゃねーよっ‼️80.素面(すめん)の告白〜家族前告白
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️80.素面(すめん)の告白〜結婚式の想い出 は、こちら。
🍪 超・救急車
「あの…知波さん、俺、結婚パーティの時、何かやらかしました?」
「何かって何でしょう?」
ほろ酔いの知波はおどけて若森に応えた。
「つまりえーと、酔っ払ってその…」
と若森は口ごもった。
「知波が好きだー!大好きだー!!…ってヤツですか?」
大人の女性の余裕さを保ちつつ、若森にだけ聞こえるように、若森から言われた通りの言葉を知波は再現した。
「いやー…まだまだしらふなんで恥ずかしいです」
と若森が言った。
すると知波は、
「あれって酔った勢いの気まぐれだったみたいね。恥ずかしいというのなら」
と若森に一瞥し、知波は白ワインのグラスを一気に飲み干した。
すると若森は椅子から素早く立ち上がり、熱く知波に告げた。
「気まぐれなんかで言えませんよ、大好きだなんて!」
「そうかしら?若森さん、お持てになりそうだし、誰にでも仰っているんじゃないですか?」
「だったら今、まだしらふの今、言います!」
と大きな声がリビングフロアに響き渡った。
ソファ組の4人は身を乗り出し、息は殺して若森と知波の動向を見守りだした。
「知波さんに一目惚れしました。俺、バツイチだしすぐに結婚は考えてませんが、お付き合いしたいと思っています。俺と家族と、一緒に生きてくれませんか?」
まっすぐに気持ちを伝える若森が、普段より何倍も恰好良く見えた。
知波は答えた。
「ごめんなさい。すぐには若森さんの事、好きにはなれないと思います。だからお友達からで、良ければ」
知波も顔がほんのり紅くなりながら、若森の想いを受け止めようとした。
ソファ組の4人は一瞬唖然としたが、すぐに騒然となり、歓声が上がった。
「まさかの家族前告白!若森さんって、大胆でイケメン〜!いや、イケおじ?!」
歩が本日2度目のぽかん顔で、叫んだ。
「でも嫌だなー、俺、若森さんをお義父さんって呼ぶの」
カイワレは冗談半分、本気半分で応えた。
「でもまだ家族になる前の《おためし》の段階ですし、わたしたちはおふたりを温かく見守らせていただきましょう」
とひかりはにこやかに言った。
ポーちゃんは、
「僕…若森さんなら、お義父さんって呼べるかも!」
と相変わらずの謎理論で好意的な意見を放ち、ソファ組の面々を笑わせた。
当の本人達は見つめ合い、外野の声など一切聞こえぬ、ふたりだけの世界にいた。
ただただ視線をからませ、目と目でふたりは会話をし続けていた。